表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
さとりくんは、腐女子じゃない彼女が欲しい  作者: siki
中学3年生、春休み
23/43

さとりくんは、頑張りたい

 ウルフの魔石は、一つ鉄貨8枚だった。

 スライムの魔石の買取額が鉄貨3枚だから、利益を入れると倍くらいの値段の違いになるのかな?

 ……強さ的には、倍以上の違いがあると思う。その程度の違いってことはスライムにも成長の可能性が有るのかな?


 ギルドを出た後は、同じ宿のためフローライトと共に宿に戻り、夕飯を食べてから就寝した。

 フローライトが何を売っているのか聞こうと思ったけど、明日に関係のある鏡と迷宮についてを聞かれて答えていたらさっさと食べ終えたフローライトが部屋に戻ってしまった。

 どうせ明日も一緒だし、その時でいいよね。




 朝になった。

 昨日よりも早く起床して朝ごはんを食べに行くと、すでにフローライトは食べ終わっていた。

 え、寝坊した? そんなことないよね?


「起きたか。先にギルドで追加情報を聞いてくる。食べ終わったらそのままギルドで合流して出よう。聞いた話は道中ですればいいだろう。」

”やっと起きてきたか。誰かとタイミングを合わせるのは面倒だな。”


 そっちが早起きしただけなのに、ずいぶんな言い方だな!

 ギルドで情報を聞いても、この面倒くさがりがちゃんと説明してくれるか分からないし……まあ、俺の居ない時間はただの鏡だから追加の情報も特にないか。


「よろしく。あ、お昼ってもう用意した?」

「無いのか? 保存食はまとめて持っていないのか?」


 その言葉に、頷く。

 保存食って、初日に買った硬いパンだよね。水は常備してるけど、主食は持って無い。

 あのダンジョンで遭難とかしないし、お昼はタルトさんからサンドイッチを貰ってたし、来に全部あげちゃったよ。

 パンの分だけ来の体が膨らんだり縮んだりするのを見ながら、スライムの生体について妄想するのは結構楽しかった。そんなことしてたら、すぐに無くなったけど。


 俺の悪びれない表情を見て、フローライトは嫌そうな顔になった。


「鏡の捜索を優先する。検証が済み次第、一度戻ってきてギルドに報告して解散するつもりで、昼までに戻ってこれるように努力しよう。」

”足手纏いが居ると効率が悪い。それなら一度戻った方がよほど稼げる気がする。”


 酷い言い草だな……お昼に戻る予定なのはいいけど、遭難の可能性があるダンジョンなんだよね。遭難する事は無いけど、食料を持たずにダンジョンに行くのは変だと思う。

 と、思ったら。


「保存食は俺の予備を貸す。予定通り戻れたら、そのまま返せ。もしハグレたら、今日はそのまま別行動として使った分の食料を後で請求する。これでいいだろ。」

”転移の罠でハグレた後に合流しようとするのは非効率だ。それなら別行動の方がいい。そうすれば俺は帰還で戻れるから、1食分で足りる。”


 ……とっても効率的ですね。

 ここまでしないと、お金って稼げないものなの? もっと心にゆとりを持とうよ……。

 机に置かれた予備の食料の入った袋は受け取るけどさ……あの硬いパン、あんまり美味しく無いんだよね。

 本気でお昼までの調査終了を目指そう。俺なら出来る。ダンジョンの変化の原因だから。


「分かった。これ食べたら、ギルドに行くよ。」

「先に行ってる。」


 立ち去るフローライトの事を一時的に忘れて、タルトさんの作った朝食を楽しむ。

 今日の朝食は、パンというかピザだった。具材がたくさん乗ったピザを美味しくいただいた。

 タルトさんと目が合ったが、この時間は出発前の冒険者の多いピークだから忙しそうだ。


”今日は早いのかい。このタイミングだと、お昼を持たせてあげられなくて残念だよ。”


 俺も残念。

 お金好きの効率主義者に急かされてるので、今日はもう行って来ます……。





 食べ終わってからギルドに行くと、すでに待っていたフローライトと合流して出発した。

 ギルドでの追加情報は、「ただの鏡の時間がある」ことと、「5階のどこかに鏡が有った」という目撃証言だ。

 5階って微妙に遠いね……。早く調査を二つとも終わらせたいな。


「ところで、最近あのダンジョンに行く一部の冒険者の収入が多くなってるのを聞いたんだけど、フローライトも多い方なんだよね? 何か理由があったりする?」

「さあな。俺は普通にダンジョンに潜っているだけだ。」

”ダンジョンでの危険を減らせて俺も儲かるいい商売だ。偶然だが、人が減って石の取り合いも少なくなるからちょうどいいしな。”


 意図的ではなくても、人が減るのは喜ばしいようだ。

 そういう感想じゃなくて、売ってるものについて話してよ! 思い浮かべてくれないと、俺には分からないんだけど。


「そんなことないんじゃない? 運がいいにしても、人が減る影響でるほどなんて普通じゃないよ。もしかして、特別なスキルを持ってるとか?」

「そうかもしれないが、前も言ったが、スキルについてはあまり詮索しない方が良い。」

”俺のスキルは、一日に一度一月以内に行ったことのある場所に転移できる。関係はある。それにしても、スキルの詮索をするなと言ったのを忘れたのか? バカか?”


