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18.勇者、地下迷宮も余裕で突破する



 学園長アリシアとの邂逅から、数十分後。


 俺は学園の地下にある、迷宮の入り口にいた。


『勇者よ、なぜこんなとこに?』


 魔王ヴェナの声が、脳裏に響く。


 従魔は用事が無いときは、魔力となって、主人の体内に収まることができるのだ。


「学園側が俺の実力をはかりたいんだってさ」


『不遜な奴らだ。史上最強の男を評価するとは』


「まあいいよ。午後の授業は魔法学で退屈だったし」


 俺は迷宮のドアを開く。

 下へ向かって、薄暗い通路が伸びている。


「迷宮を突破して、最奥においてあるアイテムを回収してこいってさ」


 俺は通路を直進する。


 すると、ゴブリンが出現した。


 ボシュッ……!


 息を吹きかけるだけで、ゴブリンは存在まるごと消えた。


『レベル20か。この程度なら戦わずとも倒せるな。さすがユリウス!』


 俺は先を進む。

 今度は【首なしの騎士】が出現した。


 大剣を構えて、俺めがけて振り下ろす。


 ぶんっ! 

 バキィイイイイイイイイイイイン!


 首なし騎士の大剣はおろか、腕、体と衝撃が伝わり、体全体が粉々になった。


『レベル50程度で、最強勇者に攻撃が与えられるわけがなかろう』


 その後もレベル100以下の雑魚が、行く手を拒んでいく。


 ばきっ! ぐしゃっ! べきべきっ!


『すべて自滅してゆくな。さすがの頑丈さよ』


 ややあって、道がふたつに分かれた。


『右だな』

「え、なんでわかるの?」


『ここが【魔王城】だからだ』


 俺は先ほどの既視感の正体に気がついた。

 前世で訪れた場所だったからだ。


『学園は元魔王城を改造し再利用してるようだ。魔王われにとって庭のような場所。案内など容易い』


「心強いな。アイテムの場所まで道案内よろしく」


『おそらく地下にある【宝物殿】のことを言っていたのだろう。集めた莫大な財産が納められており、この【我しか場所を知らぬ】』


 宝物殿へと向かう。

 道中、数多くの罠やモンスターが襲ってきた。


 だがたいてい、勇者おれには効かないものばかりだった。


 ややあって、何もない部屋までやってきた。


「ん? なんか置いてあるぞ?」


 部屋の中央の台座に、赤い石ころが置いてある。


『単なるゴミだ。魔力量も少ない。価値はゼロだ』


「綺麗だから持って帰ろうか」

 

 台座から石ころを持ち上げた、その瞬間だ。


 ドゴォオオオオオオオオオン!


 壁を突き破り、見上げるほどの巨体を持った【犬】が現れた。


「「「アオォオオオオオン!」」」


【犬】は珍しいことに3つの首を持っていた。


 俺を目で捕らえると、襲いかかってくる。


「ん? 遊んで欲しいのか?」


「「「きゃ、きゃぅうう~………ん」」」


 三つ首の犬は、俺の近くに来た瞬間、腹を向けて仰向けに寝た。


『おまえにとっては三つ首犬ケルベロスすらも子犬扱いか。さすがだな勇者よ』


 犬のお腹をよしよしして、かまってやった。


『宝物殿はこの部屋の奥だな』


「入り口以外に、扉らしきものはないんだけど?」


『おまえには関係ないだろ?』


 俺は部屋の奥の壁まで進む。


 創生魔法で剣を作り、剣聖の技能を発動させる。


【虚空剣】。


 万物を切り裂く最強の剣術だ。


「よっと」


 壁めがけて、円を描くようにして剣を振る。


 シュパッ!

 ずずぅううううううううん!!!!


『オリハルコン製の壁をバターのように容易く斬るとは! さすがは勇者、規格外の存在よ!』


 壁の穴をまたぐと、ホールのような場所にたどりつく。


「そこらじゅうにアイテムがあるな。どれ持ってけば良いんだ?」


『選別は面倒だ。全部持って行けばよいだろう』


 俺は虚空剣を使い、空間を切り裂く。


 裂け目となった空間へ、散らばっていた黄金や各種アイテムが吸い込まれていく。


 あとには、チリ一つ残っていなかった。


「帰るか」

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― 新着の感想 ―
[良い点] 魔王と共に宝物庫を、目指す内容はよい [気になる点] 魔王がさすがを使うせいで勇者の能力をろくに知らないようになってしまっている
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