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159.ピンチにヒーロー

【お知らせ】

落ちこぼれ兄、コミックス3巻が8/8に発売します!

よろしくお願いします!


挿絵(By みてみん)



 対校戦、最終試合。

 王立学園の副将、ガイアスは、神聖皇国の主将カズマを打ち破った。


 最終試合は5VS5の団体戦。

 ガイアスが勝利したことで、王立は2勝2敗。


 次の大将戦で、勝負が決まる。


『ですがぁ? 皇国は現在4名しかいない状況でぇす。皇国はもう一人ぃ、二回目の戦いをしないといけませぇん』


 学園長ルシフェルのアナウンスが、帝都闘技場に響き渡る。


 ガイアスは相手を見やる。カズマをはじめとした、皇国のメンバーはもうボロボロだ。


 とても戦える状態にないのは明白である。


「カズマ。棄権してくれ」


 ガイアスはリーダーであるカズマにそう提案する。


 カズマはふるふると首を振る。


「すまない、ガイアス君。それは……できないんだ。おれたちはどうしても、君たちに勝たねばならない……ぐっ!」


 最も頑強な体を持つカズマですら、立ち上がるのがやっとのようだ。


 ガイアスは痛ましいものを見る目で彼らを見る。


 皇国のメンバーたちの首にはチョーカーがつけられていた。呪いの道具である。

 彼らは家族と、そして己の命を、皇国の学校長に握られているのだ。


 負ければ自分だけでなく家族まで死んでしまう。だから、死力を尽くして戦っていたのである。


「その通りだ」

「皇国の学校長!」


 学校長がカズマに近づいてきて、彼のほおを殴り飛ばす。


「この愚図が! 何をこんな雑魚に負けている! 貴様らは転生者! この世界における最強の存在のはず! だのに、何を負けてるんだこの愚者どもがぁ!」


 学校長は生徒たちに罵声を浴びせる。


 ガイアスはそれを聞いて静かなる怒りの炎を胸の中で燃やす。


「ふざけるな、何が愚図だ! 懸命に戦った生徒たちに対して、なんだよその言い方!」


 だが学校長はフンッ、と鼻を鳴らすと、懐から黒いナイフを取り出す。


「否が応でも戦ってもらうぞ、カズマ」


「なんだよそれ!」


「これは呪具【狂化凶刃カース・ナイフ】。刺したものをバーサーカーへと変貌させる呪いのアイテムさ」


「狂化だって! だめだ! 逃げろカズマ!」


 だがカズマはうなだれている。

 学校長の命令には背けないのだろう。


 諦めたような目を、こちらに向けてくる。少しだけ笑っていた。


「ありがとう、ガイアス君。おれのために怒ってくれて。勇者に覚醒した君と、真正面から戦えて……おれは幸せだったよ……」


「やめろ! カズマ! カズマぁああああああああ!」


 学校長は躊躇なく、カズマの肩にナイフを振り下ろす。


 ザシュッ……!


「が、ぐ、うごぁあああああああああああああああああああああ!」


 カズマの体から黒いオーラが噴出する。黒煙は彼の体を包み込み、やがて別のものへと変貌させる。


 みるみるうちに巨大化した彼は……黒い魔神へと変貌した。


「魔神……!」


 2つの顔に四本の腕。どことなく神聖を感じさせる、悪なる神へと変貌を遂げたのだ。


「ひゃはは! その力は悪神! 【リョウメンスクナ】! かつて勇者神すらも対応に苦慮したという、伝説の神だぁ!」


「兄さんが……!」


 邪悪なるオーラが周囲にほとばしる。それだけで……。


「ガイアス君! 観客のみんなが!」

「し、死んではる……!」


 同級生のエリーゼ、そしてサクラが戦慄している。


 見ただけで人を殺すほどの、強烈なオーラを放つリョウメンスクナを前に、ガイアスは戦慄する。


「セイバー! もう一度霊装を……ぐ!」


 ガイアスは己の相棒、無双剣と一体化しようとした。だが彼は先ほどの戦いで深いダメージを負っている。


『無茶です。あなたは勇者に覚醒したとはいえ、もうボロボロ。やつと戦うのは無理です』


「それでもボクは戦うんだ! この世界の……勇者だから!」


 だがリョウメンスクナからほとばしる悪のオーラにガイアスが吹き飛ばされる。

 宙を舞うガイアスを……。


「よっと」


 ぱしっ、と受け止めるものが一人。


「あれは!」「あにうえー!」「ユリウス君!」「ユリウス様!」


 王立のメンバー、そして【彼】の嫁ダンタリオンが、希望のまなざしを向ける。

 そこにいたのは……。


「遅くなって、悪いな」

「兄さん……!」


 ガイアスの兄、ユリウス=フォン=カーライルその人だった。

【★読者の皆様へ お知らせ】


新作短編、投稿しました!


『超遠距離から一瞬で敵を狙撃していたのに、何もしてないとSランクパーティを追放された最強の弓使い~ホワイトな帝国の軍部で俺のことを評価してくれる人たちと働いてるので、今更泣きつかれても遅いです』


よろしければぜひ!


【URL】


https://ncode.syosetu.com/n8129ht/


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― 新着の感想 ―
[一言] しかし次回更新は次の新刊が出るまでこないのであった
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