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嘘
ひとつ、嘘を吐いた。
誰も気にしないような
些細でつまらない嘘。
咄嗟に口をついて出てしまった
そのことに、少しの罪悪感。
もうひとつ、嘘を吐いた。
バレたら嫌われるかもしれない
少しだけ重たい嘘。
悪気は一切なかったんだ
積み重なる、いくらかの罪悪感。
さらにひとつ、嘘を吐いた。
人間関係が崩壊するような
この体より遥かに大きい嘘。
逃げ場がなくなって吐き出した
せせら笑う、いくつもの罪悪感。
ある日すべてが、嘘になった。
日常の光景を、漆黒の嘘が覆い尽くす。
どこまでも続く嘘、嘘、嘘、嘘、嘘。
笑顔のまま、平然として
罪悪感――そんなの嘘。
辺り一面の、嘘、うそ、ウソ。
信じてる? きっと大丈夫? なんとかなる?
ふざけるな。すべて嘘じゃないか。
――いいや、きっとこれも嘘。
なにもかも嘘になった。
真実さえも嘘になった。
なにが嘘なのか、分からなくなった。
ただ分かるのは。
僕の存在すらも、嘘なのさ。




