二.役所 1
マオ
「セロ、此処が《 役所 》だ」
セロ
「ははぁ……高いです」
マオ
「五階 建てだからな。
中も広いから迷子になるなよ。
入口に《 役所 》内の見取図が描かれたパンフレットがあるから貰っとけよ」
マオはセロに手招きをすると、セロと共に《 役所 》へ入った。
──*──*──*── 役所
セロ
「はあ…………本当に広いです…」
マオ
「色んな部署があるからなー。
──あっほら、パンフレット。
ちゃんと持っとけよな」
マオはパンフレットを手に取ると、セロに手渡した。
セロ
「有難う、マオ」
マオ
「ええと…〈 労働許可証 〉の申請は確か──、三階だったな。
セロ、三階に上がるぞ」
セロ
「はい」
マオとセロは階段を上がり、三階へ向かった。
──*──*──*── 三階
セロ
「人が沢山居ます」
マオ
「普通だよ。
《 役所 》って所は、二番目に人が集まる場所だからな」
セロ
「二番目…です?
一番、人が集まる所があります?」
マオ
「 《神聖堂 》だな」
セロ
「《 神聖堂 》です?」
マオ
「《 神聖堂 》は≪ 都 ≫での冠婚葬祭以外にも〝 大陸神エルゼシア様の教え 〟を學べる《 學舎 》もあるし≪ エルゼシア大陸 ≫の歴史≪ レドアンカの都 ≫の歴史、読み,書き,算盤の勉強も学べる《 学舎 》もあるし≪ 都 ≫唯一の《 病院 》もあるから、一番人が集まる場所なんだよ」
セロ
「ははぁ…行ってみたいです」
マオ
「なら、此処の用事が終ったら行ってみるか?」
セロ
「はい♪」
マオ
「えーと…ああ、五番受付だな。
──セロ、此方だ」
マオはセロを五番受付へ案内する。
マオ
「こんにちは。
〈 労働許可証 〉を申請したいんだけど」
マオは受付台に近付くと〈 受付嬢 〉に声を掛ける。
受付嬢
「いらっしゃいませ。
申請ですか?
再発行ではなくてですか?」
マオ
「オレじゃなくて、此方。
〈 労働許可証 〉を持ってないから申請したいんだ」
受付嬢
「ああ、お連れ様の………………(////)
あっ、ええと(////)
それでは、番号札をお渡し致します。
お呼びさせて頂きますので、そちらのソファーにお掛けになってお待ちください」
〈 受付嬢 〉は長身のセロを見るや否や、顔を赤らめる。
今までに見た事のない美男子の為、見惚れてしまったのだ。
然し、直ぐに自分の立場を思い出し、正気に戻った〈 受付嬢 〉は、マオに番号札を手渡し、簡単な説明をした。
マオ
「ありがと」
マオは両頬を赤く染めている〈 受付嬢 〉から番号札を受け取る。
マオ
「ほら、セロ。
番号札、持っとけな。
番号が呼ばれるまで其処(ソファー)に座って待っとくんだ」
セロ
「はい」
マオとセロは、ソファーに腰を下ろし座る。
なかなか座り心地の良いソファーだ。
マオ
「二七番か…。
結構、待たされるかもな〜……」
セロ
「そうです?」
マオ
「〈 労働許可証 〉関係に用事のある人が、オレ達以外に 二六人も居るんだぞ。
たかだか 五分程度の申請に、何時間も待たされるんだよ。
此処(役所)はさ……。
{あ゛〜〜〜 だから《 役所 》は嫌いなんだよな〜}
昼前に済んでくれるといいんだけど……」
セロ
「三時間半も座ってます?」
マオ
「そうだよ。
何時呼ばれるか分からないから、此処に座ってないと駄目なんだ。
呼ばれた時に、その場に居なかったら、飛ばされて余計に遅くなるんだ。
だからって事もあってだな、他に待ってる人を見てみろよ。
皆、時間を潰す為に色々持ち込んでるだろ」
セロ
「…………ああ、本当ですね。
読書をしたり、眠っていたり、絵を描いている人も居ます」
マオ
「皆、待ち時間を潰す工夫をしてるんだ。
オレは準備して来るのをスッカリ忘れたけどな〜〜」
セロ
「ふふふ…忘れ物をしたのはマオの方でしたね」
マオ
「るせ〜。
…………ああ、さっきの続きになるけど《 神聖堂 》は《 役所 》から徒歩で 一〇分くらいの場所に在るんだ。
≪ 都 ≫の中心に在ってな、結構広いんだ。
《 病院 》《 冠婚屋 》《 葬蔡屋 》《 學舎 》《 学舎 》《 児童養護院 》ってな感じに 六つの建物に分かれてるんだ。
全部を合わせて《 神聖堂 》って呼んでる。
《 神聖堂 》には誰でも自由に入れるよ」
セロ
「六つの建物全てに…です?」
マオ
「当たり前だろ〜。
来る者拒まずだよ。
ああ…《 児童養護院 》は《 學舎 》と《 学舎 》の真ん中に在るんだ。
天涯孤独の子供を預かって世話をしてるんだ。
それと里親になってくれる人を探してくれたりするんだ」
セロ
「《 神聖堂 》には〈 神力者 〉は、何れぐらい居ます?」
マオ
「孤児以外の全員が〈 神力者 〉だよ。
