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湯舟に沈む
揺れる水面
水滴がひとつ
音もなく
波を残して
ただ果てる
それを待ってる
温い湯舟
冷めた思考
融けてゆく
この体は
氷よりも
濁っていた
掬いあげる
零れ落ちる
温い湯舟
醜い衝動
突き動かされて
操られて
糸を引かれて
踊り踊る
<変わらぬ運命>
それがわたし
それがおれ
それがぼく
ひとつ、糸を切る
左手が沈む
誰かを殴った
錆びた左手が
からん、ころん
と音を立て
沈んでゆく
波を残して
もうひとつ、糸を切る
右手が沈む
誰かを殺した
腐った右手が
からん、ころん
と音を立て
沈んでゆく
波を残して
最後にひとつ、糸を切る
頭が沈む
沈む
沈む
沈む
沈む
沈む
沈む――――。
何も見えない
何も聞こえない
何も分からない
暗闇だけがそこにいた




