249.
一方、俺――ガイアスの兄であるユリウスは、世界の果てに作られた魔法の牢獄結界の中にいた。
無機質な光の壁に囲まれた、完全なる閉鎖空間。
俺の目の前には、すべての元凶とも言える存在が、優雅に宙に浮いていた。
「いやぁ、そろそろ決着がつきそうでねええ」
六枚の光の羽を揺らしながら、大天使ルシフェルが薄ら笑いを浮かべる。
俺は腕を組み、結界の壁に背中を預けたまま短く返した。
「そうだな」
このふざけた天使を地上で暴れさせるわけにはいかない。だから俺は、自分ごとルシフェルをこの結界に閉じ込め、強引に足止めしているのだ。
「はたしてガイアス君は、ユリウス君なしで、邪竜帝をたおせるのでしょうか。正直難しいと思いますけどぉ?」
ルシフェルがわざとらしく肩をすくめ、煽るような視線を向けてくる。
俺は鼻で笑い、呆れたようにため息をついた。
「ばっかおまえ、できるに決まってんだろ。あいつが誰の弟かわかってんの?」
「ふふっ。勇者神であるあなたの弟でしたねぇ。さて、現代最強勇者は、古代最強魔王にかなうか……」
ルシフェルの瞳に、底知れぬ愉悦の色が浮かぶ。
邪竜帝という古代のバケモノを前にしても、俺の弟なら絶対にやり遂げると信じている。あいつは誰よりも不器用に努力し、誰よりも強くなったのだから。
「ああ」
俺はニヤリと不敵な笑みを浮かべ、ルシフェルと視線を交差させた。
そして、俺たちはまるで示し合わせたかのように、同時に口を開いた。
「「お手並み拝見といこうか」」
光の牢獄の中で、俺と大天使の声が静かに重なり合った。
【おしらせ】
※2/25(水)
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