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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第8章

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104.勇者、他校の生徒(化物)と顔を合わせる



 昼休み。

 学園の理事長室に、俺とガイアスが呼び出された。


 長い廊下を歩きながら、俺は弟に尋ねる。


「何で呼び出されたんだろうな?」

「兄さん……今日は他校の生徒との顔合わせだって言ってただろ?」


「おお、そうだったな。さすがわが弟。しっかりしてるぜ」


 隣を歩く弟の頭をなでる。

 前は嫌がったが、最近はおとなしくしている。


 ただし人目があると絶対に触らせてくれない。

 猫みたいで可愛いなと思う。 


「ところで、兄さん。対校戦の主将(キャプテン)、本当にボクでいいの?」


 対校戦は、各学園の代表選手5名で行われる。

 となると必然的に、チームをまとめる主将が必要となる。


「もちろん、ミカたちも納得してただろ? おまえが主将(キャプテン)でいいって」


「ボクは兄さんが適任だって言ったのに……」


「いや、俺はお前に任せたいんだ」


「なんで?」

「その方がお前のためになるって、思ったからな」


 今回は、冒険者パーティのリーダーのときよりも、重大な責任を負うことになる。


 その重圧は、確かに苦しいし辛い。


 けれどガイアスが【もっと上】へいくためには、その程度のプレッシャーをはねのけるだけの、精神的な強さが必要となって来る。


 今回の大会は、いい機会だと思った。

 ガイアスに、より大きく強く成長してもらうためのな。


「学園の代表のキャプテンなんて……責任が重すぎて、ボクには無理だよ」


「大丈夫、おまえなら立派に主将、やれるさ。俺を信じろ」


 弟の肩に手を置いて、ニッ、と笑いかける。


 ガイアスは俺を見上げて、淡く微笑む。


「うん。信じるよ」


 と、そのときだ。


「おーやおやおや! そこにいるのは、万年ビリの【王立学園】の生徒さんたちじゃあないかい!」


 俺たちに近づいてきたのは、背の高い学生だ。


 黒い学生服を身にまとっている。

 長い銀髪を、さらさらとたなびかせている。


「王立学園って?」

「ボクらの通う学園のことだよ」


「ふーん、あいつだれ? うちの生徒じゃないよな?」

「そう。黒い制服は、【帝国学園】の生徒」


 帝国学園の男子生徒は、俺の目の前までやって来る。


「おや? おやおやおやぁ? 黒髪の君は、カーライル家の忌み子、ユリウスくんじゃあないかなぁ?」


 なんか久しぶりに聞いたな、そのフレーズ。


「どうして落ちこぼれの君がここに? 理事長室に向かってるんだい? あ、わかったよ! 劣等生過ぎて退学になったんだね!」


 ガイアスの眉間に、青筋が浮かぶ。

 俺はぽんぽん、と弟の頭をなでる。

 すぐに怒気をおさめる。


「で、おまえ誰?」

「おやおや、この僕を知らないとは……さては君、もぐりかな?」


 ふんっ、と小馬鹿にしたように鼻を鳴らしていう。


「僕は誇り高き帝国学園の特待生! 【アンチ】! 【アンチ=フォン=マデューカス】! だよ!」


 銀髪の男子学生、アンチきざっぽいポーズで言う。


「マデューカス……? どっかで聞いたな」


「あははっ! 本物の阿呆がいるよ! 現【皇帝】の名前を忘れるなんてね!」


 そう言えばそうだったな。


「つまり君は……マデューカス皇帝の息子ってこと?」


「その通り! 皇族さ! ふふっ、今のうちに媚びを売っておいた方が得だよきみぃ~?」


 アンチがニヤニヤと笑う。


「え、なんで?」


「なっ……!? ぼ、僕は皇帝の息子だぞ! 知り合いになったほうが得だぞ!」


「え、だからなんで?」


 ギリッ……! とアンチが歯がみする。


「……ふんっ! まあいいさ。後で【子分にしてください】って泣きついても許可しないからね!」


 不機嫌な表情を浮かべて、アンチが先に理事長室へ向かう。


「兄さんのなにに対しても物怖じしないところ、素直にすごいと思うよ」


 やれやれ、とため息をつきながら、ガイアスが苦笑する。


「なんか微妙にディスってない?」


「まさか。ないない。褒めてる褒めてる」


「ま、愛しの弟から褒められてるっていうなら、悪くないかな」


「なっ! ば、ばかぁ~……へんなこというなよ……こんな人通りのあるところで……誰かに聞かれたら、恥ずかしいじゃないか……」


 顔を赤らめて、うつむきもじもじとするガイアス。


「ほら、いくぞ。他の学園の生徒も待ってるぜきっと」


 ややあって。


 俺たちは理事長室の前までやってきた。


「失礼しまーす」


「うひぃいいいいいいいいいい!」


 ドアを開けると、何かがゴロゴロと転がってきた。


「なんだ、さっきの皇子さまじゃねえか。なにしてんのおまえ?」


「ゆゆゆゆゆ、ユリウス! やばい! 今年の対校戦は……とんでもないことになってる!」


 なにを言ってるんだろうか?


