すぴんおふ! [ハロウィンするジョーカー部]
ジョーカー部が始まる前、部長と俺しか集まってない部室にて。
「あ、そういや部長今日ハロウィンっすよ」
「そうね………テレビとかで結構やってるけど、何なのアレ。アホなの? バカなんでしょ? 我が国の文化でもないケルト宗教のお祭りをやるなんて日本国民も落ちぶれた物ね」
「部長、それ言ったら終わりっすよ」
部長は相変わらず長机に突っ伏したままだ。
と思ったら机を叩き飛び上がる。
ごめんよ、罪のない机よ。
「違うわ!! 私達の戦いは終わってなんかないのよ!!」
「いつから戦いが始まってたんですかねぇ!?」
「俺達の戦いはこれからだ!!」
「あぁ、なんかそれ駄目です!! キャラが被ってると言うか……アウトゾーンって言うか………って机の上に立つなぁ!!」
「八時だょ、全員集合!! ジョーカー部、始まるよぉぉおおおおおおおおお!!!!」
「現時刻、午後の五時を回りました」
「うー……………なんか柊姉妹遅いね…………」
「そうですね………見に行きましょうか?」
「いや、別にいいよ」
確かにいつもの事だが、今日は自棄に遅い。
美智はともかく、冬美ちゃんまでもが遅いとなるとジョーカー部も進め辛い。
というか、部長と俺だけの部活って珍しくないか?
「そういえば、私と赤司だけの部活って珍しいよね」
「同じ事考えてたんですか」
そう言うと部長は顔を背ける。
素直じゃない奴め。
「と、とにかくっ!! 柊姉妹が居なくても部活はちゃんとやるよ!! ホレ赤司なんとか言いなさい!!」
「なんとか」
「宜しいっ!! 今日の議題はコレよっ!! よ、よいしょっと…………」
部長がホワイトボードを回してこちらに見せる。
〈ハロウィンパーティー〉
「いやいやさっきまでのハロウィンに対する完全否定はなんだったんすかねぇ!?」
「いいじゃないお菓子貰えるんだから!! 購買のおばちゃんにも飴玉貰ったんだ~」
「結局お菓子貰いたいだけじゃないですか…………」
「違うわ、しっかりとした古来のハロウィンをするのよ!!」
しっかりとした………古来のハロウィン………?
確か、ハロウィンってのはケルト民族の祭りで、悪霊が地上に降りてくるから人間達も悪霊に変装するってのがハロウィンの成り立ちだったような………(所説あります)
「Am○zonでカボチャを用意してもらおう!!」
「早速大手輸送業者に頼るんですか…………多分本日中に届かないと思いますけど……?」
「あ、それもそうね……………カボチャくらいそこら辺に落っこってるんじゃないの?」
「そんな魔窟じゃないですよこの地域」
カボチャが道にドスンと落っこってたら魔界村2並みの魔境だ。
俺は初代魔界村の容赦ない攻撃が好きだったけどな。
「あ、カボチャ見つけたよ~」
「案外魔窟でしたねこの地域」
「何時ものノリで私も言ったけどここまでとは思って無かったよ……………」
俺はバカデカイ土手カボチャの正面にマッキーペンで目と口を付ける。
「………赤司はなんでその作業手慣れてるの?」
「去年の今日、同じ事を一人でしてましたから」
「あ………そうなんだ……ごめんね赤司、気付いてあげられなくて」
……………なんか思い出して来た。
あれ? なんだろう、目からカ○ピスが出てくるよ?
「よし、これで完成………部長はどうですか?」
「ん………私も完成~♪ 我ながら完璧だね!!」
折り紙で作られた色とりどりの紙飾りが部室を彩ってる。
そして―――――――。
部室の長机に聳える不気味なカボチャ!!
完璧だ…………完璧だよ部長………!!
「やった…………始まったんだ、俺達のハロウィンが………!!」
「えぇ…………もう辛い思い出を作らなくて良いのよ!!」
その後、俺と部長は一夜限りのハロウィンを楽しんだ。
ハロウィンパーティーが終わった後、俺と部長は涙を流していた。
『二人だけのハロウィンって………虚しい』