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さとりくんは、腐女子じゃない彼女が欲しい  作者: siki
中学3年生、春休み
21/43

さとりくんは、望む

 とりあえず、お試しは成功だった!

 そして、彼女との初めての共同作業も成功だね!

 ……あ、共同作業って結婚式? ケーキ入刀?

 気が早かったみたいだ。流石に結婚は早いよね? 先に家に帰らないと。


 ……そういえば、オペラを彼女にしようとしたのは、彼女を作ることで元の世界に帰ろうとしてたんだった。

 ……うっかり忘れて、目的が逆転してた……。


 彼女になった途端にオペラを放置して帰ることにならなくて良かった。

 でも、これで帰れないなら、もっとこう……キスとか? それ以上のエロいこととか? そういうのをしたら帰れるとか?

 でも、そんな俺にとって嬉しいことの後で強制的に返されるのは困る! 確かに帰りたいけれども! そのタイミングじゃないんだよ!

 しかも、帰ったら戻ってこれるのかな? この世界と元の世界を比べてどちらかを選ばないといけなかったらどうしよう……。


「ユウキ、どうしたの? どうして突然悲しくなるの? エネルギー的には十分成功だよ。一人だったけど、命の危機とか死ぬ寸前くらいの十分なエネルギーだったから、スゴイの! 大成功だよ?」


 オペラがチョコレート色の瞳を揺らして、心配そうにしながら俺を慰めてくれた。

 優しい……可愛い。

 

 そうだよね。大成功だったんだ。

 ……まだ希望はある。あの有力な情報は、もしかすると俺にも有力かもしれない。


「本当に十分なエネルギーだったんだね。良かったよ。心配してくれてありがとう。

 それで、さっきの冒険者の心の声で分かったんだけど、冒険者たちが転移で逃げるようになったのはやっぱりフローライトが関わっているみたいだ。”フローライトから買った転移の石”ってあの冒険者から聞こえたよ。フローライトって言うのは、俺が来た時に居たあの冒険者なんだけど。」

「そうなの。殺……さないで、解決できる?」


 一瞬殺そうと言いかけたオペラは、出来るだけ殺さない方針を優先させてくれた。

 俺が動きを止められるから、殺せるようになったことを知ったのに。

 フローライトのスキルは帰還だ。どんなスキルかは詳しくは知らないけど、転移で帰るスキルのはずなんだ。フローライトから買った転移の石がそのスキルの性能を持っているなら、俺が元の世界に帰ることも出来るかもしれない。


「ごめん。ありがとう。

 ……俺は、元の世界に帰りたい。でも、オペラ達の居るこの世界にも来たい。

 だからもし、フローライトから買える物が世界を往復出来る物なら、殺されると困る。」

「そうなんだ。帰りたいの。」

「うん。でも、今のお試しが成功したし、これからも協力してその……オペラと付き合っていくために、往復出来るようにしたいんだ。フローライトから買える物の性能が分からないから、何とも言えないんだけど、しばらく彼を殺さないようにして欲しい。」


 帰りたいの。という言葉に、思わず早口で言い訳のような言葉になった。

 だけど、これが本心。

 こちらを見つめるオペラと視線を合わせて数秒、微笑んだ彼女は優しい声で言う。


「分かった。その方法がダメでも、世界を越えることが出来るか分からないけど私も力を貸すの。そうでしょ? 私も力を貸してもらうんだから。」


 ずっと一緒に居られないのに、そんなことを言ってくれるなんて。

 まだ好感度が上がってる気がしないから、彼氏という名の便利な協力者くらいに思われていて、毎日通勤できないなら要らないって言われるかと思った。


 ……嫌うどころか力を貸してくれるって! 少しは自惚れていいんですか!?


「ありがとう! 殺せないとしても、鏡の前に来たら操って帰らせれば石の乱獲を止められるし、俺も頑張るね!」

「それなら損失も少なく済むの。一緒に頑張りましょ?」

「頑張ろう!」


 頑張って、諸悪の根源フローライトを攻略しよう!

 まさかフローライトに帰るための鍵があるとは……縁結びは、オペラとでいいんだよね?

 俺は、オペラと縁を結ばれたからこのダンジョンに異世界トリップして、オペラが困っている原因で尚且つ帰還の手がかりのフローライトの近くに出たってことだよね?

 つまり、フローライトを殺さずにこのダンジョンの問題をなんとかするれば帰れるってことかな?

 魔王とかに出てこられても困るし、これが正解であって欲しい!


