第十四話 犬と猫
「イノリーご飯まだ〜?」
そんなことを言うのはベッドで丸くなっている人化したフェンリル。
こんなけも耳の美少女がいるのだから日本人としては嬉しいのだろうが中身はぐうたらで食いしん坊な爆弾。
(はぁ、少なくともこっち協力的なのがせめてもの救いか)
イノリが死ねば美味しい物を食べられないと説明をしたところダンジョンのコアやイノリを守ると約束してくれた。
もちろんエルザやスーもだが。
「ご飯はまだだ」
「え〜」
「イノリさん、少しぐらい早くてもいいんじゃないですか?」
「いいこと言ったぞエルザ」
仕方ないので適当に味噌汁と肉とご飯を創造する。
そしてフェンリルの前にはそれと一緒にドッグフードを置いてみる。
「これは? 二人の所には無いようだが」
「私も見たことありませんね」
「食べれば分かる」
エルザもフェンリルも知らないようでそれ以上は何も言われない。
「と言うかお前名前ないのか? 不便なんだが」
「それは私も思っていました」
「無い、不便なら適当に名付けてくれ」
「そんな適当でいいんですか?」
「良い」
「じゃあタマで」
「......私に猫につける名前を付けるとはいい度胸をしているな」
「適当でいいっていったじゃん」
(なんで猫の定番の名前知ってるんだよ)
「適当といっても私が気に入る名前じゃないとダメだ」
「じゃあポーー」
「ポチと言えば殺す」
「......」
「イノリさん、もう少し真剣に考えましょうよ」
仕方ないのでイノリは真剣に名前を考え、ふとフェンリルの方を見るとドッグフードを美味しそうに食べていた。
「これ美味しい、もっと無いのかイノリ」
「......MP不足」
「エルザに回復してもらえばいい」
エルザはイノリのMPを回復する。
回復してもらったはいいもののドッグフードを創造するかは迷う。
バレたら絶対死ぬから。
(やっぱポチでいい気がしてきたな)
「イノリ、これはもう出せないのか?」
「え? ああ、もう出せない、たまにしか出せないんだよ、そんなものをあげたんだから感謝しろよ?」
「そうなのか......ありがと」
「私も食べたいです」
何故かフェンリルに恩を売れたイノリ。
そしてエルザの言葉には心の中でやめとけと思うのだった。
(名前、どうしようか......フェンリルだしリルとかでいいと思うんだが安直すぎるとか文句言われそうなんだよな......)
と色々考えてみるも安直な名前しか思い浮かばなかった。
エルザに丸投げしようとするも普通に断られた。
「よし、じゃあ今日からお前の名前はフェルな」
これはフェンリルから付けた安直な名前ではない。
ラテン語でねこはフェーレースと言うらしい。
フェは猫から取ったのだ。
「安直すぎません?」
「いや、フェーレースと言う偉大な生き物から取った名前だ」
「偉大?」
「世界中で知らない人の方が少ないぐらいの生物だ」
「そうか、なら私は今日からフェルと名乗ろう!」
(今度キャットフードでもあげてみるか?)
「そう言えばフェルってお金もってたりしない?」
「私は森の中で暮らしていたのだぞ?」
「つまり持ってないと?」
「うん」
「なんでそんなこと聞くんですか?」
「いや、見た目さえ分かれば創造出来るかと思ってな」
エルザはイノリの言葉に驚きで目を丸くしている。
お金を創造するなんて想像もしていなかったのだろう。
フェルはよく分かっていないのか首を傾げている。
「そ、そんなこと出来るんですか?」
「やってみないと分からん」
「イノリは人の街に行きたいのか?」
「まぁな」
「ダンジョンコアはどうするのだ?」
「フェルがいるじゃん」
「え?」
何故かフェルは驚いている。
エルザは街に行くのは追っ手を混乱させれるからと賛成している。
「なにを驚いてるんだよ? ダンジョンコアが壊されたら俺死ぬんだぞ? 守ってもらわないと困るだろ」
「そ、その間の私の食料は?」
「今までその辺で狩って食べてたんだろ? なら同じでいいだろ」
「あ、あんな美味しいもの食べさせられて今更他の魔物で我慢などできない! 私も連れていけ〜」
そう言いながら足を掴んでくるフェル。
足を掴んだって今からすぐ行くわけではないのだが。
「はーなーせー」
「離さないー」
「顔だけはいいんだからやめろって」
そう言うと手を離し何故か顔を真っ赤にして照れている。
イノリは顔だけと悪口を言ったつもりだったのだが、顔がいいということしか聞こえていないようだ。
「えーと、結局どうするんですか?」
「フェルが留守番」
「私も行く」
「......そもそもの話俺とかフェルって街行って大丈夫なのか?」
「大丈夫だと思いますよ」
「根拠は?」
「今までたまにですが人間に化けた魔物が街に入ってきた事があるからです」
「鑑定とかはされないと」
「そういうことです」
「フェルは?」
「獣人と思われるだけでしょう、フェルさん連れていくんですか?」
「連れてかない」
「絶対行く」
(なんでこいつこんなに頑固なんだよ......)
「仕方ない......」
「連れていってくれるのか?!」
「いや、保存の効く食料を置いていく」
「いーやーだー、わーたーしーもーいーくー」
「お前は子供か!」
食料を置いていくと言っているのについて来たがる訳が分からなかった。
ここでイノリは鑑定眼で見たスキルを思い出す。
「ん? フェル、眷属召喚みたいなスキル持ってなかったか?」
「......あるけど」
「それで眷属召喚してダンジョンコア守ってくれるなら一緒に来てもいいぞ?」
「ほんとか? 後で嘘って言ってもついて行くからな!」
(......俺にスキルを把握されていることに疑問ぐらい持てよ......いや、全部のスキルを見れたわけじゃないだろうからスキルがありすぎてよく覚えてないとかか? でも固有スキルだったよな......フェルが馬鹿なだけか)
そんなことを考えている間にフェルが眷属を召喚していた。
「......今から行くわけじゃないから」
「あ、そうか」
そう言いフェルが手を一振すると眷属が消える。
「す、凄いですね」
「そうだろうそうだろう、イノリも褒めてくれていいんだぞ」
「......さて、ダンジョンの拡張でもするか、エルザ手伝ってくれ」
「え? あ、はい!」
「無視すーるーなー!」
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