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姿
笑っている姿。
怒っている姿。
泣いている姿。
暑そうに唸る姿。
寒さに震えている姿。
陽の光を浴びる姿。
風を抱きしめる姿。
疲れ切って眠そうな姿。
俯いて悔しがる姿。
涙を堪えて笑っている姿。
そのどれもが、君の姿。
今まで見せてきた、もしくはこれから見せるはずの
もうひとりの君の姿。
生憎、僕は詭弁が嫌いだ。
だから正直に何でも言う。
君はこれから、辛い思いをするだろう。
何度も転ぶし、擦り傷は増える。
もしかしたら、消えない傷だってできるかもしれない。
――もう、立ち上がれなくなるかもしれない。
人間ってそういうものなんだ。
弱っちいし、泣き虫だ。
無理なことは何をしても無理なんだ。
嫌なことはどうしたって嫌なままさ。
何をしたって、君は君だ。
変えられはしない。
だからせめて、他人になろうとはしなくていい。
君のまま、その姿のままで、生きればいい。




