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殺意沸くけど好き。殺したい程スキ。

外伝で活躍中のお二人。

ダウナー系殺戮美少女最推し。

 

 気がつくとオレは見知らぬ場所にいた。

 見たところ教室のようだが、移動した記憶がない。


 恐らくは信長と共に行動していた新人類の能力で強制的に転移させられた、というところだろう。


「ははっ! やったぞ! 敵戦力の分断に成功した!

 やろうぜ、キルリ! 俺達で世界を救うんだ!」


「……めんどくさい。一人でやれば?」


 男女二人組の新人類。

 男はこれといって特徴はないが、手には見慣れぬ端末(デバイス)を持ち、ホルダーが二つ付いたベルトを腰に巻いている。

 女は髪で顔を隠しマスクを着けていて特徴が掴めない。


 やる気満満な態度を見るにオレと戦うつもりだろう。


「戦うつもりならやめておけ。これは警告ではなく忠告だ。お前達では万に一つでもオレには勝てない」


 オレの言葉に気を悪くしたのか、男は眉を寄せ、手にした端末を天高く掲げる。


「やらなきゃ世界が滅ぶんだろ!

 俺は戦わなければいけないんだ! 絶対に!

 戦わなければ、何も変わらない! 変身!!」


 男が手にした端末をホルダーに差し込むと、肉体が眩い光を放ち、赤い装甲を身体に装着させ変身を完了させる。

 どうやら能力強化系の能力者らしい。


 新人類とは肉体を強化され、希望する能力を授けられた普通の高校生だ。平和慣れしている分、能力も平凡なモノが多い。


 日常的に触れているであろう、アニメやゲームの能力に関連した力を貰うものが大半で、今回の変身能力も如何にも子供が切望しそうなものだ。


 信長のように『エニグマを斬る』という非現実的で、戦況に合わせた能力を望む者は一握りにも満たない。故に対処は楽であり、オレ達の敵となり得る者は数が少ない。


「一撃で終わらせる! 龍網打尽(ドラグネットドライブ)!!」


 男の能力で出現したのは真紅のドラゴンが三匹。

 一匹のドラゴンが口から火球を飛ばし、それと並走するように残りの二匹が空を駆ける。


「……生き残った者が力を得て世界を救える……。

 戦うって決めた、俺は英雄になる──

 最終龍撃(ファイナルゼスト)ォォォッ!」


 火球を放ったドラゴンを取り込み、男は跳躍する。

 ドラゴンと共に繰り出す三位一体、全霊の一撃。

 男の覚悟が伝わってくる。避けるという選択はない。


「英雄とは自分でなろうとしてなるモノではない。

 世界に対して貢献したものに他者が授ける称号。

 お前にオレは止められない。お前の意思はオレが継ぐ。

 ──終の螺旋【零式】」


 光の螺旋が空を穿ち、ドラゴンを瞬間的に消滅させる。


「それでも、俺がやらなければ……。叶えたい願い──

 楽しかった、みんなとの日常を返せェェェェ!

 どりゃアアアッ!!!」


 男は最後まで懸命に【零】に抗うも、数秒後には抵抗虚しく光の渦の中へと消えていった。

 

「……死んじゃったんだ、龍司。

 絶対に死なないって思ってたんだけどな……。

 ──殺意沸くけど、好き」


 新人類の女が呟く。

 感情が希薄で思考を読み取ることが出来ない。


「キミも戦うのか。

 さっきの男は相棒(パートナー)だったのだろ?」


「別に……。ただの幼馴染()()()

 私、貴方が好き。殺したい程……スキ」


 言いながら女は感情なく笑った。

 思わず身震いして背筋に悪寒が走る。

 この女はヤバい。

 それだけはわかる。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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