64/448
迎え
彼は歩いていた
終わりに向かって、淀みなく
しかし彼は立ち止った
終わりなんてものは無いと気付いたから
さて彼は
この先どこに向かえばよいのだろう?
彼は何の気なしに振り返った
いや、もしかしたら呼ばれたのかもしれない
そこにはレンガ造りの建物が
ぽつり、と寂し気に佇んでいた
行く当ても、目指すべき終わりも無いので
彼はその建物の中に入ることにした
……建物中は伽藍洞で
埃の一つもありはしなかった
しかし、瞬きを一度すると
顔も知らない誰かが立っていた
「さあこちらへ」
見知らぬ誰かがそう言って手招きをしている
すべきことも、目的も無いので
その誰かの言葉に従った
しばらくの時が経って
彼の迎えが来た
それはよく見知った
自分自身だった――。




