第二十話 男爵2
イノリとフェルは帰ってすぐに寝た。
その日のうちに逃げようかとも思ったが怪しまれるしエルザにも怪しまれてしまう。
エルザには気づかれても構わなかったが説明がめんどくさかったので気づかれない方がいいと思いそうした。
「あ、おはようございます」
「ああ、おはよう」
イノリが目を覚ますとエルザはもう起きていた。
フェルは寝ている。
「随分遅かったですね、もうお昼ですよ。それに外も騒がしいですしね」
「そうか、朝食は食べたのか?」
「いえ、この宿も騒がしかったので食べれていません」
「そうか」
アメリカンドッグを創造するイノリ。
朝から(昼)どうかと思ったがイノリは朝から普通にカップラーメンとかをたべていたのでアメリカンドッグぐらい寝起きでも平気だった。
「なんですか? これ、いい匂いですね」
「ん、んぅ」
匂いに釣られてフェルが目を覚ます。
「! 美味しいです」
フェルにもあげる。
「美味しい」
朝食(昼食)も終わったのでイノリ達は外に出ることにする。
もちろんフェルは帽子をかぶって。
「......帰るか」
「え? 昨日は冒険者ギルドに行くって......」
「そういう気分じゃなくなった」
イノリも流石に襲撃した領主の治める街の冒険者ギルドには寄りたくなかった。
気にはなるが。
フェルも帰りたそうにしている......気がする。
「そうですか、まぁいいですけど」
門の前に着くと昨日の門番と人が違ったので普通出れた。
そのまま何事もなくダンジョンへ帰還する。
帰ってきた時にフェルの眷属がフェルにむかって色々言っていたが特に気になることはいっていなかった。
「疲れたから今日は寝る。腹が減ったら起こしてくれればいい」
「また寝るんですか?」
「わかった」
眠りにつく。
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イノリ達が宿に帰り眠っている頃。
「何をやっておる! 早く犯人を探さぬか!」
「そう言われましても......やはり事故なのでは」
「何度言わせるつもりだ! 私はこの屋敷から逃げていく人を見たと言っているだろう!」
「屋敷が崩れたんですから逃げるのでは......」
「口答えなどせぬにさっさと犯人を探せ!」
(どうやって屋敷を壊したのかは知らぬが目にもの見せてくれよう)
兵士達はどうせ男爵の見間違いだと思い真面目に探そうとしない。
これがもう少し日頃の行いが良ければ結果は変わっていたのかもしれないが。
男爵は宿を借りるために護衛を連れて屋敷がある場所を離れる。
男爵は昨日獣人を持ってくるように命じさせた部下にそいつらが来たら地下に放り込んでおけと言うとイノリ達が泊まっている宿へ向かう。
夜中だったこともあり宿の人たちが驚いていたがプロの意地を見せ何事もないように男爵を部屋に案内する。
(ふん、宿の者の様子を見る限り獣人を持ってくるのはバレていないようだな......まだ持ってきていないと考えることも出来るがあいつらは仕事だけは早い)
失敗することは1mmも考えていない男爵。
そして男爵も眠りにつく。
目が覚める。
「騒がしいな」
「屋敷の事が噂になっているようです」
「チッ、仕方ない」
あれだけ派手に半壊していればバレないはずがなかった。
昨日の音を聞き見に来た者もいただろう。
「屋敷に戻るぞ」
屋敷に戻る途中視線を集めるが仕方ないことと思い堂々と歩く。
「おい、獣人は地下にいるのか?」
「い、いえ、それが......」
部下が躊躇っているのに苛立つ。
「なんだ?」
「失敗したようで今は警備兵の所にいるようです......」
一瞬何を言われたか理解できなかったがすぐに理解する。
そして顔を真っ赤にして部下に怒鳴る。
「ふざけるな! 獣人一匹も持ってくることが出来ないのか!」
「ど、どうしますか」
「まずは街を出入りできなくしろ!」
「よ、よろしいのですか?」
「さっさとしろ! そいつらだけは殺す、絶対に逃がすな」
そんなことを言う男爵だが既に今はイノリ達は門の前にいた。
どう頑張っても間に合わない。
それからしばらく経っても収穫はなく男爵の苛立ちが増していくのは言うまでもない。




