38/448
美
笑顔の裏に
涙を隠す
斃れた誰かを踏みつけて
無表情
必死に自分を抑えている
迸る感情を
本当の自分が
悪魔であると知っているから
慟哭が疾走する
爛れた嘲笑
飛沫感染すればいいのに
両手で顔を覆って
表情筋を切り裂いて
そうでもしなきゃ
釣りあがってしまう
斑模様の太陽
発光する言葉が
誰かを深淵に誘う
泣いているのに
啼いているのに
どうしてかな
笑えてくるんだ
反転する世界で
縮こまったまま
浮遊
大気の共鳴
嗚呼、なんて美しい。
彼は、彼女は
なんと美しいのだろう。
狂った自我を
溢れているとも知らずに
抑え込もうと必死に
顔を覆い隠している。
嗚呼、屹度
あの時わたしを見ていた
彼も、彼女も
等しく美しかったのだろう。




