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時間
時間に追われる日々が嫌だ
そう君は言った
けれどぼくは
時間に追われなければ
気が狂ってしまうかもしれない
これはひとつの例え話として聞いてほしい
君と同じように
限られた時間に生きることを嫌った
愚かなヒトが居たんだ
そのヒトはそんな生き方を変えるために
時間が存在しない世界に渡った
そこに着いたときは
嬉しさに舞い上がったのさ
これで何でもできるってね
――けれど
時間が存在しない世界で
やるべきだったこと
やりたかったこと
その全てを終えてしまった
何もすることがなく
何もできなくなって
そのヒトはやがて
意識さえ消えてしまったんだ




