21/448
走る
目が覚めるとそこは
つまらない現実だった
どうやらいつの間にか
眠ってしまったらしい
体を起こせば
古びたベッドが軋むし
目を擦れば
視界の靄が晴れてゆく
洗面所に立って鏡を覗く
(随分とやつれたな)
「そんなことはないさ」
変わらない毎日
退屈な日常
それをありがたいと実感したのは
昨日のことだけど
夕暮れが目に沁みた
頬をなにかが伝った
触ってみると冷たくて
失った温もりを追い求める
疲れていたんだ
どうしようもなく
何もしたくなかった
それなのに、どうしてだろう
気づけば夕暮れを追っていた
走る
走る
走る
どこまでも走る
終わりはない
ここじゃないどこかへ
夕暮れが滲み始めた
なぜだろう
けれどすぐに分かった
雨が降り始めたんだ
ぽつり、ぽつり
一滴、二滴
だらだらと
ずるずると
夕暮れが走り去って
夜が追いかけてきた
止まったままの僕は
今もまだ進めない僕は
あっという間に
夜に追い抜かれて
夜明けだ
朝日が昇る
世界を照らす
明日が始まる
もう少しだけ
もう少しだけでいい
ここで休んで行くよ




