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依存することが愛だから。不死身の女子高生。


「……能力、発動するけど」


「好きにしろよ」


 本来なら敵に能力を発動させずに完封することが理想。

 オレは自身の特性を過信しすぎていたのかも知れない。


「──依存することが(ストレンジ)愛だから(ラヴァー)


 気の抜けた声で少女は能力を発動した。

 

 エニグマであるオレには生半可な魔術や物理攻撃は通じない。基礎能力でも相手を上回っていると確信しているし、堅実に戦えば勝利は必然でしかない。

 だが。


「ふぅ。これで私は永久に不滅になった。ありがとう」


 少女の言葉を一笑に付して地面を蹴る。

 一撃入れれば終わる。ただの一撃だけ。


「……貴方は私を攻撃できない」


 少女の言葉で繰り出した拳がピタリと止まる。

 動きが止まったオレを見て少女は目尻を下げた。

 

「────龍網覇塵(ドラグネットドライブ)


 先程とは比べ物にならない程の巨龍が音もなく突然に姿を現す。どこから出現したのか理解できない。

 これも少女の能力なのか。

 

「……うわ、大きい……。こんなに大きいのは初めて。

 龍司のと全然違う……。お兄さん、強いんだね?」

 

 鋼鉄のような巨龍の腹をパンパンと叩きながら少女は感心したかのように聞いてくる。

 

 龍を召喚する能力は男のものではなかったのだろうか。

 少女の口振りから察するに、出力する対象者によって規格が変化する類の力かも知れない。


「──終の螺旋……クッ……」


 一撃必殺を狙うも無駄であった。

 少女を攻撃対象にすることが出来ない。

 技を発動するより先に脳が無意識に遮断する。


「お兄さん、不死身なんですよね?

 なら、私も絶対に死ねないんだなぁ……。

 つまり不死身の女子高生? うわぁ……。

 ずっと生きるのってシンドイかなぁ……」


「だったら死ねよ。殺してあげる」


「────え?」


 針の穴を通すかのような収斂された一撃。

 転移してきた女勇者(レア)がなんの躊躇いもなしに少女を背中から剣で貫く。


「ぁ──痛っ……息──クルシ……ィ」

「戦力を分断? 小賢しいことしてんじゃないわよ、ざーこ❤︎」


 勢いよく剣が引き抜かれる。

 黒いマスクを血に染めて、少女の体が崩れ落ちた。


「あんた、油断しすぎ。私がいないとダメね。ばか」


 気がつけばレアが目の前にいた。

 レアは呆れたように嘆息し、オレの頬を撫でる。


「……すまない。所詮は新人類だと侮っていた」

「これでわかったでしょう? 敵は即殺すればいいの」

「──肝に銘じるよ」


 何はともあれ窮地は脱した。

 とは言ってもまだ15番(ジェイド)と信長が残っている。

 気を抜いてもいられない。


「あー。やっぱり不死身になってますね、私。

 心臓を斬られるって痛いんだなぁ……。

 肺から血が上がってきてゲロゲロォ……」


 何事もなかったかのように少女がヌルっと起き上がり、スカートについた埃を払っている。


「……ふーん。あれで死なないのね」

「レア、オレは何故か攻撃できない。終の螺旋を試してみてくれ」

「……言われなくても! ──終の螺旋【零愛】!」


 オレの指示でレアが終の螺旋を放出する。

 不死者も消し去る破滅の光だ。

 さぁ、どうなる。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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