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散歩
どうしようもなく眠れないとき
ふと目が覚めてしまったとき
玄関のドアを開けて
冷めた空気を吸い込む
時間はいつも午前二時過ぎ
玄関前は歩道と車道
街灯以外の明かりが無い
静まり返ったアスファルト
時々通り過ぎるヘッドライト
空を切るエンジン音
痛くない静寂の騒音が
僕の足を動かす
歩道に出て
街灯の光を避けて
ゆらゆらと歩く
あてもなく
気分が晴れることはない
けれどそれ以上に悪くなることもない
思考の縺れが消え
真っ直ぐになるだけ
自販機でカフェオレを買い
プルタブに爪を引っ掛ける
かこん、という音とトリプトファンは
午前三時を連れてくる




