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無関心
静かな部屋でひとり
小さな花瓶を手に持っている
誰かに気付いてほしいわけじゃないし
何かを言われたいわけでもない
忘れてしまったんだ、花の名前を
何といったかな
どうしても知りたいわけじゃないけど
モヤモヤするのは好きじゃない
静寂の音が溢れて
透明の色が広がって
少しずつ、少しずつ
光が差し込んできた
ああ、そうだ
思い出した
とても簡単なことだった
あなたの姿が映っているじゃないか
イベリス
そう、イベリスだ
あなたにとって私は
きっと、白い花のままさ
白く、白く
けれどこの部屋に咲く一輪の花
誰も見ない
誰も知らない
誰もいない
ただそれだけさ