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惰性
温い空気が満ち満ちた
陽の当たらない空間で
虚ろをひとつ握り潰した
天井を見上げると
名も知らぬ蛾が一匹
忙しなく飛んでいた
机に描いたラクガキも
擦れ削れて消えてしまった
誰だってそうさ
ゆらゆらと揺れながら
今日を浪費して生きている
意味なんてないのさ
探すことすら無駄に思えて
爪先を見つめて歩き続ける
縄の輪を前にして
たったの45㎝さえ
飛び降りることができない
何度この部屋に帰るのだろう
何度この部屋で息を吸うのだろう
――呼吸
分からない
分からないまま今日も生きる