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世界
色褪せたカーテンが踊る瞬間
窓から世界が飛び込んでくる
微かに熱を帯びた柔らかな風が
陽光の香りを運んでくる
木陰を飛び交う小鳥
照り付ける紫外線
延々と響く蝉の斉唱
煌めく真緑
広がる青
流れゆく白
光
すべてが遠い外の世界
あの世界は透明だ
残像が目に焼き付いて眩みそうなほどに
現実性の希釈
闇色の空白
乱反射
右手にあるつまらない陰を
いっそのこと投げ捨ててしまおうか
ゆっくりと振りかぶって
転瞬
流れる時の中
そっと風が凪いだ
色褪せた帳が降りる
夏が透過する