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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第4章

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45.魔族、弟を誘拐するが瞬殺される



 転生勇者ユリウスが、弟を鍛えることになってから、2週間が経過したある日。


 とある洞窟のなかにて。


「うききっ! 誘拐してきてやったぜ、出来そこないの弟をよ!」


 魔族【ゴクウ】はニヤリと笑う。

 サル型の魔族だ。


「ライカンのやろう馬鹿だよなぁ。誘拐するなら、あの化け物がいないタイミング狙うだろ」


 ゴクウは嬉々として麻袋を、地面に乱暴に放り投げる。


 人がひとり入ってるように、膨れ上がっている。


「雑魚1人誘拐するだけ。楽な仕事だったね」


「誰が雑魚だって?」


 ザシュッ!


 麻袋が切り割かれ、金髪の少年が出てくる。


「ば、ばかなっ! おれの調合した【眠りの毒】を自力で打ち破れるはずがない!」


「確かに強い毒だったけど、兄さんが『解毒魔法の特訓だ』っていってボクにかけた【死の呪毒】と比べたらゴミだよ」


「あり得ない! 魔王様しか使えない即死級の毒を、たかが人間ごときが使用することなど不可能だ!」


「ほんとそうだよね……それで、何のよう?」


 ゴクウは内心、動揺しまくっていた。


 人間は魔族である自分を見るだけで、震え上がるはず。


 しかしこの金髪少年は、微塵も恐れている様子がない。


「ききっ! 貴様をさらい、あの化け物に言うことを聞かせるためだ!」


「くそっ! まだボクは魔族から見たら、兄さんのおまけの雑魚だと思われてるのか! チクショウ! ブッ殺す!」


「ききっ! これは驚いた! おれを倒す気でいやがるのか! 不遜な人間サルだなぁ!」


「サルはおまえだろう?」


「!?」


 ゴクウは、衝撃を受けた。


 離れた場所にいたガイアスが、一瞬で間合いのうちに入ってきたのだ。


 音もなく、まるで転移してきたかのように。


 ひゅっ……!


「う、うおぉおおおおおおお!」


 彼の双剣を、ゴクウは紙一重でかわす。


「ば、ばかな! なんだ今のは!? 速すぎだろ!」


「くそっ! こんなんじゃ遅いんだ! 兄さんと比べたらハエが止まって見えるレベルだよ!」


「ふざけるな! 今の神速の抜刀がトロいだと!?」


 彼はまた一瞬で距離を詰める。


 ゴクウは如意棒を取り出し、その剣を受け止める。


 ガキィイイイイイイイン!


「重っ!」

「せいっ! せやぁっ!」


 ガイアスは双剣を凄まじい早さで振るう。


 2本の剣が、速すぎて4本に見えるほどだ。


 キンキンキンキンキン!


「くっ! このおれが防戦一方だと!?」


 ガキンッ……!


 強めに弾かれ、ゴクウは吹き飛ばされる。


「ぜぇ、はぁ! は、話と違うじゃないか! 弟は弱いはずだろ!?」


「ああくそっ! そんなこと今更言われなくてもわかってるんだよ!」

 

 ガイアスは右手をゴクウに向ける。


「【風刃ウィンド・エッジ】!」


 びゅぉおおおおおおおお!


 超巨大な風の刃が、目にもとまらぬ早さで、ゴクウへ飛んできた。


「ひっ……!」


 ゴクウは避けるまもなく、風刃によって胴を真っ二つにされた。


「そんなバカな! 確かにおれは下級の魔族……けど、人間ごときに後れを取ることなんて!」


「くそっ! ダメだ! こんなんじゃ兄さんに全く届いてない!」


 人間が魔族を倒した、という快挙を成し遂げたというのに、ガイアスは全く嬉しそうではなかった。


「こうなったら……奥の手を使う! 秘技【分身の術】!」


 ゴクウは、全身の毛をむしって、息を吹きかける。


 ぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼぼっ!


「ふははっ! どうだぁ! 100体の分身を前に、絶望しろぉ!」


 吐き捨てるように、ガイアスが言う。


「チッ! まあ。前のボクならね。けど……今のボクは、10000の分身を作る人を知っている」


「は、はは! 嘘も大概にしろ! そんなことできる人間がどこに居る!?」


「確かに人間はいないよ。けど……化け物ならいるから」


 そのときだった。


 ボッ……!


 100体居るゴクウの分身が、一瞬にして消し飛んだのだ。


「はぁあああああああ!?」


「よっ、ガイアス。おまえ音楽の授業サボってこんなとこで油売ってちゃだめだろ?」


 剣を持った黒髪の少年が、いつの間にかそこにいたのだ。


 ゴクウは混乱の渦中にいた。


「お、おまえ……どこから現れた!?」


「え、転移してきたんだけど?」


「どうしてすぐ駆けつけなかったんだ!?」


「いや、授業中だったし、サボっちゃ駄目かなって」


「弟が魔族にさらわれたのにか!?」


「え、おまえ魔族だったの?」


 愕然とするゴクウに、ガイアスは隣にしゃがみ込んで、ぽん……と頭をたたく。


「わかった? これが本物の化け物だから」


「え、誰の話?」


「「おまえのことだよ!」」


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― 新着の感想 ―
[良い点] いい感じに壊れてきたねぇ
[良い点] なんかただの俺Tueeかと思ったら違う方向に進んでって、それがツボにはまってめっちゃ面白い。
[良い点] 「ザコがっ!」 「ザコじゃねえっ!」 「うわああ何だこれは!」 「こんなのザコだよ!」 「ふざけんな!」 この流れが好きwあと最後の意気投合も好きww
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