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さとりくんは、腐女子じゃない彼女が欲しい  作者: siki
中学3年生、春休み
29/43

さとりくんは、異種交友を見る

 門番に銀貨2枚を払い、大上の首輪を買った。

 これも、来のリボンと同じく赤くなった。ファンタジー現象だね。


「ウルフを従魔にするなんて凄いな! 流石異世界人だ! それにしても、転移迷宮にウルフが居るのは分かるが、森にウルフが居たなんて珍しいな。ギルドに報告した方が良いぞ。」


 ウルフを従魔にするのは凄いらしい。

 そろそろ、弱そうは返上出来る気がする。


「森? このコは森に居たんじゃないので大丈夫です。」


 ギルドは午前中にフローライトと行って依頼報酬の金貨1枚を受け取って来た。

 今日はもういいかな。

 本日の腐女子成分は摂取基準量を越えました。休憩させて。


”くる、毒る♪(来と一緒♪)”

”赤いの一緒♪”

”毒る、毒るるくるる。(この中は美味しいのがいっぱいだよ。)”

”楽しみだな~♪”


 大上の背に来が登っている。

 仲良くなったようで、2匹の会話に和む。

 アニマルテラピーっていいよねぇ。


「ダンジョンウルフなのか!? 魔物支配のスキルで外に…?」


 門番がすごく驚いている。

 ……そういえば、ダンジョンの魔物は外に出そうとすると魔物支配が効かなくなるんだっけ? これってマズいかも?


”中に人がいっぱい! 殺す! (中から人がいっぱいいる匂いがする! 食べ放題?)”


 はぁ!? 和やかなムードのだったペットから不穏な言葉が聞こえた!?

 何言ってるんだ! まるで狼みたいじゃないか!


『大上、俺の許可なく外で人間を攻撃したり、物を壊したりするの禁止!』

”はーい。……なんで?”


 何でって……思わず大上を見ると、オペラを彷彿させるきょとんとした視線と重なった。

 この犬、分かってない。

 言う事は聞くけど、意味は分かってないようだ。

 ……犬だから、しょうがないよね。言う事聞くから、まあいいか。


「おい! 本当にダンジョンから連れ出したのか?」

「え、何? あ、えと、そうです。あの、なんか……そう、ダンジョンで仲良くなってそれでたぶん着いてきたんだと思います。親密度とか関係あるんですよね?」


 やばい。門番さんのこと忘れてた。

 確か親密度とか言ってたし、事実大上は直接覚能力で操作してるわけじゃないから合ってるし、これで問題ないよね。


「そうか……。そうなのか?」

”確かに親密度が関係するようだが……そうなのか? わからん……。”


 ちょっと不思議そうだけど、そんなものだよ。たぶん。きっとそう。俺は普通。


「そうですよ。それじゃ、中に入っていいですよね?」

「ああ、いいぞ。」

 

 まだ不思議そうな顔のままの門番に笑顔で会釈をして街に入る。

 屋台とか、このまま大上を連れて行くのは心配だ。

 さっさと宿に戻ろう。




 歩いていると、大上が意外と注目を浴びる。

 来の時は、”スライム? 従魔か。”という感じであまり驚かれることもなくさらっと馴染んでいたけど、大上を見ると”ウルフ! 従魔!? テイマーなのか!?”といった具合で驚きの視線が集まっている。

 その驚きの種類は、俺のテイマーの素質に対しての賞賛だったり、突然支配が解けたりしないかという不安からくるものだ。

 Dランクのフローライトが初めて会った時に俺を背に庇いながら5匹のウルフと対峙したんだよ? 来をスルーするくらいだから、1匹の大上がこんなに驚かれるなんて、逆に俺が驚いたよ。

 大上、ただの犬なのにね?

 ほら、今だって犬っぽく「わふん」と鳴いた。


”人いっぱいだ。殺すー。(こんなに人が居てスゴイ! 食べたいなー。)”

”毒毒るる! 毒るー。(勝手に攻撃しちゃダメ! でも食べたい気持ちは一緒。)”


 違った。狼とスライムだった。

 魔物目線だと人間は美味しそうなのかな?