「今日はそろそろ帰って、フローライトの事を聞いて探ってみるよ。」

「待って。心が読めるなら、直接聞けばいいでしょ? あの人はまだ此処に居るから、もう一人か二人試して感情を集めて欲しいの。ダメ?」


 彼女からのおねだりですよ! ダメなわけがないよね! 


「ダメじゃないよ。一人じゃ結果も分かりにくいし、もう少し試していくね。」

「ありがとう。」

”補給したエネルギーで、明日までに鏡を増やしておいた方が効率がいいの。”


 ……やっぱり、便利な協力者扱いだよね……。

 でもいいんだ。この問題をしっかり解決できる頃には、立派な彼氏になっているはず。


 彼女は見た目よりも中身の性質を重視したい俺だけど、中身は言うまでもなく好みど真ん中で、外見も成長が楽しみな可愛い彼女となれば逃がしたくない。

 もっと好かれるために出来ることは無いかな……?

 そういえば、佐倉が何か言っていた。



____

「中里って、見た目いいよな。」

「え!? 何の話?」


 顔の造作で言うなら、ダントツで佐倉が整っている。それだけじゃなく、佐倉が男の外見について意見するなんて、何が起きたんだ!?


「だから、あいつって身長高いし顔もまあまあだし、割と体格がイイだろ。やっぱり異世界に行くなら、強そうな男の方が好かれそうじゃないか? 俺は結構顔はイイと思うけど、血筋的に身長とか体格は恵まれないだろうからさ……あ、でも、俺みたいなのがチートな能力で強くなった方がギャップで嫁を落とせるか?」

「知らないよ……。」


 異世界の嫁を落とす方法を考えていたのか! その顔で真面目にそんなことを考えてるのが、ギャップだよ!

 ……その見た目だけで、腐女子じゃない女子からも人気あるんだけどね。三次元女子は受付てないから仕方ないね。


「見た目は強そうじゃなくても、やっぱり鍛えておいた方がいいかもな。中里ってなんだっけ? サッカーだか柔道だかやってるだろ? あれで鍛えられるのか?」

「バスケね! 部活は頑張ってるけど……昔から、運動神経良かったからね。中里の両親も身長高いし、お父さんの体格もいいから筋肉が付きやすい遺伝かも。」

「やっぱ遺伝か。それじゃ、今からバスケはじめても遅いな。」

”部活は楽な文化部が一番だよな。早く部屋に戻って嫁に会いたい。”


 心の声が全然やる気無いな! しかも今中三だし、今更部活変えるとか本当に今更過ぎる!

 ……あ、高校の部活の事かな?

 確かに、中里に興味を持っている腐女子じゃない女子も居る。筋肉、必要かな?


「僕も運動部とかに入って鍛えた方がモテるかな?」

「そうなるといいな。」

”ああ、無理。里が鍛えようとしても、無駄。活躍できない運動部員がモテる訳がない。”


 口からの言葉と裏腹に、心の声でかなり否定された! 成長期がくれば、きっと運動神経もよくなるはずだし! 全否定は酷すぎる!

____




 鍛えても無駄とか酷すぎる……。回想で悲しくなってしまった……。

 たしか部活中の会話だったと思うけど、塩原さんの妄想が混じってないのになかなかの精神攻撃だ。


 ともかく、佐倉は異世界の嫁にモテるには、強い方が良いかもしれないと言ってた。

 オペラにも当てはまるかな……?

 でも、鍛えても無駄って言われたんだよね。帰るまでの、この短い休み期間に成果が出ないと困るんだ。無駄かもしれないことを試す時間は無い。


 ……ということで、魔法を鍛えようか! 強くなればいいんだよね? せっかくなら魔法だよね!


 便利な覚能力を活躍させて来たけど、俺の塩原さん達の妄想攻撃によって鍛えてきたMEN(精神力)が魔法に活かせるはず!

 ……俺のやってたゲームだとMENは魔法防御力だったけど、強くなれるよね?

 ……フローライトに俺の魔法を貶されたけど、大丈夫だよね?




 魔法の練習をすることを決めた俺は、その後立て続けに映像に映った冒険者を2名処理して、街に向かった。

 その2名も、魔物に襲わせる第二プランを使うまでもなく、鏡の中からの声と金縛りのお化け現象に恐怖して逃げようとしていた。根性が無いね。

 初日なので、2名とも激しく逃げたがったところで逃がしてあげた。


 ……すっごく、楽しかった! 冒険者という戦闘職の男どもを怖がらせて恐慌状態に陥らせるなんて、最高だね!


 もしかすると、妖怪と呼ばれた先祖もこんな気持ちで悪戯していたのかもしれないね。



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