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ハンカチ
枯れそうな樹の
その根元に
一匹の仔猫が
死んでいる
名前なんてもちろんないし
これだけ寒い中じゃ
相当苦しんだろう
「可哀想」とは思わないけど
「ざまぁみろ」とも思わない
『そこに仔猫の死骸がある』
それ以上でもそれ以下でもない
汚れていた
それは決して
目の前の死骸だけではなくて
この手もそうだった
むしろ
より輪をかけて汚れていた
ハンカチ
いくら拭いても
汚れなんて取れはしない
ただの布切れで
この汚れは取れない
見えているはず
なのに
どうしても触れられない
べたついていた
ささくれていた
汚かった
僕はそれを
ただ静かに見つめていた




