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さとりくんは、腐女子じゃない彼女が欲しい  作者: siki
中学3年生、春休み
22/43

さとりくんは、知らせる

 ダンジョンで道中のスライムを狩って来に魔石を食べさせて、森での魔物はちょっと離れていたので、そのまま街に戻った。

 街で一番に向かったのは、とりあえず、屋台。

 昨日目を付けていた串焼きとかを食べ歩きした。串焼きは見た目通りの焼き鳥のような味で美味しかった。

 やっぱり成長期の男子にあの量のお昼は少なかった。ちゃんと食べないと身長伸びないからね。栄養補給大事。




 お腹を満たして、やっとギルドに行き、いつも通りエクレアさんに声をかける。


「こんにちは、エクレアさん。」

「お疲れ様です、ユウキさん。」


 朝から日暮れくらいまでが基本的な冒険者の活動時間だと思う。これまでの早い時間と違って少し込み始めていた。

 それにしても、今はちょっと騒がしい。


「ユウキさんは、今日も輝石のダンジョンに行ったんですよね? ダンジョンで鏡を見かけませんでしたか?」


 俺が脅かした3人の話がギルドまで来ていたらしい。

 情報を集めるにはちょうどいいね。

 さて、どう答えようか?


「鏡って、普通の鏡ですよね? 見かけましたけど、どうかしたんですか?」

「見かけたんですね!? 普通の鏡でしたか? 何か変なことが起きたりしませんでしたか?」

”ユウキくんも見てたなんて! でも、今までの冒険者と違う? 異世界人補正ってことなの!?……可愛いユウキくんが実は強いなんて……ギャップ萌え!!”


 弱そうな見た目だけど、実は強いっていうのはこの世界でもいいギャップになるようだね。……腐女子が特別に萌えを感じているだけじゃなければ。


「何も。普通の鏡だと思ったんですけど、何かあるんですか?」


 鏡を設置してから鏡を見た3人とも脅かしたけど、俺の居ない時間はただの鏡だから、ちゃんとただの鏡の時間が有ることも知らせた方が良いよね。


「あのダンジョンで鏡を見つけた冒険者が、鏡から自分の思っている声が聞こえてしばらく身動きが取れなくなったそうなんです。そういう魔物が居ないか問い合わせが有ったのですが、過去そのような魔物は見つかっていません。

 新種なのか、ダンジョン特有の現象なのか、調査が必要だと思っている所です。」


 魔物か……俺、魔物扱いされてる……。

 でも、調査ってことは、人間がたくさん入りそうだし、成功ってことかな?

 ただの鏡だし、俺もただの人間だから、ダンジョン特有の現象ということで落ち着くだろうね。


「そんなことが……今までダンジョンに鏡は無かったんですか? 迷宮に鏡っていうのは割とありそうですけど。」

「何か知ってるんですか? 今までダンジョンにそんな鏡が現れた記録は有りません。知っていることを、教えてください!」

”異世界知識に、異世界人補正! この調子でフローライトさんも頑張って落として!”


 異世界の創作物の迷宮のイメージと、俺の覚能力の合わせ技で……フローライトは帰還方法とダンジョンの障害の面からも攻略対象だ。

 うーん。事実と妄想が微妙に合っているのが、腐女子って怖いよね。


「ええと、元の世界の架空の物語の中に、迷宮と鏡の組み合わせは時々あるんです。映った鏡の中の自分がしゃべり出したり、動いたり、中には鏡から出てきて戦うこともあります。この世界で、そんなことが起こるかは分からないですけどね?」

「そんなお話があるんですね。ちなみにそれはどうやって解決しますか?」

”鏡の自分がしゃべりだす。それね! その後に鏡から出て来るなら、やっぱり新種の魔物ってこと?”


 ……残念ながら、鏡からは何も出てこないよ! ただの鏡だから! 俺も人間だし!

 でも、精神操作してそういう幻覚を見せられるか試すのもいいかも。


「空想上の話ですよ? 解決といっても強くなって自分に打ち勝つというくらいです。」

「自分に、勝つんですか?」

「自分と向き合って自分を認めたり、自分の弱さに打ち勝ったりという精神的な戦闘の描写になるんですかね? 鏡から自分が出てくるというのも、精神面の戦闘を分かりやすくする表現の一つだと思います。」


 そういえば、割と大事なシーンかも。

 強くなった主人公が精神的にも成長する戦いとして、迷宮と鏡があるって感じだよね。

 ……こんな平時から普通に運用していいものじゃなかったかも? いや、彼女を助けるための方法なんだから、別にいいよね?

 小説とか漫画では主人公の大事なシーンで登場するけど、攻略するタイミングが終盤なだけで、その迷宮とかダンジョンは常時開いているわけだから問題無いはず!……そうだよね?


「そうですか。精神面での戦いになるという事ですね。」

「俺の知っている話ではそうでした。この世界では、精神面を鍛えるといいことがあるんですか?」

「ありますよ。精神面は魔法に影響するので、精神が強いと魔法防御力が上がったり、魔法を使う才能が有るなら制御力が上がって強い魔法を出せるようになるそうです。

 ……とはいっても、精神面を測ることは出来ませんので、そう言われているというだけですけどね。

 この鏡の試練に打ち勝つ者の魔法や魔法防御力が強ければ、精神の強さを測るいい指標になるかもしれません。」


 俺、自分でいうのもあれだけど、精神面は鍛えられてると思うんだ! もし本当なら、魔法も結構つかえるんじゃない? 楽しみだ!

