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ダンジョン魔王に転生したけどMPが低すぎてダンジョンを守れる気がしません  作者: シャルねる


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第十一話 引越し

「......あー、あれはな......ヨダレがついてたんだよ......」

「嘘ですよね? ヨダレだとしたら何故口元以外を拭かれましたよ?」

「......まぁ、いいじゃないか。ここにあいつらが戻ってくるのも時間の問題だろうし」

「......どうするんですか?」


 イノリは何とか話をずらせたと思い安堵する。


「取り敢えずダンジョンの場所変えよう」

「......え?」


 理解出来ていないエルザを他所にイノリはベッドやらなんやらをアイテムボックスにしまう。

 そしてダンジョンコアを埋めていた場所を掘り返し手に抱える。

 何故かは分からないがダンジョンコアはアイテムボックスには入らないからだ。


「え? あの?」

「ん?」

「そ、それは?」

「ダンジョンコア」

「ど、どこにあるのかは気になっていましたが、地面にあったのですか......」


 イノリは疑問に思う。

 こんな単純なことを他の魔王は思いつかなかったのかと。

 イノリはエルザに聞いてみたがそんなことをする魔王は過去にいなかったそうだ。


「へー、まぁいいや、行こう」

「ちょ、ちょっと待ってください!」

「まだ何かあるのか?」

「あるに決まっています! なんですかダンジョンの場所を変えるって!」

「いや、別にコアさえあればダンジョンなんて作れるし」


 正直イノリ自身もこんなに早く拠点を移すとは思っていなかったが、エルザがいたら色々と苦労することもあるがMPを回復できるという利益がイノリにとって大きすぎた。


「じゃあエルザ、森の奥に行きたいんだがどっちだ?」

「も、森の奥にダンジョンを作る気ですか!?」

「あぁ、この前言ってたろ、森の奥に行くほど魔物が強くなるって」

「そ、そうです! いくらイノリさんが強くても危険です!」


 エルザはイノリを止めようとするがイノリは森の奥にダンジョンを作る方針を変えるつもりはなかった。

 いくらあの騎士団長がレベル90越えでも森の奥なら大丈夫だと思ったからだ。

 エルザが侯爵令嬢なのだから探しに来る可能性もあるがエルザから聞いた話によると騎士団長は昔に森の奥に向かい腕を食われて帰ってきたらしい。

 その時たまたま腕のいい治癒士が治癒魔法を掛け腕が生えてきたらしい。

 いくら騎士団長であってもトラウマがある可能性があるし、その時はレベル90もなかったのかもしれないが。

 仮に騎士団長が森の奥まで来たとしても他の騎士や兵士は足でまといになるだろうから連れてこられないはずだ。

 騎士団長一人でこの広い森の中エルザを探すのは不可能に近かった。

 そしてイノリはエルザを説得(?)し森の奥へと歩き出す。

 ちなみにスーはイノリの頭の上に乗っている。


(スーは戦えないからな、一緒にいるだけでレベルが上がるかの検証もしておきたいな)


 そう思い早く魔物が出てこないかなーと思いながら歩き出す。


「一度街に行ってみたいんだがどう思う?」

「そうですね、ダンジョンコアから離れるのは危険だとおもいます。それにお金もありませんしね」


 ここでふと疑問に思う。

 侯爵令嬢のエルザが何故お金を持っていないのかと。

 だから思いきって聞いてみた。


「もしお金を持っていたんだとしたら地獄の森なんて場所に逃げ込んでいませんよ?」

「そう言われたらそうか、でもお小遣いとかなかったのか?」

「ありましたが侍女やメイドの目もありましたしね」

「それを言うなら逃げる時だってあったろ? どうやって逃げたんだ?」

「私は侯爵令嬢ですから当然外に出るだけでも護衛がつきます。だからいつもこっそり家から抜け出して庭で遊んでたんですよ、そうすれば逃げる時も護衛はまたいつもの事かと思いながら庭に私を探しに行き、侍女やメイドに見られてもまたいつものことかで終わりますよ、侍女やメイドに騒がれないように何度かわざと見つかったりしていたんですから」

「......そんな昔から計画されていたのかよ」


 逆に言えばそんな昔からエルザの嫌な人と婚約が決まっていたのかと思い貴族に転生しなくて良かったと思うイノリだった。

 そしてエルザと適当に話していると金色に光り輝いた狼の魔物が現れる。

 そしてイノリは直感的に確実にやばいと思った。

 直ぐにイノリは鑑定眼を使う。


 レベル:392

 名:無し

 種族:フェンリル

 クラス:王

 固有(ユニーク)スキル:王の威圧、眷属召喚

 スキル:言語理解、身体能力強化Lv9、自己再生Lv10、人化Lv10、???ーー


 何故かスキルを覗けるようになっていたがイノリはそんなことよりこの場をどうしようか悩むのだった。

 そして小声でエルザに話しかける。


「エルザ、交渉のスキル持ってるんだからこいつと交渉してくれよ」

「む、むりですよ」

「こいつ言語理解のスキル持ってるから言葉は通じる、だから頑張れ、と言うかここで頑張らないと俺たち死ぬ、俺言語翻訳ってスキル持ってるから多分あいつの言葉も分かるだろうし」


 ここでエルザにフェンリルと言う種族名を出さないのはエルザが混乱することを避けたかったからだ。

 フェンリルなんてイノリでも知っている魔物だったし、仮にこの世界の人達が知らなくたってそれはそれで良かった。


「わ、わかりましたよ......」


 エルザも死にたくはないようでフェンリルに交渉をしに行く。

 もちろんイノリが傍につきながら......交渉に失敗したら逃げるつもりでだ。逃げられるかは置いておいて。


(まぁ、あれだな地獄の森の俺のところになんか逃げたのが運の尽きだな)


 そう思いながらフェンリルが怒っていて交渉にすらならないなんて事になりませんようにとイノリが祈る、イノリだけになんてくだらないことを考えているあたりイノリにはまだ余裕があるのだろう。

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