 ……人間の常識を話しても通じる気がしないよ。




 まっすぐ戻ってきた宿で、大上を見て驚くタルトさんに笑顔で挨拶する。


「ただいま戻りましたー。」

「お、おかえり。なんだい、それは?」

「俺の従魔です。ペット禁止ですか?」

「ペット……? 従魔は大丈夫だけど、ウルフなんてすごいねぇ。」


 今更だけど、ペット禁止と言われたらどうしようかと思った。

 スライムはあんまり生物っぽくないけど、大上は犬だもんね。毛とか落ちそうだし鳴くし、ダメな場所もありそうだ。


「良かった! あと、間に合えばごはん多めにしてもらってもいいですか? このコ達もタルトさんの美味しいご飯を喜ぶんです。」

「そうかい? 出来るよ。食堂に連れて来るかい? 部屋に運んであげようか。」

”従魔にも普通の食事? 変わってるね。でも、美味しいと言ってくれると悪い気はしないよ。食堂にウルフが居たら視線が気になってゆくっり出来なさそうだけど、大丈夫かね?”


 ここはタルトさんの好意に甘えちゃおうかな。


「いいんですか? 嬉しいです!」

「いいよ。後で運ぶから部屋でゆっくりしてな。」

「はい! ありがとうございます!」


 笑顔でお礼を言い、邪魔にならないように部屋に戻る。

 タルトさんの美味しいご飯の味を覚えたら、普段から人間を食べたいなんて言わないよね! たぶん!

 ……もし、タルトさんのごはんより人間の方がいいって言われたらどうしよう。

 そうしたら、飼い主としては人間も時々用意するべきなのかな……?

 ペットには責任を持たないといけないもんね。そうなったらその時に考えようか。


「とりあえず、お風呂行こう。」


 犬だと思うとずっと外に居た大上の毛が気になる。来はつるつるして半透明だから、あんまり汚れとかは気にならないんだけど。


”お風呂? 何それ?”

”くるる。(来も行く。)”


 よし。せっかくだから、魔法で丸洗いしよてあげよう。

 洗濯とか普通に手で洗ってたけど、フローライトの使っていた汚れを落とすウォーターボールが使えば簡単に出来そうだと思ってたんだ。


「そういえば、来と大上って呼吸どうしてる?」

”毒る?(呼吸?)”

”呼吸してるよ?”


 呼吸が分からない来と対照的に、大上はフスフスと大きく鼻を鳴らしている。

 スライムは呼吸をしてなくて、ウルフは犬だから呼吸も普通か。


”毒る? 毒るるる?(空気食べてる? 空気じゃお腹いっぱいにならないよ?)”

”空気食べないよ?”

”毒るくる?(なら、何してるの?)”

”呼吸だけど……呼吸って何!?”


 大上が「きゅーん」と困ったような声で鳴いた。

 ペットって癒されるなぁ。

 呼吸の詳しい説明何てすぐに思いつかないから、放置するけど。


「よーし、来から洗うよー。」

”くるー。”


 お風呂場に入り、来をすっぽり包んでぐるぐるして洗う水を思い浮かべる。

 呼吸してないし、ジャブジャブ丸洗いしていいよねー。


「”ウォーターボール”」


 ちゃんと水の流れが出来たようだ。水の玉の中を来がぐるぐる回っている。


”くーるー♪ くるくる♪”


 ぐるぐる回っているけど、楽しそうで何よりだ。

 あ、鳴き声が毒ってない。くるくる言ってるのも可愛いね。

 ジェットコースーターみたいになるように、水流を早くしてみる。


”楽しいのー?”

”くーーるるーー。”


 大上の声に対する明確が返事が無い。

 ジェットコースターに乗った時のキャーとかワーみたいな声かな?

 それにしては楽しそうじゃない。もしかして……酔ってる?

