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【書籍化】落ちこぼれだった兄が実は最強〜史上最強の勇者は転生し、学園で無自覚に無双する〜  作者: 茨木野
第8章

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103.海外留学組、勇者パーティの力を侮り敗北



 転生勇者ユリウスひきいる、勇者パーティが体力測定で度肝を抜いた、1週間後。


 理事長室にて。


「理事長、失礼するぜぇ」


 金髪でとげとげ頭をした男子生徒が、部屋にドカドカと入ってきた。


「おー! 誰かと思えば海外留学組の諸君ではないか!」


 とげとげ頭の男子生徒の後ろには、一癖も二癖もありそうな風貌の生徒が合計で5人。


「確かキミは【エラモンド】くん……だったかね? 5年生の」


 金髪とげとげ頭こと、エラモンドが、理事長のルシフェルもとへやってくる。


 バンッ! とエラモンドが机に手をつく。

「おんやぁ? どうしたのかね、そんな怒って?」


「聞いたぜぇ? 今年の【対校戦】の出場メンバー、全員1年生なんだってなぁ?」


 留学組全員が、額に青筋を浮かべていた。

「とりあえず落ち着きたまえ。お茶を入れよう。長い留学で疲れているだろう?」


 ややあって。


 ソファセットには、エラモンドをはじめとして、留学組が座っている。


「まずは海外留学お疲れ様ぁ。1学期から今日まで長い間海外生活疲れたでしょう?」


「ハッ……! ぜんぜんだぜ。おれら留学組をなめんじゃねえ!」


 そうだそうだ、と全員がうなずく。


「成績上位数名にのみ与えられる、海外留学権。それを勝ち取った君らを、まさか舐めているわけがないでしょう?」


「なら! どうしてアタシたちが対校戦にでれないのよ!」


 留学組の紅一点、【チャンシズカ】が金切り声を上げる。


「全国の学園が一堂に会し、トップを決める試合。それが対校戦……当然、ボクらエリートである海外留学組が選ばれるべきですよ」


 眼鏡をかけたインテリ系【ネスオ】が、苛立ちげに言う。


「つーかよぉ! いつもなら対校戦選抜試合やるじゃねえかぁ! なーんでおれさまたちがいねえ間に選抜が終わってるんだよ! 納得がいかねえよくそがぁ!」


 一番ガタイの言い男子生徒【ジャイアン】が、ダンッ! と机を殴って破壊する。

 目の前で机が粉々になったというのに、ルシフェルは微笑をたたえたまま言う。


「申し訳ございませぇん……ただ、今年の1年生は、【少々】常軌を逸した強さを持つ生徒がいましてねぇ」


 ニヤニヤと笑いながらルシフェルが言う。

「ほぅ……それは暗に、拙者たちより、その一年坊主たちのほうが強い……といいたいのかね? 面白くない冗談だ。やれやれ」


 腕に包帯を巻いた少年、【ビター】が、役者のように大仰なポーズを取って言う。


「残念ながら冗談ではなく、事実なんですよぉこれが」


「なんだとぉ! てめ理事長調子乗ってんじゃあねえぞ!」


「ジャイアン、落ち着きやがれ」


「けどエラモンドぉ! ありえねえよ! おれさまたちより強い1年坊主なんているわけねーんだ!」


「いいから、座れ」


 エラモンドが、くいっ、と人差し指を曲げる。


 すると、ジャイアンの巨体が、ずんっ! とその場に沈む。


「理事長。おれぁ納得できねえ。学園の代表として海外に留学していた、おれたち最強のメンバーをさしおいて、1年生に対校戦を出すのはやっぱりおかしいと思う」


「ほぅ……ならばエラモンドくんは、なにをご所望なのかな?」


「当然、対校戦の代表とかいう、1年坊主たちとの試合だよ」


 理事長は、にやぁ……と悪魔のような笑みを浮かべる。


「やめといた方が賢明ですよぉ。きみたちと彼ら……ユリウス君とその仲間達ではレベルが違いすぎます」


「おれたちを舐めるのもいい加減にしろよ理事長さんよぉ?」


「とんでもない! ワタシはただ事実を述べているだけです。才能ある若者たちが、ユリウス君という希代の天才の実力を知って、自信をポッキリ折られないか心配で……」


 全員がザッ……! と立ち上がる。


「上等だ。会わせて貰おうか、そのユリウスとやらによぉ!」


 かくして、海外留学組5人が、対校戦の代表メンバーの座を奪うため、ユリウス達サークルメンバーに戦争を仕掛けにいくことになった。


 ザッ、ザッ、ザッ……! とエラモンドたちが、廊下を横一列になって歩く。


 生徒達は彼らを見やると、脇に避ける。


「み、見ろよ! 海外留学組が通るぞ!」


「射撃の名手【ビター】! 大財閥の息子【ネスオ】! その剛力は岩をも砕く【ジャイアン】! 世にも珍しい音魔法の使い手【チャンシズカ】!」


「そして彼らのリーダー【エラモンド】は、四次元殺法っていうすげえ武術を使う!」


「おいおい学園の元トップ5が、いったいどこへ! 何をしにいくって言うんだ!」


 学生達の注目など、そよ風のように受け流し、海外留学組が歩く。


「チッ……! ムカつくぜぇ! なーにが元トップ5だ! 全員ぶちのめしてやろうかぁ!? あぁ!?」


「やめておきなよジャイアン。時間の無駄さ。すぐにボクらが強いということを、衆愚たちは思い出すだろうからね」


 海外留学組は、ユリウス達サークルメンバーが集まる部屋へと向かう。


「エラモンドよぉ! いいんだよなぁ本気出しても?」


「もちろんだ、ジャイアン。自分たちが一番強いと思い込んでいる愚かな若者達に、圧倒的な力の差を見せつけてやるんだ」


 にやり、と海外留学組が笑う。


 たどり着いたのは、特待生に与えられる部屋の1つだ。


「じゃあ行こうぜぇ。戦争の……始まりだ!」


 ドガァアアアアアアアアアアン!


