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夜道
街灯が少ない道を
ひとり歩く
自分の足音だけが響く
足元に伸びる影は不安定なまま
――不意に視線を感じた
足音はしない
影も見えない
だが確かに後ろに誰かが居る
暗闇の中
殆ど無い街灯の灯りを頼りに
ひた走る
しかし
いくら走っても気配は消えない
闇に溶け込むようにねっとりと
付き纏ってくる
――息が上がって立ち止まる
酸欠の頭が悲鳴を上げている
くらくらと揺れる視界の先
仄かに赤い光を放つ街灯があった
その下には誰かがいた
顔が無いその誰かが
無いはずの目を見開いて
こちらを見ている
暫くしてから
わたしは気付いた
どうやら顔を奪われたらしい