 俺は普通に、理事長室へと入る。


 ソファセットが置いてある。

 そこには、すでに2人の生徒が座っていた。


 ゴォオオオオオオオオオオオオオ!


 生徒2名からは、【そこそこ】の闘気オーラと魔力が、吹き荒れていた。


「なっ!? どうして君は、このプレッシャーの中、平然としてるのだね!?」


 アンチが驚愕の表情を、俺に向ける。


「え、これくらい普通だろ? なあ、弟よ」


「そうだね。兄さんと比べたら、全然まだまだだ」


 涼しい顔をして、俺は2人の前に座る。


「俺、ユリウス。こっちは王立学園の主将キャプテンのガイアス。よろしくな」


 前の前には、それぞれ別の色の制服を着た生徒がいる。


 ひとりは、青い制服を着た男。

 ひとりは、赤い制服を着た女。


「うむ! 初めましてだな!」


 男のほうがまず、手を伸ばしてきた。

 ガシッ! と強く手を握ってくる。


「おれは【テンリュー・カズマ】! カズマで良いぞ!」


「俺、ユリウス。へえ、変わった名前だなあんた」


 ぎゅうぅううううううううう!

 バキッ! バキバキバキバキッ!


「うぎゃっぁああああ! 地面が! 割れてる! なんだ!? なにがおきてるんだぁ!?」


 アンチが大げさに叫ぶ。


「ふたりとも闘気オーラを手に込めて、強烈な握力でにぎりあってるんだ。その余波でものが壊れてるんだよ」


「なんだいそれは!? 握手でものを壊すとか聞いたことないよ!」


 ガイアスの説明を聞いて、アンチが驚愕する。


「うむ! なかなか練られた闘気だ! やるな! ユリウス!」


「あんたも結構やるな、カズマ」


 ニッ、と俺たちは笑い合う。


「す、すごい……あのカズマってひと、手加減していたとは言え、兄さんの握力に対抗していた。なんなの……?」


 カズマはガイアスを見て、声を張る。


「君が王立の主将か! おれはテンリュー・カズマ! よろしく!」


「う、うん……さっき聞いたよ。よろしく」


 ガイアスは手を引っ込めた。

 まあ握手はさっき俺がしたからな。


「なあカズマ。ちょっと聞いて良いか?」

「うむ! なんだ!」


「おまえ、この世界の人間じゃないだろ?」


 俺の問いかけに、ガイアス達が目をむく。


「なっ!? なにをわけわからないこと言ってるんだね君ぃ!」


「この世界の人間じゃないって……どういうこと?」


「え、文字通りこの世界じゃない、別の世界から来た人間ってことだ。そうだろ?」


 カズマは「ふふっ……」とうれしそうに笑う。


「見事! 御見事! よくぞ見破った! 素晴らしい眼力だなっ!」


 堂々と胸を張って、カズマが言う。


「おれは【転生者】だ! 正確に言えば、別の世界からやってきた、【異世界転生者】という!」


 そんな重要なことをこの場でもらすとは。

 バレても問題ないと自信があるのか、あるいは、なにも考えてないのか。


「い、異世界!? そんなものが存在するのかね!?」


 驚愕するアンチに、カズマが大きくうなずく。


「ああっ! おれたちは別の世界から、神々の手引きで力を与えられ、この世界にやってきた存在だ!」


「え、それ言っていいの?」


「駄目だな! 上からは言うなと言われている!」


 ガイアスがずっこけた。


「じゃ、じゃあなんで明かしたの? ばかなの?」


「ユリウス君に見破られてしまったからな! 隠していても仕方ないだろう!」


 にかっ、とカズマが夏の太陽のように明るく笑う。


「ユリウス君! おれは君のような強者との戦いを待ち望んでいたんだ!」


 ガシッ! と俺の肩をたたく。

 すると、ずぉっ! と大量の魔力と闘気が、彼から吹き荒れた。


「うぎゃぁあああああああああ!」


 またもアンチが、部屋の隅へとぶっ飛んでいく。


「ひぃいいい! じ、地面が溶けてるぅ!? 魔法もなにもつかってにないのに!?」


 ガイアスは座っていられたが、苦しそうに顔を歪めていた。


「なんてプレッシャー……まるで炎のように……暑い……!」


「うむ! この中で涼やかな顔をしている! やはりユリウス君! 君は素晴らしいな! 最高だ!」


「そりゃどうも」


 俺は手を、軽く払う。


 パァンッ……!


