六話 [喘ぎたいジョーカー部]
「さぁて、今日もジョーカー部、開始だよっ!!」
『おー!!』
「さて今日は第一巻を刊行するべく、今回は富士見ファン○ジアさんに頼んで来たよ!!」
「おうおう開始三行でレーベルぶっ潰すなんて流石部長マジでやめてぇー!!!」
早速富士見ファンタ○アさんが倒産の危険が訪れた。開始三行でここまで絶望させる小説は無ぇよ!!
「いやぁ富士見ファ○タジアの諸君はやる気があって良いね!! 早速ドラ○ンマガジンセンター表紙を我々が戴いたわっ!!」
「最早刊行すらしてない小説がする事じゃ無いですよねぇ!? 富士見○ァンタジアの皆さんすいませんすいません」
「なぁに謝ってるのさ赤司!! 私達は今や社会現象を巻き起こした中心核なのよ? もっとシャキッとしなさい」
「レーベルを僅か三行で我が手にした壮大な大事件の中心核ですねどねぇ!?」
早速富士見ファンタジ○と来てドラマガ。流石の部長もする事は絶対にする人間だ。恐らくうまい棒一本あげないと止まらないだろう。
「でも、冬美達が人気って言うのは紛れもない本当です………学校に来る途中だって……」
「そうなんだよなぁ。冬美と一緒に学校に行く途中、軽く撮られたからなぁ……」
「と、盗られたっ!? 何をだっ!!」
「違う。撮られたんだよ。まぁ全員消したけど」
まぁ理由がどうであれ、被害者は二人も居る。流石に止めないと俺のところにだって被害も及ぶだろう。
部長も至って幸せそうだし、理不尽な世界だ。
「あ、そうだった。ドラマガの付録として何か付けたいんだけど、皆は何が良いかな? それを今日は決めるんだったよ」
「え、そのドラマガって付録も付くんですか? 結構富士見ファン○ジアさんもやりますね」
「そうなのよ。フィギュアか、キーホルダーか、小説に関するグッズだとか……用途は様々よ」
「あれ、ヤバい。富士見ファンタジ○さん結構やる気じゃないこれっ!? んで、その中から決めると……」
「うん、別に今言った奴じゃなくても良いんだけどね。一応皆にも意見を聞いておこうかなーって」
「その前に俺達にドラマガ事を相談すべきだと思うんですけど……」
俺がそう言うと、機嫌を悪くした様に部長は社長椅子にふんぞり返る。俺達に言うと絶対邪魔されるからって事か……。
ここで冬美ちゃんが興味を持った様に部長に耳打ちをする。それに続いて美智も。
………………怪しい。
「フ、フユミハ、フィギュアノホウガイイトオモウナー、ネ、オネエチャン」
「オ、オウ、ソウダナー。タクハドウオモウ…………?」
『!?』
二人が目をキョドキョドさせ会話の様な独り言を大声で話す。これには部長も驚いた様で、目を白黒させる。
待て、お前ら。色々と下手過ぎだろうが。
「………………じゃぁフィギュアで良いよ」
『!?』
「んじゃ誰がフィギュアの形になるんだ? 一応部長で良いのかな………」
「あーえぇっと、うん、あのー。うん、それはボビー・オ○ゴンさんで決まりね冬美ちゃん!?」
「はへぇっ!? ………部長さんっ!? 何でオロ○ンさん何ですかっ!!」
「………………ねぇ部長」
俺が声のトーンを三段階低くしてそう言う。それに驚いた様に、皆が肩を一瞬動かす。
「な、なぁに赤司……? まさか新しい案でも――」
「何か隠してますよね? 話して下さい」
「な、何の事かなぁ? 良く分からないよぉっ♪ きゃぴっ★」
「話せ」
「はいぃ…………!!」
どうやら三人共、ただフィギュアとしては駄目らしく、拒否をする様に今の行動にでたと言う。が、何か裏が有りそうだった。まぁ散策するだけ野暮だろう。
「んじゃ、俺はバイトあるんで………お先に失礼しまーす」
「ま、待って!! 赤司………、少し、時間ちょうだい……?」
「うぼぉっ!!」
俺が部屋から出ようとすると、三人が俺の服の裾を引っ張って来る。
まぁ、ぶっちゃけ。理由は分かっていた。
今日は実は俺の誕生日である。少し夏っ気が消えてくる秋雨の今日。
期待はしていたが、こうも分かりやすいと弄りたくなる。
「す、すいません。バイト遅れちゃうんで………」
「待ってよぉ!? 今日誕生日でしょ……アンタ。ほらこれ、プレゼントですっ!!」
「えぇっ!? ビックリしたなぁ、覚えててくれたんですか……?」
「………うん、皆でかき集めて作ったの!!」
うん? かき集めて作った?
俺が手渡されたその大きい箱の封を開ける。そして一枚紙に手をかけ、剥がす。そこには…………
例の黒光りするゴツゴツしたアレが入っていました。
夜な夜な薄暗い教室で男の喘ぎ声が聞こえてくる都市伝説………。
それは赤司の叫び声かも知れません……。
ひぎぃぃっ!! だ、駄目です部長っ!! そんなもの入らないって………あ、駄目、入ってくるぅっ!! あ、もう、限界っ!! あ、あ、あ、ユニヴァァァアアアアアアス!!!!