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07.勇者、魔力測定器を壊す



 2限目は実技の授業だった。


 生徒は動きやすい服装に着替え、【教練室トレーニング・ルーム】へ移動した。


 闘技場みたいな作りだ。

 2階は観戦できるようになってる。

 


「まず、魔力測定から始める」


 実技の先生が、集まった生徒達を見渡して言う。


 先生の隣には、人間大の金属板が置いてあった。


「こいつは【魔力測定板】。手で触れることにより、表面に【体内に保有する】魔力値が表示される」


 前世でも同じものがあった。

 ただ、昔のはもっとデカかったな。


「では、測定を始める。一列に並べ」


 生徒達が測定板の前に整列していく。

 俺はモタモタしてたら、最後尾になってしまった。


「……見てガイアスぅ。魔無しのクズが並んでるわ」

「……恥をかくってわかってるのに、馬鹿な人だよ」


 ガイアスと恋人は、俺より前に並んでいる。

 クスクスと楽しそうに会話していた。


 さて、1番目の生徒が、測定板に手を触れる。


 板の中央に、じんわりと数字が浮かび上がる。


「ま、魔力値……15ぉ?」


 前世での15歳の平均値は、4桁くらいだった。

 あの子は先天的に魔力量が少なく苦労しているのだろう。


「うむ、平均値だな」


「え? うそ?」


「魔力の値は一般的に、その人の年齢の数値と同じと言われているからな」


「ボクらは15歳だからあれでいいんだよ。そんなことも知らないの兄さぁん?」


 クラスメイト達も、何を今更みたいな顔をしていた。


 え、低すぎないか?


 その後も生徒達が魔力を測っていく。


 確かにみな15前後だった。

 たまに20を超えるものがいる。そのときは拍手が起きた。


「次、ガイアス=フォン=カーライル」


 ややあって、弟の番になった。


「ガイアスぅ~♡ がんばってぇ~ん♡」


「見ていてくれヒストリア。証明しよう。天才のボクが、君にふさわしい男であることを」


 ガイアスがチラリ、と俺を見た後、測定板に手を触れる。


 自信に満ちた表情を浮かべる。

 かなりの魔力量なのだろう。


 まさかと思うが、前世の赤ん坊の平均値だった100を超えてない、ってことはないよな?


「…………ご、50?」


 ガイアスの出した結果に、俺は目を丸くする。


「素晴らしい! 天才だ!」

「おれらの3倍もの魔力量を持つなんて!」


「さすがよガイアス! あのクズよりあなたを選んで正解だったわ!」


 俺は狐につままれてる気分だ。

 

「次。ユリウス=フォン=カーライル」


 俺の番となり、所定位置につく。


「……魔無しのゴミが笑いものになるのを、一緒に笑ってあげましょぉ」


「……そうだねヒストリア。ぷぷっ、いいぞ今度こそ恥をかけ兄さんっ」


 俺は先生に言う。


「【全集中】使ってもいいですか?」


「ぜんしゅうちゅう、とは?」


「大気に満ちる魔素マナを取り込んで、体内魔力に変換する特殊な呼吸法です」


「な、何を言ってるんだおまえ……?」


 え、なんで知らないんだ?


 人間の魔力量なんて、膨大な体内魔力を持つエルフや魔族と比べたら微々たる物だ。


 だから大気中の魔素を取り込んで魔力にする技術は必須だったはず。


「兄さぁん、授業の進行を妨げないでくれよぉ~」


「すまん。そんじゃ、いくぞ」


 板に触れ、全集中を使って、魔素を取り込む。

 こうすることで、大気中から無際限に魔力を生成できる。


 パリィイイイイン!


「なっ!? そ、測定板が壊れたぁ!?」


 え、あんま魔力込めてないぞ?


「なんだ、機械トラブルね。残念……って、どうしたのガイアス?」


「……う、嘘だ。あのクズは、魔力ゼロのはずなのに! どうして!」


「……す、すごい! 測定板を破壊するほどの超越した魔力! 何者だあの生徒は!?」

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― 新着の感想 ―
[一言] 魔力測定なんて普通、年や期の始めに一回やるだけで、授業の度になんてやらんでしょ。授業が進まんよ ”全集中をパクる為だけ”に一話使うその根性、俺じゃなきゃ見逃しちゃうね
[一言] 全集中、呼吸法… パクリパクリと騒ぐ気も無いけどひねりなさすぎでしょう。 大気からマナを取り込むのがなぜ「全集中」という ネーミングになるのか分からないので流行ってる 作品から取ってきたの…
[一言] どこかで見たような話のオンパレードだな 黒寄りのグレーだろこれ
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