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大五話 脅し

「魔王なんですか?」


 エルザはそうイノリに聞いてくるがまだイノリは諦めて無かった。


「だからさっきも言ったろ? 魔王だったらとっくにエルザは死んでるって」

「そうですね、ですがアイテムボックスは魔王しか使えないのですよ?」

「......いや、それはなエルザの聞き間違いで、俺は相手のボックスって言ったんだよ」


 苦し紛れというのは分かっていたがイノリはそう言う。


「いえ、私はしっかりとアイテムボックスと聞きましたよ?」

「それを聞き間違いって言ってるんだよ」

「そうでしょうか? そもそも何故こんなところにベッドが?」


 ベッドの方を見て聞いてくるエルザ。


「アイテムボックスでーー」

「アイテムボックスですか?」


 本当は創造したのだがそんなことを言えばそれこそ言い逃れは出来ないと思いアイテムボックスと言ってしまった。

 イノリは言い訳をしようとするがもうエルザにはバレていると悟り正直に打ち明ける。

 その結果エルザが暴走するようならイノリはエルザを殺すことを躊躇わないが......。


「やはりそうでしたか」

「......」

「では、私もここに住んでもいいですよね?」

「なんでそうなる」

「いいのですか? 私が口を滑らせてしまっても」


 実際にエルザを外に逃がすのは得策ではない。


「俺は魔王だぞ? ここで口封じをしてもいいんだぞ?」

「では何故最初からそうなさらなかったのですか?」

「最初はまだここがダンジョンだと気がついていなかったろ」

「そうですね、ですが私が演技をしている可能性もありましたよ?」

「わざわざ服をそんなボロボロにしてか」

「こ、これは、違います!」


 イノリに指摘され急に恥ずかしくなってきたのか顔を真っ赤にしながら話を戻す。


「と、とにかくですね私をイノリさんと一緒に住まわせてください」

「本当にデメリットしかないんだが......」

「でしたら私もダンジョンを守るのをお手伝いしますよ?」


 エルザは何故こんなにもイノリが渋っているのかを理解出来ていなかった。


「じゃあもうそれでいいよ......」

「はい! では、これからよろしくお願いします」


 そう言い深々と頭を下げるエルザ。

 嬉しそうにしているエルザを放っておいてイノリはこれからどうしようかと頭を抱えるのだった。


「あの、イノリさん」

「どうした?」

「その......申し訳ないのですが何か服を用意してくれませんか?」


 そんな言葉を聞いたイノリは本当に嫌そうな顔をする。


「そ、そこまで嫌がることないじゃないですか! はっ、まさかイノリさんは私のこんなあられのない姿を見ていたいと?」


 イノリはこいつ一回殴ってやろうかな? と考えるもやめる。

 そして渋々だが魔王のこととイノリのMPの事を話す。

 (イノリの前世については触れずにだが)

 その際MPという言葉を理解していなかったが、魔法を使ったりするための力と言えば理解したようだった。


「そんなに少ないのですか?」

「......ああ」

「えっと、じゃあもしかして私はずっとこのまま?」

「そうしてくれるとありがたいな」

「そ、そんな!」


 先程までは緊急事態とでも言うべき時だったのでエルザも許容できていたが今はそうじゃないらしい。


「私のそのえむぴー? ですか? それを分けられないのですか?」

「......それはどうなんだ?」

「やってみましょう!」


 張り切っている様子のエルザだが、そもそもやり方が分からなかった。


「ん〜、魔法を使う感じでイノリさんにえむぴーを注げばいいんじゃないですか?」

「一度やってみるか」

「はい!」


 そしてエルザはイノリの手を握りMPをイノリに送ろうとする。

 するとエルザの手が光だしイノリも何かが流れてきているような気がした。

 ステータスを確認するとMPが上限に達していたのでエルザに手を離してもらう。


「回復してる......」

「じゃ、じゃあこれで服を創造? でしたよね、出来ますか?」

「どうだろうな」

「回復してるんでしょう? ならいけるのでは?」

「いや、MPは回復したが上限は超えてないんだ」

「つまり?」

「俺の元のMPが少ないから創造出来るか分からない」


 イノリもエルザをこのままにしておくのは可哀想だと思ったので服を創造できるか試してみる。

 イノリが創造しようとしているのはワンピースだ、これなら一回の創造で済むからMP消費が激しくないのではないかと思ったからだ。

 そしてイノリとエルザの目の前に黒色のワンピースが創造される。

 イノリに礼をいいすぐさま着替えようとするがイノリはそれを止め、MPを回復してもらう。

 50MPも消費していたからだ。

 エルザはイノリにあっち向いててといい着替え始める。


「もういいですよ」


 エルザはそう言うがイノリは思わぬ拾い物をしたなと思いながら何を創造しようか考える。


「あの、もう着替ーー」


 後ろで何かを言っているような気がしたが気のせいだろうと思い直し創造するものを決めた。

 少し前なら無駄遣いはしたくないからと創造しなかったが今ならエルザがいるからと思い毛布を創造することにした。

 魔王の身体だと寒くないのだがあった方がいいのは間違いなかった。

 そして毛布を創造し消費MPを確認したらベッドに毛布を置く。


「エルザ! MPを40消費したからまた回復してくれ」


 エルザに向かってそう言うがエルザからは返事がない。

 まさか逃げられたのかと思い直ぐにエルザが居るはずの方向を見るとそこにはエルザがいた。


「なんだ、いるなら返事しろよ」

「......ません」

「ん?」

「知りませんって言ってるんです!」

「なんで怒ってるんだよ」

「知りません」

「MPは?」

「知りません」

「えっと」

「知りません」


 エルザの怒りを沈めるためにこのままじゃエルザのベッドがないなぁ、と言うとエルザは渋々と言った感じでMPを回復してくれた。

 その際エルザはワンピースの感想を聞いてきていたのだがイノリは聞いておらずエルザを怒らせたのは言うまでもない。

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