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のみ込んだ価値
それは間違っていると
そんな考えは狂ってると
おまえに告げるはずだった
けれど
おまえのその顔を前にすると
そのカーボンのような双眸に射抜かれて
何も言えなくなってしまう
喉元まで出かかって
結局のみ込んでしまった言葉は
きっと価値なんてない
届くはずがない
伝わるはずがない
そのはずだろう
誰も言えないのか
おれ以外が気付いていないのか
そんなの分かりはしないけど
間違いなくあいつは
間違いを積み重ねている
おれの言葉は届かないし伝わらない
それを知っているから
おれはあいつの横で
間違いを見届ける
あいつの最期を見届ける
そうじゃなきゃ
本当に価値を失ってしまうから




