第二話 便利な魔王の身体
「んー、よく寝た」
そう言い体を起こしあることに気がつく。
「身体が痛くない......」
昨日は仕方なく洞窟の地べたで寝たのでイノリは明日は身体中が痛いんだろうなと思っていたのだが、全くそんなことはなかった。
「魔王の身体......便利すぎないか」
そう呟くも直ぐにベッドを創造する。
身体が痛くないからとはいえ別に寝心地が言い訳ではなかったからだ。
イノリも少し勿体ないと思いはしたが早いうちに創造しておいた方がいいだろうと思い創造する。
「消費MPは60か......時間が経ったことで昨日使ったMPは回復したが......もう後40しかないし」
そしてイノリは残り少ないMPを何に使おうかを考える。
朝食を出そうとも考えたが、人間ならともかく魔王なんだしまだ平気だろうと思い今いる空間にちょっとした穴を開けることにした。
「たったこれだけの穴でMP20消費か......まぁいい今後のためだ」
そして開けた穴にダンジョンコアを入れその穴を閉じる。
穴を閉じるのにMP10を消費しイノリの残りMPは10だ。
「よし、これでちょっとは安全になっただろ」
そしてイノリは洞窟の外に出る。
昨日ステータスを確認した時にレベルが1となっているのを確認したからだ。
レベルを上げればMPが増えるのではないかと、そう考え魔物を探しに出かける。
魔物だったり生物を倒せばレベルが上がるというのはダンジョンコアにあたえられた知識だ。
イノリの目の前にはイノリが前世でプレイしていたゲームに出てくるゴブリンを三匹合成したかのような魔物がいた。
すかさず鑑定眼で相手を調べようとするがイノリのレベルが低いためか基本的なことしか除くことは出来なかった。
レベル:29
名:無し
種族:ゴブリンキメラ
クラス:無し
「......タイムとかってーー」
イノリが言い終える前にゴブリンキメラはイノリに向かってくる。
「あ、だめですよね」
そう呟き全速力で逃げようとするがゴブリンキメラは逃がしてたまるかと持っていた棍棒を力いっぱい投げる。
イノリはそれを避けようとするが間に合わず顔面に思いっきりぶつかる。
「いっ......たくない」
考えてみればイノリは魔王なのだからいくらレベルが低かろうがその辺の魔物に負けるはずがなかった。
ゴブリンキメラは自分の攻撃が効いていないことに気がつきイノリに向かって走り出す。
そんなゴブリンキメラに向かってさっきの棍棒を拾い今度はイノリが力いっぱいゴブリンキメラに向かって投げる。
そして瞬く間にゴブリンキメラに棍棒が当たり体を貫通する。
そしてその場に倒れるゴブリンキメラ。
「魔王の身体強っ!......こんなに強いならMPもっとあってもよかったじゃんかよ......」
自分が強いことは理解したが結局ダンジョンコアを壊されれば死んでしまうのでMPが無いことを呪うのだった。
「まぁ? ゴブリンキメラを倒したんだし? 当然レベルはあがってるよな?」
イノリは自分のステータスを覗き込む。
レベル:11
種族:不明
クラス:魔王
HP:4620/4620
MP:15/110
魔力:3125
筋力:1167
耐久:1068
俊敏:896
固有スキル:言語翻訳
スキル:アイテムボックス、鑑定眼Lv1、投擲Lv1
「スキルが増えてる......うん、これはいい......おかしくないか? 他のステータスとの上がり幅が違いすぎないか?」
イノリはここで考えても仕方ないとゴブリンキメラをアイテムボックスにしまいダンジョンに戻るのだった。
そしてダンジョンに戻る頃にはMPが20まで回復していたのでお腹が空いているということもありおにぎりを創造してみた。
ただのおにぎりだ、具も何も無いただのおにぎり。
「美味いな、さてMPの減少はっと」
ステータスを除くとMPが10しか減っていなかった。
ダンジョンコアに与えられた知識によればアイテムボックスの中は時間が停止しているらしいのでおにぎりをもう一つ創造し、アイテムボックスにしまう。
そしてMPが無くなったので回復させるために毛布は無いがベッドに横になり眠りにつくのだった。