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反芻と現実
反芻する現実を嫌って睨み続ける。
純白の歯車が油に塗れる様を
無言で見届けるような、そんな感覚。
反芻する現実を嫌って睨み続ける。
間違ったことなんて何ひとつない。
血眼になって、唾を撒き散らして。
反芻する現実を嫌って睨み続ける。
おまえだ、おまえだよ。
おまえのせいで、おれは、あいつは。
反芻する現実を嫌って睨み続ける。
髪で隠れているはずの眼球を恐れて
震え上がるその姿が、一番の幸福なんだ。
反芻する現実を嫌って睨み続ける。
唇を噛み切って、声を枯らして、叫ぶ。
誰でもいい、誰でもいいから。
反芻する現実を嫌って睨み続ける。
止め処ないこの現実を、この惨劇を。
おれの頭から排除してくれ。
反芻していた現実だったものを睨んでいる。
それはおれの姿だったし、おまえの姿だった。
ひとつだけ、ひとつだけ残ればいいんだ。
たとえそれが、塵だったとしても――。