〈 巫士 〉〈 巫女 〉ばっかりさ。
知ってるとは思うけど〈 巫士 〉は男性の〈 神力者 〉で〈 巫女 〉は女性の〈 神力者 〉な。
《 神聖堂 》は、神聖な場所だから〈 大陸神エルゼシア様 〉から選ばれた特別な者しか働けない決まりになってるんだ」
セロ
「そうです?」
マオ
「《 冠婚屋 》を担当する〈 巫士 〉〈 巫女 〉は〈 冠婚士 〉〈 冠婚婦 〉。
《 葬蔡屋 》を担当する〈 巫士 〉〈 巫女 〉は〈 葬蔡士 〉〈 葬蔡婦 〉。
《 學舎 》を担当する〈 巫士 〉〈 巫女 〉は〈 教職士 〉〈 教職婦 〉。
《 学舎 》を担当する〈 巫士 〉〈 巫女 〉は〈 教師士 〉〈 教師婦 〉。
《 病院 》を担当する〈 巫士 〉〈 巫女 〉は〈 医師士 〉〈 医師婦 〉。
《 児童養護院 》を担当する〈 巫士 〉〈 巫女 〉は〈 養護士 〉〈 養護婦 〉って呼ぶんだ」
セロ
「担当する場所で呼ばれる名前が違いますね」
マオ
「そうなんだ。
担当する場所で装束色も違うから、何処を担当してる〈 巫士 〉〈 巫女 〉なのか直ぐ分かるんだ」
セロ
「どう装束色が違います?」
マオ
「《 病院 》は青系の装束色(白藍色)。
《 冠婚屋 》はピンク系の装束色(一斤染)。
《 葬蔡屋 》は黒系の装束色(漆黒)。
《 學舎 》は紫系の装束色(藤色)。
《 学舎 》は黄系の装束色(黄蘗色)。
《 児童養護院 》は緑系の装束色(白緑)だよ。
色の名前迄は知らないけど《 葬蔡屋 》以外の装束色は薄いんだ。
《 神聖堂 》で担当の無い〈 巫士 〉〈 巫女 〉の装束色は《 主神殿 》《 大神殿 》《 中神殿 》《 小神殿 》で暮らしている〈 巫士 〉〈 巫女 〉と同じ白系の装束色(乳白色)なんだ。
《 神聖堂 》は広いからさ、見取図もあるんだけど、迷い易いんだ。
そんな訳で、担当の無い〈 巫士 〉〈 巫女 〉は《 神聖堂 》の案内人をしてくれるんだよ。
入口で申込む必要があるけどな」
セロ
「何処の《 神聖堂 》も同じです?」
マオ
「他の≪ 都 ≫に在る《 神聖堂 》も同じだよ。
其処は、統一されてるよ」
セロ
「ふふ…マオは物知りです」
マオ
「≪ エルゼシア大陸 ≫ の陸民なら当たり前の知識だよ。
《 學舎 》と《 学舎 》で教わるからな!」
セロ
「マオも教わりました?」
マオ
「当然だろ。
《 學舎 》は、世代も身分も関係無く、誰でも好きな時に好きなだけ〝 大陸神エルゼシア様の教え 〟を學ぶ事が出来る。
年齢層や身分に関係無く、同じ部屋で學ぶのが《 學舎 》の特徴だな。
《 学舎 》は、四歳,五歳,六歳……と同じ年齢の子供を集めて世間一般に必要な知識を学ぶんだ。
三歳(四月)〜 六歳(三月)を〈 幼徒 〉。
六歳(四月)〜 一二歳(三月)を〈 小徒 〉。
一二歳(四月)〜 一五歳(三月)を〈 中徒 〉。
一五歳(四月)〜 一八歳(三月)を〈 高徒 〉。
一八歳(四月)〜 二〇歳(三月)を〈 大徒 〉って呼ぶんだ。
一般的には〈 中徒 〉で卒業するんだけど、身分が良くて裕福な家庭の出身だと〈 高徒 〉〈 大徒 〉と《 学舎 》に通って、一八歳(三月)に《 学舎 》を卒業する奴も居る。
──まあ…《 神聖堂 》の施設は何れも無料で利用が出来るから、誰でも〈 高徒 〉で卒業したり〈 大徒 〉で卒業したり出来るんだけどな……」
セロ
「マオは何故〈 中徒 〉で卒業しました?」
マオ
「〈 守護衛士 〉に なりたかったからさ。
マーフィは、オレに〈 大徒 〉で卒業して欲しかったみたいだけどさ…」
セロ
「そんなに〈 守護衛士 〉になりたかったです?」
マオ
「うん。
すっげぇなりたかった。
マーフィの反対を押し切って〈 守護衛士 〉の試験を受けに行ったぐらいだからな。
勘当されるかも知れないのにさ、覚悟を決めたんだ。
一斉一代の大勝負だったよ」
セロ
「マオ、試験に受かって良かったですね」
マオ
「……だな(////)
──ってぇ、頭を撫でるなよっ!!」
セロ
「つい♪」
マオ
「『 つい♪ 』じゃ、ないよ!!」
セロ
「マオ、卒業してしまうと《 学舎 》で学ぶ事は出来なくなります?」
マオ
「いや…そんな事ないよ。
卒業しても、申込めば学ぶ事は出来るよ。
何だよ、セロは《 学舎 》に興味あるのか?」
セロ
「はい♪」
マオ
「楽しみだらけでいいな〜」
セロ
「そうです?」
受付嬢
「二七番の御客様、御待たせ致しました」
マオ
「おっ、順番が来た!
やっとか〜〜〜。
セロ、行くぞ」
セロ
「はい、マオ」
マオとセロは、ソファーから腰を上げ、立ち上がると、五番受付台へ歩いた。