 慌てて水を止めるイメージをすると、弾けるように水が飛び散り、来がぐるぐる回っていた勢いでふっ飛ばされた。


「うわ! ごめん! 来、大丈夫?」

”くるくるー。(ぐるぐるするー)”

「回ってたから、酔った? ぶつかったけど痛くない?」

”くるくる、毒る。毒るる。(ぐるぐるし過ぎると気持ち悪いかも。出ればもう大丈夫。)”


 スライムに三半規管が有るのかな? 出れば大丈夫ってことは何だろう。

 ぶつかったことについては気にも留めてい無い様だから、核が傷つかなければ大丈夫ってこと? 痛覚とかあるのかな?


”次やって!”


 大上が尻尾を振って待っているから、ともかく洗おう。

 飛び散った水でびょしょびしょだ。魔法の水だけど、消えないらしい。飲み水になるくらいだし、この世界の水魔法はそういう感じのようだ。


「はいはい。息止めて。行くよ。”ウォーターボール”」


 来と同じように、大上を丸洗いする。

 ただし、息が苦しくなる前に終わらせるために素早くいっぱい回して、最後は飛び散らないように下に流した。完璧だ!


 水の玉が流れて行った後の大上は水で毛がぺたんとして、元気が無い。


”ぐるぐる、きもちわるい。楽しくない…。”


 早く回しすぎたかな?


「あ、石鹸付けて無かった。」


 やり直しだ。という言葉は飲み込んだ。

 とりあえず、石鹸を来と大上に付けて泡立てる。

 毛がある大上の方が泡であわあわになるよね。来も大上にくっついて2匹で泡で遊びだした。

 ペットって、癒されるね。

 2匹の会話を聞きながら、自分も体を洗って洗濯もついでに済ませる。


「そろそろ、流すよ。」

”はーい。”

”くるー。毒る♪(はーい。楽しかったね。)”

”ねー♪”


 今からまた、水でグルグルだけどね。大上の水流はもうちょっとゆっくりにしようか。


「あれ、なんで2匹で会話してるんだ?」

”ん?”

”る?”

「”ウォーターボール”」


 答えが返ってこなかったので、先に2匹まとめて流す。

 でも、何で会話してるんだ?

 だって、おかしい。俺は覚能力で心の”声”が聞こえるけど、この2匹には聞こえないはずだろ?

 スライムの「声」なんて聞こえないし、種族が違うからのにどうして通じているのか分からない。


 考えながら水流をイメージしていたから、回しすぎたのか長すぎたのか、洗い終わった2匹はぐったりしている。


「大丈夫?」

”急にやるなんて、酷い……。”

”くるくる……。(ぐるぐるし過ぎ……)”

「ごめんねー? それよりさ、来も大上もお互いの言葉……思ってる事がわかってるよね? 前からそうだっけ?」


 やっぱり集中してなかったから適当な水流になったみたいだ。ごめんね。

 手ぬぐいで来をつるんと拭いたら、びょしょびしょの大上を拭く。

 ドライヤーみたいにやりたいけど、エアカッターでうっかり毛を丸刈りにしちゃったら大変だし、練習するまで地道に拭くしかないよね。


”さっきからだよ。強くなって仲間になった!”

「え? それまでは仲間じゃなかったってこと?」

”毒る。毒るる。(仲間だけど、仲間じゃなかった。)”

”強くなって、ちゃんと仲間になれたよ。”


 仲間なのは始めから分かってたけど、言葉が通じる本当の仲間になったのは大上が魔石を食べて強くなってからということかな?

 ゲームなら、一緒に居ただけの状態からパティーメンバーになって経験値とか分配されるようになった感じだと思う。この世界でも経験値が分配されたら便利だけど、どうなんだろう。


 魔物が異種間で仲間になるには強くなる必要があるらしい。

 それでどう強くなったか分からないけど。魔物の成長って、謎。

 とりあえず仲良くしてるから、まあ、いいか。


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