 カズマの放つ灼熱のプレッシャーを、振り払う。


「すごい……あのプレッシャーをはねのけた……さすが兄さん……」


 満足げに、カズマがうなずく。


「君も、その弟君も素晴らしいな! 君たちみたいな強いヤツらと戦えるなら、チームメイト達もさぞ満足するだろう!」


「おまえ以外の4人も、まさか異世界転生者なのか?」


「おうとも! 全員が【神々から貰ったチート能力】持ちだ! 今年の優勝はおれたち【神聖皇国】がもらう!」


 挑むように、カズマが言い放つ。


「そりゃ無理だ。勝つのは俺たちだ」


 ニッと笑い合って、俺はカズマと拳を打ち付ける。


「で、そっちの女も、人間じゃないだろ?」


 俺は赤い制服を身に纏った、女子生徒に言う。


「なぜ……そう、お思い……ですか……?」


 言葉を発した、それだけだった。


「……………………」


 ドサッ……! とアンチが倒れた。


「に、兄さん! アンチが! アンチが死んでるよッ!」


 ぶくぶく、とアンチが口から泡を吹いて死んでいた。


「【呪言じゅごん】か。古典的な呪いを使うんだな」


「よく……ご存じで……」


「まあ、【おまえら】みたいなのも倒すのが、俺の仕事だったからな……」


 うふふ、と女が微笑む。


「おまえ、名前は?」

「【ダンタリオン】……と……申します……」


「ふーん。ダンタリオンか。俺、ユリウス。よろしく」


 俺は彼女に手を差し出す。


 にちゃぁ……と彼女が笑う。


「ユリウス……様。おうわさは……かねがね」


 俺たちは握手を交わす。


 ジュォッ……!


「!? 兄さん!? 腕が! 腕が溶けてるよッ!」


 俺の右手がドロドロに溶ける。

 だが瞬時に魔法で再生させた。


「そんなばかな!? 兄さんは常に障壁を纏っている……! 兄さんの防御を突破して攻撃するなんて! どんだけ強力な毒を使ってるんだ!?」


「え、呪毒だろ? 【悪魔】の?」


「あ、悪魔だって!?」


 今度はアンチのかわりに、ガイアスが驚愕の表情を浮かべる。


「ダンタリオンって言えばソロモンの悪魔の1柱って、え、常識だよな?」


「知らないよ! だから兄さんの常識は常識じゃないんだよッ!」


 くっ、くっ、くっ……とダンタリオンが笑う。


「素晴らしい……です。ユリウス……様。悪魔の……呪毒。触れた瞬間……魂まで一瞬で……溶ける。生きてる……あなた様は……最高……です」


「そりゃどうも。でも挨拶のときくらいは、呪いを相手にかけるの、マナー違反じゃないか?」


「申し訳……ございません……」


「ま、気をつければ良いさ」


「うむ! そうだな!」


 俺たち3人は、朗らかに笑う。


 その様子をガイアスと、そして起き上がったアンチが……青い顔をしてみていた。


「どうなってるんだい!? 去年の対校戦は、普通の人間の学生同士の戦いだったのに!?」


「ほんとだよ! 今年はどうなってるの!? 化け物に、異世界転生者に、悪魔が戦い合うなんて!」


 よくわからないが、アンチとガイアスが、仲よさそうだった。


「さっそく友達が増えたな、弟よ」

「うむ! 美しい友情だな!」

「男同士の……熱い友情……良いですね」


「「化け物同士で意気投合するなよ!」」


「「「化け物? だれ?」」」


「「おまえらだよぉおおおおおおお!」」


 かくして、

 王立学園→ガイアス(人間)。

 帝国学園→アンチ(人間)。

 東部連邦→ダンタリオン(悪魔)。

 神聖皇国→カズマ(異世界転生者)。


 以上4校。

 今回の対校戦に参加するメンバーの主将達が、集結したのだった。

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― 新着の感想 ―
[気になる点] >なんか久しぶりに聞いたな、そのフレーズ。 読者も久しぶりに聞いた。 >「男同士の……熱い友情……良いですね ダンタリオンさんまさか腐女子疑惑…? [一言] 対校戦、相手チ…
2020/08/13 14:26 退会済み
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