──*──*──*── 宿屋
──*──*──*── 豚常呂亭
店員
「 いらっしゃいませ〜~。
ようこそ~~、豚常呂亭へ!
御客様、宿泊希望で宜しいですか? 」
セロフィート
「 そうです 」
店員
「 有り難う御座いま〜~す!
御宿泊は御客様お1人で宜しいですか? 」
セロ
「 はい。
ワタシは旅人です。
≪ 都 ≫には初めて来ました 」
店員
「 まあ!
≪ 都 ≫は初めてですか!
何処の≪ 都 ≫も広いですからね〜~。
慣れない旅人は良く迷われるんですよ〜~。
御客様、≪ レドアンカ ≫へ、ようこそ!!
御お客きゃく様さまは~~、とぉ~~~っても運うんが宜よろしいですよ!
只ただ今いま、期き間かん限げん定てい企き画かくで豚とん常とこ呂ろ亭ていに御ご宿しゅく泊はくしてくださる御お客きゃく様さまへ都と内ないの地ち図ずマップを無む料りょうで、お渡わたしさせていただいてま〜~す!
受うけ付つけでチェックインを済すませてください。
宿しゅく泊はく室しつの鍵カギと一いっ緒しょに地ち図ずマップをお渡わたしさせていただきま~〜す 」
セロフィート
「 地ち図ずマップ…です?
それは太腹ふとっぱらですね。
とても助たすかります。
受うけ付つけは── 」
?
「 ──たく!
契けい約やくした以い上じょうはだな、ちゃんと報ほう酬しゅうを払はらえよな!
値ね切ぎるなんて罰ばっ則そくもんだぞ! 」
?
「 ──るっせいやい!
未まだ、ガキじゃねぇか!
ガキに正せい規きの報ほう酬しゅう額がくなんか支し払はらえるかってんだ!!
世よの中なかは甘あまくねぇんだよ!
指ゆびでもチュパチュパしゃぶって出で直なおすんだな! 」
?
「 言いったな!!
見みた目めはこ・れ・でも、オレは歴れっきとした成せい人じんだぞ!
その証しょう拠こに守しゅ護ご衛えい士しの労ろう働どう許きょ可か証しょうだって持もってるんだ!
文もん句くがあるなら《 守しゅ護ご衛えい所じょ 》へ出でて来きてもらう事ことになるけど!
いいんだな? 」
?
「 ──ぐっ…………チッ!!
わぁったよ!
支し払はらえばいいんだろうがよっ!
ケッ!
金きんか銭せんねに煩うるせぇ守しゅ護ご衛えい士しだぜ!!
──ほらよっ!
持もって行いきやがれ! 」
如い何かにも人にん相そうの宜よろしくない中ちゅう肉にく中ちゅう背ぜい男おとこは、ぶつくさと文もん句くを言いいながら懐ふところへ手てを入いれる。
懐ふところから報ほう酬しゅうの入はいった銭ゼニ袋ぶくろを取とり出だすと、空あいている客きゃく席せきのテーブルの上うえへ銭ゼニ袋ぶくろを乱らん暴ぼうに投なげ置おいた。
ドンッ──という音おとの後あとからジャララッ──という銭ゼニ袋ぶくろの中なかで硬こう貨かがぶ・つ・か・る・音おとが静しずかな食しょく堂どうに響ひびいた。
店員
「 あ゛〜~……また例れいの御お客きゃく様さまですね〜~~。
あの人にん相そうの悪わるい御お客きゃく様さま……何いっ時つもあ・ん・な・感かんじなんですよねぇ〜~。
お金かねに煩うるさいのはどっちだか…… 」
セロフィート
「 ははぁ…。
お気きの毒どくです 」
店員
「 でもまぁ……あんな方かたでもウ豚とん常とこチ呂ろ亭ていを御ご贔ひい屓きにしてくださる御お客きゃく様さまの1人りですから無む下げには出で来きないんですよね〜~。
食しょく事じには羽は振ぶりが良いいんですよ~~。
──それにしてもあ・の・守しゅ護ご衛えい士しは凄すごいですよね〜~。
あんなに小ちっさいのに自じ分ぶんよりもずっと大おお柄がらな相あい手てに向むかって、堂どう々どうと凛りんとした態たい度どで強つよ気きに言いえるんですから!
大たいしたもんですよね〜~ 」
セロフィート
「 ふふふ…。
ワタシも思おもわず感かん心しんしました 」
ショートカットよりも少すこし長ながめで、珍めずらしい黒くろ髪かみをした背せの低ひくい少しょう年ねんは、客きゃく席せきのテーブルの上うえに置おかれた銭ゼニ袋ぶくろを手てに取とると、中なかに入はいっている硬こう貨かを掌てのひらに出だして数かぞえ始はじめた。
黒髪の少年
「 …………………………よし。
契けい約やくしていた報ほう酬しゅう分ぶん──、ちゃんとあるな。
──ほら、領りょう収しゅう書しょだ。
無なくすなよ! 」
人相の悪い中肉中背男
「 ケッ!! 」
憎にく々にくし気げな表ひょう情じょうで守しゅ護ご衞えい士しの少しょう年ねんから領りょう収しゅう書しょを奪うばい取とるように受うけ取とった人にん相そうの悪わるい中ちゅう肉にく中ちゅう背ぜい男おとこは、ブツブツと悪あく態たいを吐つきながら、態わざとらしくドシドシと音おとを立たてて、大おお股またで2階かいへ続つづく階かい段だんを上あがって行いった。
黒髪の少年
「 …………全まったく……。
余よ計けいな手て間まを取とらせるなよな…… 」
溜ため息いき混まじりに呟つぶやいた守しゅ護ご衞えい士しの少しょう年ねんは、領りょう収しゅう書しょと報ほう酬しゅうの入はいった銭ゼニ袋ぶくろを腰こしに付つけている鞄かばんの中なかへ入いれると宿やど豚とん常とこ屋や呂ろ亭ていの出で入いり口ぐちへ向むかって歩あるき出だした。