 フローライトの帰還のスキルって、そんな感じなんだ。そのスキルが使えれば、元の世界に帰れそう!

 ……でも、バカって酷いよね? ちゃんと覚えてたけど、フローライトがオペラをいじめる原因なのが悪いんだよ!

 俺は常識的な人間だから、一応、謝るけどね。


「ごめん。確かにフローライトのスキルだけで、他の冒険者まで稼げるようにならないよね。何か特別なアイテムを持っているとか?」

「俺は特に持ってないな。」

”アイテム。いい線だな。俺のスキルを入れた石を売っているのを知っているのか? 異世界人とは言っても、弱い魔物支配スキルで散財するような奴に売る気はないけどな。”


 おお! スキルを入れた石! それなら俺もフローライトのスキルを使えるって事!? 帰る方法が見えてきた!

 でも、売る気は無いってさ。俺の覚能力は弱くないけどね! いちいちムカつく言葉を入れないと話せないのかよ!?

 ……うん。口からの言葉は、普通だよね。大丈夫。

 俺は普通の人間だから、イラつかないで話せるよ。

 帰る希望になるフローライトに嫌われないように頑張るよ!


「じゃあ、フローライトがスゴイってことだ! 他にもすごい冒険者が居るってことは、この前の魔法の話みたいに弟子入りした方が良いかな?」

「聞かれたことには答えるが、弟子入りはないだろう。俺もDランクだし、いつもこのダンジョンに居るようなのはせいぜいCランク位までだ。今はギルドの依頼で一緒に行動しているが、罠でいつはぐれるか分からないから、考えられないだろうな。」

”俺のスキルは、安全に稼げるいいスキルだ。でも、こいつを連れて歩く気にはなれないし、あいつらもそんなことはしないだろう。何のメリットも無い。”


 ……精一杯のよいしょが何も効かないだと……?

 俺も頑張って仲良くしようとしてるんだから、そんな正論で返さずにちょっとぐらいテンション上げろよ。聞いたことにも、面倒くさがって適当にしか答えないくせに!

 しかも、ここのダンジョンで稼いでいる冒険者は、皆フローライトの同様の思考の持ち主……つまり、面倒くさがりのお金好きってこと? 仲良くする気が失せる……。

 フローライトに俺のいいところを分かって欲しいとは思わないけど、一緒に居る気が無いと言われれば、俺だってその気が無くなる。




 やる気のない「そっかー。」という返事で返し、やっと到着したダンジョンに入る。

 俺の事を必要としてくれるのって、オペラだけなんじゃないか?……便利な人間扱いだけど。


 迷うことなく正面の赤く光る模様から3階に転移して、足早に進むフローライトに続く。

 オペラが大上を送ってくれた場合、うっかり先を行くお金好きに殺される可能性があるし、今はオペラの所に行けない。

 連絡しないと、だね。


『オペラー。来たよ!』

”ユウキ? 来たの?”

『そうなんだけど、ギルドで調査の依頼を受けてて、今他の冒険者と居るんだ。だからそっちに行けないし、大上をこっちに送らないでね。』

”そうなの。今日は鏡で声で恐怖集めは出来ないの……残念。昨日の内に力を貸してもらえば良かった。”


 昨日もっと働かせれば良かったってこと!? 本気で便利な人間扱いされてる! 早く強いアピールで、ギャップ萌えで……好感度を上げないと!


『調査が終わったら一回出て、また戻って来るよ。待ってて欲しいな。』

”そう。……そういえば、この声で動けなくなったりしたみたいだけど、私も操られちゃう?”


 少し不安そうな感情が伝わってきた。

 食い気味に反論する。


『操らないよ! ちゃんと言葉とか乗せる意思とか考えて話してるから、彼女を無理に操ったりしないから、安心して!』


 冒険者を行動不能にして楽しんだけど、彼女を意のままに操るとか……それもちょっと楽しそうだけど、そんな空しいことはしない! と、思うよ?


”彼女だから無理に操らないの? 私、彼女で良かった。酷いことしないなら、ちょっと操られてみたいかもしれないの。”


 オペラは楽しそうに答えてくれた。

 ……え、操っていいの? それってエロイ感じに? マジで?

 

”ちょっと興奮してる? どうしたの?”


 本当に不思議そうな声色だった。

 ……エロイ意図はないんですね。無理強いしません……。


 オペラは感情を読めるからちょっとやりずらい気もするけど、こういう突っ込みが来るのは新鮮で俺も楽しい。他の人間は、いくら心の声に返事をしても無反応だからね。


『早くそっちに行きたいんだけど。そういえば、鏡増やしたんだよね? この近くに無い?』

”早く来て欲しいの。その階にはないけど、鏡が必要なら進行方向に作っておく?”

『ほんと!? 助かるよ!』

”わかった。今から作るから、待っていて欲しいの。”

『了解!』


 これ、本当に早く終われそう! やったね!

 ……いや、フローライトの攻略をしないといけなのか。フローライトじゃないけど、面倒くさい。


 軽く腕を回して、やる気をかき集める。

 ……よし! 頑張って仲良くなろう!


 頑張らないと仲良くする気の起きない人と、無理にでも仲良くしないといけないなんて、社会は厳しいね。



評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

↑ページトップへ