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9番救出作戦会議。異能力者だらけの惑星に殴り込むことにした。


 星の中枢、玉座の間。

 10番街の主要戦力を集め、初めての試みである作戦会議を開くことにした。

 メンバーはオレと美唯子、刹那にクラリス、メアと水の6名。

 数は少ないが一人一人の戦闘能力が高すぎるので問題はない。

 目的はレオナルドに捕らえられている9番の救出。

 雰囲気作りのために用意した円卓に全員が着席すると会議が始まる。


「第一回! ドキドキワクワク9番(ノノちゃん)救出作戦〜!

 パチパチわーわーわー!!!」

 

 テンションの高い美唯子のドナリで始まった作戦会議。

 会議と聞いて張り切ったのか、美唯子は伊達メガネをかけ、スーツを着用し、やる気満々だ。プレゼンテーションの場か何かと勘違いしているのかも知れない。

 刹那は舌打ちしているが、緊張感がないくらいが丁度いい。

 

「それで、肝心の9番はどこにいるか、わかっているのか」


 刹那が指で机を叩きながら美唯子に尋ねる。


「はーい! 9番さんは新人類に捕らえられています。

 レオナルドが死んだ後、私の元同級生達は軍事基地から避難し、宇宙辺境の惑星を占拠し、独立国家を築いたようです」


 新人類とはレオナルドが地球の学生を拉致して創り出した改造人間だ。戦闘能力もそれなりにあるし、何よりも厄介なのは全員が特殊な能力を持っているということ。

 

「居場所がわかるなら話は簡単だ。乗り込んで殲滅すればいい。元が平和慣れした学生なら戦にもならない」


 刹那が強い口調で言い放つ。


「いやでも、姉様。レオナルドが関係しているとなると、一筋縄ではいかないかも知れません。それに10番街の守りが手薄になります。大々的に攻め込むのではなく、少数精鋭で目標の奪還のみに注力した方がいいかと思います」


 好戦的な刹那と違い、妹のクラリスは慎重で冷静な案を述べた。


「オレもクラリスの意見に賛成だ。

 オレと刹那と美唯子で9番を救出、残りの者は10番街の防衛を頼む。とりあえずはそんなところか」


 新人類と面識のある美唯子は必須。

 戦力としてはオレと刹那がいれば余程のことがない限り負けはしない。この編成が最善だろう。


「あの……」


 大まかな方針が決まり、話をまとめようとした矢先。

 暗黒物質の姫、メアがおずおずと手を上げた。


「メア、どうした」

「最近、宇宙の様子がおかしい。多分、素零が消えたから。

 暗黒物質(ダークマター)について調べたいから、別行動してもいい?」


 暗黒物質は実質的に素零が支配していた。

 素零が本当に宇宙から消えているとしたら、異変が生じていたとしても不思議ではない。

 

「一人で大丈夫なのか。心配なら助っ人を呼ぶけど」

「大丈夫。宇宙に出たら絶対に負けないから」


 ハッキリと言い切ったメアを信じるしかない。

 オレが頷くとメアは立ち上がり、玉座の間から出て行った。


 その後、新人類との決戦日時等の詳細を詰め、第一回9番救出作戦会議は終了した。


 ◇ ◇ ◇ ◇


 作戦結構前夜。

 精神が昂揚し居ても立っても居られなくなり、神の居城を彷徨っていると、美唯子の部屋から明かりが漏れているのに気づく。


「本当にいいのか? あの男の事は諦めたって言っただろ。

 強制されたとはいえ、敵対してたよな」


 部屋の中から水と美唯子の話し声が聞こえる。

 いけない事だとはわかっていたが、聞き耳を立てる。


「無理だったぁ……ペル様のこと、ほんとに好きでー。

 顔を見た瞬間にまた恋に落ちてしまいましてぇ……」


「10番はサラを推し、1番はお前、第三勢力はアレスティラか。

 まるで恋の戦争だな。アタイはアンタを応援してやるでございますわ!」


「わーん! ありがとうー。ルリスィー好きー!!」


 仲睦まじく女子会を開催しているようだ。

 明日から新人類を相手に戦争紛いのことをしなければならない。オレもゆっくりと睡眠を……。


「──何をしている。覗きか?」

「ウェッ!? 刹那!?」


 いつの間にか背後に刹那が立っていた。

 まるで気配を感じなかった。さすがは伝説の勇者様だ。


「いや、たっ、たまたま、声が聞こえてきまして、邪な感情とかではなくですね……」

「言い訳をするな、バカモノ」


 頭部にもらった強烈な一撃(ゲンコツ)にオレは目を剥いて床に倒れた。


最後まで読んでいただきありがとうございました。

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