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足音
肌を刺す冷たい夜風
薄暗い街灯の下に
小さく音が木霊する
スニーカーが地面を蹴って
白い息が溶ける
聞き馴染んだ声が
わたしを呼んだ気がした
遠くに見える灯り
届かないと知っていて
手を伸ばす
鼻を突く潮の香り
妙に明るい夜空が
滲んでいく
歪んでいく
言えないこと
聞きたくないこと
蓋をした
あなたがわたしを見ていないって
誰より知ってるの
それでもわたしは
いつまでも いつまでも
時計の針が振れ動く
当たり前な顔をして右回り
目を背けた
液晶画面の光で
視界がぼやける
俯いて歩き出す
ひとり分の足音




