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第六話 レベル上げ

 イノリはエルザが眠ったことを確認するとエルザを起こさないようにスーに近づいていく。


「スー、エルザがここから逃げようとしたら直ぐに俺を起こしてくれ、分かったな?」


 スーはスライムなので喋ることは出来ないが何となく了承しているように見えたのでイノリは頼んだと言い眠りにつく。

 結局スーに起こされることは無かった。


「イノリさん、起きてください」

「......ん? もう朝か」

「はい」

「じゃあ、おやすみ」


 そう言い二度寝しようとするイノリを無理やり起こすエルザ。

 そんなエルザを見ながらこいつほんとに貴族なのか? と思う。

 そしてエルザの件で厄介事に巻き込まれないようにと祈るイノリ。


「あー、一応俺は魔王なんだぞ? もっと丁寧に接しろよ」

「イノリさんがまた寝ようとするのが悪いんですよ」


 イノリは仕方ないなと言った感じで起き上がる。

 そして今日は何を食べようかと考える。

 そんなイノリの様子を見てエルザが、


「どうしたのですか?」

「いや、朝食をどうしようかと思って」

「それでしたらあまり重たく無いものにしてください」


 イノリはそんなエルザに何か言おうとするがやめ、豆腐を創造する。

 それをエルザに渡しイノリは見せつけるように焼き魚の定食を創造する。


「イノリ、さん?」

「ん? どうした?」

「こ、これは?」


 若干顔が引きつっているように見えるがイノリは気にしない。

 

「軽いもの」

「......確かに私は軽いものと言いましたが、イノリさんとの違いがありすぎませんか?」

「気のせいだろ、後でMP回復よろしく」

「ふふふ、ふふふふふふ」


 そんなエルザの不気味な笑いにイノリは寒気を感じる。

 流石に少しまずいと思いイノリと同じものを創造する。


「ほ、ほら軽いジョーク、冗談だよ」

「あら、そうだったんですか」

「あ、ああ」


 そんなこんなでイノリは朝食を食べ終え、消費MPを確認する。

 

(豆腐が20か、焼き魚定食は30と、大体予想通りだな)


 そしてエルザにMPを回復してもらう。

 便利だなぁ、と思いながらこれならダンジョンを少しづつでもいいから拡張出来るんじゃないかと思う。

 そう考え一旦今のイノリのMPを上限まで使ったとしてどれぐらい洞窟......ダンジョンを広げることが出来るかを試すことにした。

 そしてイノリのMP110を使いダンジョンを広げる。

 すると一部に部分が5cm程の穴が空く。


「たったこれだけか......」


 ダンジョンコアを入れた穴の事を考えると妥当かと思うイノリ。

 

「これを後何回もやるんですか?」

「なるべくこの場所が見つかるまでには罠だったりを配置したいから広げておきたいな」


 そう言ってみるものの当然エルザにもMP上限はある。

 それを考えると何日かかるんだと先が遠くなるイノリ。


(そう言えば俺がレベルを上げても大してMP上限は増えなかったがエルザのレベルが上がるとどうなるんだ?)


 一度そう思うと気になって仕方がなかったのでエルザを洞窟の外に連れ出す。

 その際嫌そうにしていたがそれは恐らくイノリに自分が貴族だと言っていないから、私を探している人がいるかもだなんて言えないからだろうと思う。

 イノリもその事を考えたがそれよりもエルザのMP上限を上げてダンジョンを広げる効率を良くしたかった。


「じゃああっちに行こう」

「......いいんですか? ダンジョンを放っておいて」

「別にそう遠くに行くわけじゃない」


 スーに行ってくると言ってからダンジョンを離れる。

 しばらく歩くと黒い2m程の身長をした人型の鬼のような魔物が大剣を持ちながらそこにいた。


「じゃあエルザ、頑張れ」

「えっ? ち、ちょっと待ってください、イノリさんも協力してくれんじゃないんですか?!」

「いや、最初はそうしようと思ったんだが経験値がどうなるか分からないからな」

「けいけんちと言うのは私には分かりませんが私にはオーガの上位種を一人で相手取る力はありません!」


 エルザは必死にイノリを説得する。

 当然だろう、イノリに協力してもらわないと絶対に死ぬ自信があったから。

 イノリは取り敢えずということで鑑定眼を使ってみる。


 レベル:39

 名:無し

 種族:オーガギガ

 クラス:無し


(レベル高ぇぇぇ、......いや、落ち着け、俺魔王だし大丈夫)