 それに、精神の修行がオペラのダンジョン以外で出来ないなら、人気ダンジョンになれるかも! やったね!


「ユウキさんは詳しいようですし、その鏡が動く時と動かない時があるのか、ユウキさんには効かないのかは分かりませんが、()()()で調査をお願いしてもいいでしょうか?」


 エクレアは、いい笑顔で告げる。

 二人って、突然どうした。そんなの、エクレアが美味しいだけだろ!?

 エクレアの視線は、俺を挟んで後ろに向けられていた。


「何の話だ?」

「輝石のダンジョンで、不思議な鏡が現れたそうです。明日、ユウキさんとフローライトさんのお二人に調査をお願いしていいですか?」


 今、俺の番! 後ろに並んだフローライトと話すな!

 ……いや、このお金好きからも何を売っているか聞きださないといけないんだから、ちょうどいいか。

 振り返り、フローライトに笑顔を向ける。


「俺はフローライトが来てくれるなら、調査してもいいですよ。」


 何のことだと眉間に皺を寄せるフローライトと対照的に、エクレアのテンションは上がっていた。


”きゃぁー!! フローライトさんが一緒ならいいって! ならってことは……フローライトさんと一緒に居たいんだよね! ユウキくん、可愛い! 本音が漏れてるぅ! ここでフローライトさんを巻き込んで良かったよぉぉ!”


 ……俺、一緒ならいいって言った? 言い間違えたみたいだ……。無意識にフローライトを調査したくて口から出たんだと思うけど……この腐女子の前で、失敗した!!


 俺が横に詰めると、フローライトが空いたスペースに入った。

 ハイテンションの内心を隠し切れない輝いた目で、エクレアが先ほどの鏡の説明をしていくのを聞く。


 一人でダンジョンに行くことの多いダンジョンだけど必ず二人で鏡を確認して、現象が起きた時もう一人が観察してどうなっているのか見ること、出来れば二人同時に鏡に映った時はどうなるのか調べること。それが出来れば金貨1枚を報酬にしてくれるようだ。

 他の稼ぎはそのままで、失敗した時のデメリットもない。

 ……お金好きの回答なんて、聞かなくても分かるよね?

 フローライトの答えはもちろん依頼を受けるってことなんだけど、エクレアさん、今勝手にギルドの依頼内容と報酬を決めたよね? 自腹? それとも、ギルドでそれなりの地位にあるってこと? あの年齢なら、役職持ちでもおかしく無いか……。

 明日は、朝出る前にギルドに一度寄ることになった。今日の今から戻ってくる冒険者から聞いた情報と合わせてからの出発になるようだ。


 エクレアに身分証を渡して何か処理をすることで、依頼を受注をしてもらった。

 その後、赤い石は売らずに残して置き、拾った透明な石のみをフローライトと共に買取をしてもらった。


「ユウキさん、魔石が無かったのですが、大丈夫ですか?」

「はい。魔石は来に食べさせて、強化しているんです。あ、魔石って買えますか? 売ってもらえるなら買いたいです。」

「売ってますけど……スライムに食べさせるんですか? スライムは強化してもほとんど変わらないと思いますが、大丈夫ですか? 一応ですけど、強い魔物だと魔石を与えて強化すると魔物支配から外れる場合もあるそうですよ。」


 やっぱり? 来の鳴き声の感じが大分生き物っぽくなったけど、まだまだ普通にしゃべるのには遠いなぁとは思ってたんだ。

 でも、買いたいのは大上にあげる分だしな……。声を使わなくても普通に懐いてるから、強くしても問題ないと思う。


「少しでも強くなるなら、試してみたいんです。スライムより強い魔物の魔石……ウルフとかの魔石を売ってもらえますか?」

「分かりました。いくつ必要でしょうか?」

「とりあえず、3つで。」

「取って来ますね。」

”初めての従魔を大切にするなんて、ユウキくん可愛い! 初めての保護者のフローライトさんも大事に思って……ぐふふ……。”


 エクレアは緩む口元を隠すように、俺達に背を向けて魔石を取りに行った。

 俺とフローライトでエロい妄想しないで……。俺、彼女出来たんだからね?

 

 たぶん、もうダメだと思う。エクレアさんには、俺が何をしても俺とフローライトをくっつけようとすると思う。

 この前の感じから、この組み合わせで固定するって強い意思を感じたんだ。塩原さんもそうだけど、そうやって決めた腐女子の妄想する意思はすごく強いよね……。


 ちらりと横目で見たフローライトは、俺を憐れんでいた。


”魔石を従魔に与えるとか、テイマーって儲からないな。無駄にスライムを強化するなんて、魔物支配のスキルが弱くて他に従魔を作れなかったのか? 可哀想に。”


 魔物支配のスキルじゃないし、別に弱くないよ!? スライムって割とすごかったりするんだから、無駄とは限らないし……。


 それに、お前も腐女子に妄想されてるんだからな!?

 ……知らぬが仏。なんて、本当にそうだよ……。



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