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最難関・攻略不可能ダンジョン。死絶の洞窟。


 オレと素零は二人して依頼書を覗き込む。

 クエストの攻略難易度は星の数を用いて10段階で格付けしているようだが、最難関である死絶の洞窟攻略依頼は星が20も散りばめられていた。

 ご丁寧に命の保証はありません。

 生命には攻略不可能! などと、くどい程に明記されている。

 依頼の内容としては単純なものだ。

 ダンジョンの最奥にいるボスを倒し、秘宝を入手する。

 ありきたりでわかりやすい内容に素零は肩を落とす。


「なーんだ! 単純なんだね、拍子抜けだなぁ。

 最難関なんて言うから、もっとドギツイのを想像してたのに」


「これはあくまで人類用の依頼書だからな。

 オレ達が不死身だから簡単に感じるんだろう」


「ところがそうでもないんだよ。

 君達の考えは砂糖菓子よりも甘すぎる」


 二人が声がした方へと振り返ると、先程星になった自称伝説の勇者らしいクラストスが木にもたれかかりながら立っていた。


「秘宝って何かな? 金銀財宝とか?」


「いや、ゲームでよくあるのは武器だとか、次のイベントのフラグになるアイテムの場合が多いんじゃないか?」


 オレと素零はクラストスに気付かぬフリで喋り続ける。


「聞けよ! これだけわかりやすく登場してやったのに無視するんじゃない!!」


 勇者は激怒した。


「それよりもさ、クリアってものすごく可愛かったよね。

 まさにお姫様って感じでさ。多分、彼女、キミのこと好きなんじゃないかな?」


「確かに芯の強い素敵な女性だった。

 彼女ならきっと立派に国を治めてくれるだろう」


 オレと素零はクラストスに気付かぬフリで喋り続ける。


「もうダンジョン攻略とも違う話をしてるじゃないか!

 いい加減にしないか君達! 僕はここにいるんだぞ!

 勇者生活15年、こんな扱いを受けるのは初めてだ、クウゥ〜」


 勇者は自身の境遇を嘆いている。


「なんか勇者って言うよりは喜劇役者だよな」


「あんなのに世界を救われたくないよねー」


 オレと素零は辛辣だった。


「よーやく! 僕という偉大な存在に気付いたようだね!

 実は君達のせいで僕の信用は失墜してしまったのだ!

 そこで最難関ダンジョンをクリアして名誉挽回を図りたい!

 君達がどうしてもと言うなら僕のパーティに入れてあげよう!」


 オレと素零はすでにその場を去っていた。

 勇者は落胆している。

最後まで読んでいただきありがとうございました。

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