 イノリは内心でそう思いながら表には出さないようにする。


「エルザ、魔法を打ってみてくれ」

「イノリさんは?」

「あーそうだな、取り敢えずMPを回復してくれ」


 そう言いエルザにMPを回復してもらうイノリ。

 そしてイノリは刀を創造する。

 イノリはテレビなどでしか刀を見たことが無かったので外見はいいが性能が大丈夫だという保証はなかったが少なくてもこの戦闘中なら大丈夫だろうと判断する。

 消費MPは80。


「俺はエルザが魔法を打ったらこれで追撃するから」

「分かりました」


 流石にイノリ達の存在に気がついたのかオーガギガはイノリ達の方に雄叫びを上げながら向かってくる。


「ガァァァァァ」


 エルザの魔法の邪魔にならないようにオーガギガとエルザの間に立つ。


【風の刃よ立ち塞がる敵を貫きなさい】


 エルザがそう言うと風の刃がオーガギガに向かって行く。

 オーガギガに傷をつけることには成功するが致命傷にはならない。

 オーガギガは傷をつけられた苛立ちを隠そうとせずにエルザに向かっていく。

 ただ、エルザの前にはイノリがいた。

 オーガギガはイノリを邪魔だとばかりに持っている大剣を振るうがイノリの刀に受け止められる。

 イノリは刀の使い方など分からなかったが持ち前の身体能力で補う。

 イノリは受け止めた大剣を弾きオーガギガの首を半分まで切る事に成功するが同時に刀が折れてしまった。

 イノリが刀の扱い方をもう少しでも知っていれば結果は変わっていたのだろうが......。

 イノリは刀の使い方がお粗末なのは理解していたので動揺することなくオーガギガの持っていた大剣を素早く拾い切れなかった首を完全に切断する。

 

「ふぅ、終わったな」


 イノリはエルザがオーガギガから溢れ出ている血を見ても大丈夫か? と思ったがその心配は無用だったようだ。


「お疲れ様です」

「ああ、血、平気なのか?」


 これはイノリの単純な疑問だった。


「はい平気です、イノリさんに会うまで私はこの森の中を一人でしたから、その際に色々と見ています」


 イノリは一人? と疑問に思うも触れないようにする。


「そうか」


 イノリはそう一言発すると自分とエルザのステータスを確認する。


 レベル:29

 種族:不明

 クラス:魔王

 HP:5937/5937

 MP:32/128

 魔力:3573

 筋力:1658

 耐久:1439

 俊敏:1138

 固有(ユニーク)スキル:言語翻訳

 スキル:アイテムボックス、鑑定眼Lv1、投擲Lv1、剣技Lv1


 レベル:18

 名:エルザ・カエンズ

 種族:人間

 クラス:貴族

 HP:739/739

 MP:1135/1357

 魔力:532

 筋力:93

 耐久:127

 俊敏:234

 固有(ユニーク)スキル:無し

 スキル:交渉Lv4


(俺のMPは......うん、エルザのほうはと......レベルの上がり幅が俺より低いな、トドメを指したのが俺だからか? それとも魔王と人間の差か? ステータスの上がり幅も......)


 そこまで頭の中で考えたところでエルザのMPが目に入る。


「1353!?」

「えっと、イノリさん?」


 突然のイノリの声に驚いたのか戸惑った様子を見せるエルザ。

 

「あー、エルザのMPの増え方が俺よりよかったから......」

「......イノリさんはもしかして鑑定眼のスキルを持っているのですか?」

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