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178.弟、夢の中で兄を傷つけられ、キレる

【☆★おしらせ★☆】


あとがきに、

とても大切なお知らせが書いてあります。


最後まで読んでくださると嬉しいです。



 転生勇者ユリウスの弟、ガイアス。

 彼は今夢を見ていた。


 それは幼い頃、兄たちと雪山の別荘にきたときのこと。

 雪山でガイアスは、熊モンスターに襲われた。


『に、兄さん……どうしよう……』


 正しい歴史の通りなら、ここで兄が勇者の力の片鱗を見せ、モンスターを倒したはず。

 しかし……。


「ぐわはははは! これが勇者かぁ、弱っちそうだなぁ!」

『な、なんだよおまえ……!』


 ガイアスの前に現れたのは、巨大な鬼だ。

 体毛は一切無く、僧侶を彷彿とさせる。

 上半身は裸。

 筋肉はまるで鋼のように鍛え上げられている。


 その手には身の丈を超える斧を持っていた。


「おれさまは大嶽丸おおたけまる! 貴様を殺しにきたぞぉ」

『大嶽丸……鬼……!』


 夢の中のガイアスは、肉体、そして精神も幼くなっている。

 今のガイアスは弱い頃の精神。

 

 つまり……。


『うええええん! 兄さん、こわいよぉおおお!』


 まだ勇者としての覚醒を果たしていない状態。

 幼いままのガイアスなので、怖がってしまうのはしょうがない。


「ほれほれ鬼だぞぉ! こわいだろぉ!」

『ひぃいいいいい!』

「がははは! 弱体化した勇者をなぶるのは、たのしいなぁ!」


 邪霊は人間の無意識領域、つまりここの中に入ることができる。

 ここで幼いガイアスが殺されると、心破壊されて、廃人になってしまう。


 ガイアスは兄の手をとって逃げる。

 だが……。


『わっ!』


 ガイアスがその場にこけてしまう。

 大嶽丸がおいついてしまった。


「さぁ……なぶり殺しショーのはじまりだぞぉ……」

『くそぉお! あっちいけよぉお!』


 幼いガイアスでは、何もすることができない。

 そこへ、大嶽丸が斧を振る。


 ザシュッ……!


『!? に、兄さん!?』


 大嶽丸の斧による斬撃から、ガイアスを守ったのは、兄ユリウスだった。

 この頃の兄は、まだ勇者の記憶が定着居ていないため、その力を十分にふるえない。


 だが、兄は弟を守ったのだ。


「兄さん……どうして……」

「おまえの、兄ちゃんだからな……」


 そのとき、ガイアスの記憶が、戻る。

 一瞬で自分の状況を理解する。


 邪霊による攻撃を受けているのだ。

 兄の行っていた、無意識領域に敵が侵入してきたのだ。


「……大嶽丸」

「んぉ? なんだぁちびすけえ」

「……よくも、ボクの大事な兄さんを傷つけたな」


 ガイアスの怒りは頂点に達していた。

 幼い体のまま、ガイアスは大嶽丸の前に立つ。


 その顔に恐怖の色はなく、体が震えてることもない。

 真っ直ぐに、大事なあにを傷つけた、敵を見据える。


「よくも……兄さんを……!」


 ごぉお! と体から莫大な量の闘気オーラが湧き出る。

 そのあまりの膨大な闘気量に、大嶽丸は思わず、額に汗をかいてしまう。


「ふ、ふん! バカが。この無意識領域下では、おまえは弱体化してるんだよ! おれさまに勝てるわけがない!」


 大嶽丸が右手に持った斧を振り上げようとして気づく。


「なっ!? う、腕が!? おれさまの腕がぁああああああああ!」


 右腕がいつの間にか切断されていたのだ。

 自分の隣には、斧を持った右腕が落ちてる。


「し、信じられない……ここは夢の中なのだぞ!? おまえは弱体化してるはず! なのにどうして! この邪霊に攻撃を与えられるのだ!?」

「……夢の中とか、弱体化とか、そんなの関係ないよ」


 ざっざっざっ、とガイアスがこちらに近づいてくる。

 彼の体からは怒りの波動とともに、莫大な量の闘気がほとばしっている。


 ガイアスは闘気を右手に集めて、そして、大嶽丸の腹部に一撃をいれる。


 バコォオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオオン!


「うげぁあああああああああああああああああああああああ!」


 大嶽丸はガイアスの一撃を受けて、消し炭になって消えた。

 夢の中、弱体化した状態で、精霊をたおして見せたのである。


「君の敗因は、君は、ボクの大事な人を傷つけた。それだけだ」


【★☆★読者の皆様へ 大切なお知らせです★☆★】


先日の短編好評のため、

連載版、投稿しました!


タイトル変わりまして、


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