 部屋のドアが、爆発とともに吹っ飛んだのだ。


「おいおいエラモンドぉ、気が早くねえかぁ?」


「い、いや……おれじゃあねえ。扉が勝手に爆発したんだよ……」


「なにを言ってるのだね? 学園の建物は元魔王城。材質は最高の硬度オリハルコンでできている。壊れるわけがない」


 ネスオの解説に、エラモンドが戸惑った表情になる。


「なにびびってんだよぉ! おらぁ! カチコミじゃてめえらぁ! 調子乗るんじゃねえぞ1年坊主ぅ!」


 ジャイアンが勢いよく部屋の中に入る。


「うぎゃぁあああああああ!」


「どうしたジャイアン!? なっ!? なんだこの化け物はぁ!」


 そこにいたのは、巨大なモンスターだ。


 翼の生えた虎のような風貌である。


「そ、そんな!? あ、あれは2000年前に存在した伝説の魔獣【ぬえ】!? 」


「鵺だとぉ!? そんなばかな! どうしてそんな強力なモンスターがここに!?」


 鵺はジャイアンの首根っこを口で掴んで持ち上げている。


「うぇえええええん! たぁすけて! お母ちゃーーーーーーーーーん!」


「ジャイアン! くそっ! 今拙者が助けるぞ!」


 ビターは魔法拳銃を取り出す。

 1秒間に10発の、クイックショット。


 2丁の拳銃から繰り出される、最強最速の銃撃。


 ビタッ……!


「なっ!? じゅ、銃弾が……空中で止まっただと!?」


「結界よ! 結界が部屋の入り口に張ってあるわ!」


 人間は通れて、銃弾だけが結界に阻まれている。


「脅威度の高い攻撃だけを選択して防ぐ防御結界……こんな高度な結界、見たことがないわ!」


 チャンシズカが愕然とした表情で叫ぶ。


「え、エラモンド……やばいんじゃないか? 撤退した方が……」


「うるさぁい! この腰抜けども! こんなのでびびってるんじゃねえ! おれはいくぞ!」


 怯える仲間達をよそに、エラモンドだけが、部屋の奥へと進む。


 そこには……


「あはは! あにうえくらえ! どーん!」


 6枚の翼を広げた天使が、その手に巨大な【キャノン】を持っている。


 砲から放たれるのは、無限にも等しいレーザーの束だ。


 そのレーザーを、中央に立つ黒髪の少年が、片手で弾く。


 パリィイイイイイイイイイイイン!


 弾かれたレーザーは雨あられのように、そこらいったいに降り注ぐ。


「うぎぃいいいいいいい!」


 エラモンドは恐怖のあまりその場にうずくまり、頭をおさえる。


「いくよセイバー!」『御意に、我が主』


 双剣を構えた金髪の少年が、躍り出る。


 彼が赤い剣を振るうと炎が、青い剣を振るうと吹雪が、舞い上がる。


 だが黒髪の少年は動かず、ぺいっ、と手で払うだけで、炎も氷も消し飛んだ。


「うぎゃああああ! じ、地獄だぁあああああああああ!」


 恐怖のあまりパニックを起こすエラモンドをよそに、破壊の宴は続く。


 ズドドドッ!

 ガギガキガガキキンッ!

 ちゅどーん! ちゅどーん!

 ずどばごぉおおおおおおおおおん!


 やがて、狂騒は収まる。


 海外留学組5人は、その場で腰を抜かし、動けないでいた。


「いやぁ、あにうえ強いです! ぼくら全員で挑んでもかなわないですー!」


 少年少女が、【あにうえ】と呼ばれた黒髪の少年に集まる。


「いやお疲れさん。みんな成長できていたぞ。ちゃんと自主トレ続けてるみたいだな。偉い偉い」


 えへへ、と少年達が笑う。


「ところで……兄さん。あの人達だれ?」


 いっせいに、彼らの視線が、エラモンドたちに集まる。


「兄さんが呼んだの? ボクらの練習相手とか?」


「え、知らないぞ。誰だおまえら?」


 黒髪の少年が、こちらに一歩踏み出す。


 彼の体から発する、圧倒的な強者のオーラを前にして……。


「「「「…………」」」」


「おーい。あれ? 気失ってら」


 海外留学組は、完全にノックアウトしていた。


「もうっ、兄さんってばまたやらかして!」


「え、俺また何かやっちゃった?」


 黒髪少年は、気付けに闘気オーラを、エラモンドたちに流し込む。


「ハァッ! はぁ……はぁ……お、おれたちは……いったい?」


「よっ。起きたか。すまんなびっくりさせて。で、何か用事?」


 エラモンド達は、顔を見合わせる。

 そして……。


「「「「調子に乗って、すみまっせんでしたぁ!」」」」


 5人全員、その場で土下座したのだった。

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― 新着の感想 ―
[一言] ドラエモ…………エラモンド イカつい
[一言] サマオ、ザカマ、ネネ、チャンボー、スノケシンとかあるかも…?
[一言] ドラ○モン………Σ(´∀`;)
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