3話
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「うわぁぁぁぁぁぁぁぁ!」
下を向いて叫び声をあげる。
しかしいつまで経っても鉄筋の当たる感触も痛みも来ない。
「ん?」
恐る恐る目を開けると、さっきまでトラックが通る為に置いていた鉄板の上ではなく、草の生えた地面の上に立っていた。
顔を上げて周りを見渡せば……
木!草!蔦!花!
The 森!
頭の整理が追いつかない。
「はああああぁぁぁぁ!なんなこれ!どこなんなここは!?」
あまりの唐突な変化に叫び声をあげる。
「いやいやいやいや。ワシさっきまでげんばにおったんよ!?なのになんでいきなり森におるんな!訳分からん!ゆーか、ここどこなぁ!服はそのまんまじゃし、怪我はしとらんし!」
頭にでてきた事がそのまま口に出る。
「とりあえず1個ずつ整理していこう。ワシは現場におった。風が吹いて顔を下に向けて、その後砂を叩きよったら、岩さんの声が聞こえて上見たら鉄筋が落ちてきた。ここまでは覚えとる。んで、その後下向いて目を開けたら森におった……」
「いや、訳分からんわ。」
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悩んでも何も分からないことが分かったので、ヒロシマはとりあえず歩き出すことにした。
「とりあえず、川を見つけよう。そして下流に向けて歩こう。そしたら海か何かしらあるだろう。」
幸い、安全靴にヘルメット、軍手に腰袋に革手袋があったので悪路でも歩き続けることができた。
歩く事、体内時間で2時間ほど。
「なんもない……木とかはあるけど、なんもない……」
あるけどあるけど川に辿り着かない事に悪態を付きつつ歩き続けていた。
疲れで前傾姿勢になっていた身体を起こして、軽くストレッチをした時、目の端に光るものが見えた。
「あれは、水の反射?」
迷わずその方向に歩き出す。
そして遂に見つける。
「川じゃーー!」
目の前には幅20m程の川が流れていた。
喉の乾きに勝てずに、川に顔を付けて水を飲みながら頭を濡らす。
「あー。ぶち気持ちえぇ……」
思う存分水を飲み、身体を冷ましたヒロシマはまだ日が高い事もあり下流に向けて歩く事を決めた。
「誰か他におったらええんじゃけどのぉ……」
やっとどっかに行った(笑)