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あの頃

作者: 乾燥人生

「じゃあ後でね!」

そう言って家の電話を切り

100円玉を握りしめて友達との待ち合わせ場所まで

急いで自電車を漕いだ日

ボール一つで夕暮れまで遊んだ毎日

疲れたら公園のベンチでアイスでも食べながら

次は何して遊ぶ?なんてことを話していた

夏の夜はまだ少し明るくてついつい遊びすぎたね

あの頃に見た夜は普段と雰囲気が違って

少し怖くてでも何故かワクワクして

まるで別の世界に来たみたいに感じた

ほんの少し大人になった気分になれたね

家に帰るとお母さんに怒られて

でも温かいご飯とお風呂、柔らかい布団まで準備されていて優しさの枕で明日を楽しみにすぐに眠った


5時間目、水泳の後の国語の授業

窓から入ってくる塩素臭い夏風が心地よくて

黒板に当たるチョークの音が僕の心音と重なって

瞼がだんだん重くなった

普段は真面目な隣のあの子も

少し眠そうで一生懸命鉛筆動かしてた


友達との帰り道

背負った夕暮れがどこか寂しそうで

またすぐ会うのに別れ道がすぐそこに感じた

入る部活もう決めた?なんて会話をしながら

笑って歩いたね

だんだん大人になっていく自分が嬉しくて

早く大人になりたいって思っていたよ



あの頃は明日に怯える事なんてなくて

生きることの意味なんて考えたこともなくて

これからの人生に不安はなかった

今みたいに毎日を必死に生きて

自分を消耗するだけの日々なんて

一度も経験したことなかった


あの頃に戻りたいと思う

でも戻れないからあの頃が恋しい

戻れたら僕はきっと消耗してしまう

思い出も僕自身も

だから今日もあの頃と変わらない

柔らかい布団で僕は眠る

明日に怯えてあの頃を夢見て







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