54/448
猫背
君はいつも
背中を丸めて歩いていた
なにかに怯えているようで
なにかを隠しているようで
けれど
君はとても優しい
笑顔が素敵だった
本当に
いつだったかな
もう覚えてないけれど
一人でいた君に
猫背でいた君に
何気なく
話し掛けてみたんだ
君は優しいから
笑顔で話をしてくれたんだ
一人でいる時にしか
君は猫背にならない
けれどそのうち
わたしの前でも見せてくれるようになった
嬉しい半分
もう半分は……分からない
君はそっとイヤホンを
わたしの耳にかけてくれた
去り際に
優しくて姿勢のいい君が言ったの
「どうか僕のことは
キレイさっぱり忘れて欲しい」
無理なことだよ
どうしようもなく無理
君が教えてくれた曲だって
記憶に深く刻まれているのに
結局今も忘れていない
はっきりと覚えている
背中を丸めていた君の姿を
猫背のわたしは
優しくなった
上手に笑えるようになった
君を忘れるために
忘れたふりして
今日もわたしは笑ってる
忘れたふりして
明日もきっと猫背のまま




