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第八話 無計画

 イノリは現在エルザにこのダンジョン付近の事を聞いていた。

 エルザによるとこのダンジョンがある場所は地獄の森と言うらしい。

 そしてこの地獄の森の付近にある街が、ヴァーザ伯爵領、ロージライア男爵領、カエンズ公爵領らしい。

 エルザはイノリがエルザのフルネームを知らないと思っているが実際は鑑定眼で丸わかりなので内心焦っていた。


(貴族ってのは知ってたけど今の話を聞く限りエルザは侯爵令嬢ってやつなのか?)


 イノリは侯爵令嬢と魔王が一緒にいると知られれば確実にまずいことになると思いはしたもののどうしようもない。

 せめてもの救いはここが地獄の森と言う滅多に人が来ない森であったことか。

 そしてイノリはこの国の名前も聞いておいた。

 この国はサーイーヤル王国と言うらしい。


(ここが地獄の森とかいう場所でも侯爵令嬢がいなくなってるんだから時間の問題だよな、そもそもエルザはなんでこんな場所にいたんだ?)


 それはイノリの純粋な疑問だった。

 本人に聞いてみようかとも考えるが下手に話を聞いてしまえば巻き込まれる気がしたのでやめておいた。

 もう十分巻き込まれているとは思うが。


「イノリさん? どうしました?」


 イノリの考え込む姿を見てそんなことを聞いてくる。


「いや、なんでもない......そう言えばスーはどこに行ったんだ?」

「スーならあそこにいますよ」


 エルザの視線を追うとスーがペラペラになって何かに潰されたみたいにそこにいた。

 イノリは何かあったのかと思い駆け寄ろうと思うがエルザに止められる。


「恐らく眠っているだけですよ」

「......あれがか?」

「はい、いつも私が起きるとああなっています」


 イノリはそれはそれでどうなんだ? と思う。

 エルザがもし逃げようとした時のためにスーには見張っておくように言ってあるのにエルザが起きる時にああなっていて大丈夫なのか? と。


「まぁいいか......じゃあエルザダンジョンを拡張していくからMP回復を頼む」

「分かりました」


 そして二時間ほどでエルザとイノリのMPを全て使い果たしかなり広げることが出来たと満足するが、料理を出すMPを残していなかったと気がつくのはそれからすぐの出来事である。


┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈

 地獄の森をミスリルの装備を着た兵士や騎士おおよそ100人が周りを警戒しながら進んでいた。


「本当にこんな所にお嬢様はいるのかよ」


 一人の兵士がそんなことを言うが近くにいた騎士によりもっと気を引き締めるように言われる。

 カエンズ侯爵は兵士や騎士の中でも真面目な者を選んだのだが、こんな所を何時間も歩かされると多少の愚痴を言いたくなるのも無理はない。

 そして今の場所に来るまでにも何度か魔物に襲われているのだから。

 重傷者こそいないが皆精神的にきているのは間違いなかった。

 そして辺りが暗くなってきたのでその場を指揮している騎士団長のガイア・ギシューテはここで一夜を明かすことにする。

 もちろん見張りをつけてだが。

 そして酒こそないが野営にしては中々の食べ物が提供されたおかげで士気も上がっていた。

┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈┈


 その頃イノリ達は夕食をどうしようか迷っていた。

 ダンジョン拡張からしばらく時間がたちMPも少しなら回復したとはいえイノリとエルザを合わせて23MPだ。


「......どうする?」

「......イノリさんが無計画にえむぴーを使うからですよ」

「エルザだって何も言ってこなかったろ」

「私はイノリさんがちゃんと計算していると思っていたんです!」


 しばらく言い争う二人だが時期にこんな言い争いをしていても無意味だと思いやめる。


「まぁ、一日、それも夜だけ食べなくたって死にはしない」

「そんな、私は今育ち盛りなんですよ!」

「......大丈夫、もう成長しないから」

「イノリさん? 今どこを見てそう言いましたか?」

「さて、今日はもう寝るか」


 そう言いベッドに向かい布団に入るイノリ。

 エルザは納得がいっていないようだったがエルザもベッドに向かい布団に入る。

 もちろんイノリとは別のベッドだが。

 そして寝ようと思ったイノリだったがふと疑問に思う。

 エルザはこの暗闇の中見えているのか? と、イノリは魔王の身体だからか夜目も利くがエルザはどうなんだと。


「なぁ、エルザ」

「......」

「仮に起きてて返事をしていないなら明日の朝食は抜きだ」

「......なんですか?」

「エルザって夜目が利くのか?」

「そう言う魔法を使っています」

「そうなのか......おやすみ」

「......おやすみなさい」


 イノリはおやすみって言う言葉はあるのかと思いながら眠りにつくのだった。

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