一.守護衛所 1
主護衛士A
「──おっ、マオじゃん。
今日は やけに遅いじゃん」
マオ
「テェリスォン!
お前だって遅いじゃん!」
テェリスォン
「オレはいいの。
これから愛しの彼女と過ごすんだからな☆」
マオ
「彼女だぁ?
別れたんじゃなかったのかよ?」
テェリスォン
「前カノの事は言わないでくれよ。
忘れたんだよ」
マオ
「随分と手が早いな」
主護衛士
「マ〜オ、テェリスォンはさぁ〜〜、四股掛けられてたんだよ」
テェリスォン
「コリリッテ!!
恥ずいだろ!
マオに言うなよ!!」
コリリッテ
「黙ってたって、その内、マオの耳にも入るって。
俺はさ、親切で教えてやったんだけど?」
テェリスォン
「もう、帰れよ!
用事は済んだんだろ!」
コリリッテ
「俺も、これから朝までデートなの」
マオ
「コリリッテも彼女が居るのか?」
コリリッテ
「先週、出来たんだ!」
テェリスォン
「フッ──。
絶っ対に遊ばれてるに決まってるぜ!!」
コリリッテ
「ハッ!
自分が遊ばれたからって、俺も同じ目に遭うとは思うなよ!」
テェリスォン
「それは兎も角、マオも隅には置けないじゃないか。
そんな美人を引き連れてさ。
夜デートかよ?
ませてるなぁ」
マオ
「違う!
コイツは〈 旅人 〉だよ。
《 宿屋 》で会ったんだ。
〈 労働許可証 〉を持って無いって言うからさ、今日の所はオレの家に泊めてやるんだ。
明日《 役所 》へ連れて行く事にしてんの」
コリリッテ
「へぇ……〈 旅人 〉ねぇ。
この御時世に〈 労働許可証 〉を持って無いなんて珍しいな」
テェリスォン
「〈 労働許可証 〉を持って無いんじゃ《 宿屋 》には泊まれないな。
野宿しようにも〈 警備士 〉に連行されるしな……」
コリリッテ
「〈 旅人 〉を家に泊めてやるなんて、優しいじゃん。
やるなぁ、マオ」
マオ
「〈 警備士 〉に連行されたら、此方(オレ)の目覚めが悪いだろ。
親切でしてる訳じゃないよ」
コリリッテ
「《 役所 》に連れて行ってやるんだろ?
普通はさ、見ず知らずの〈 旅人 〉に其処まで世話はしてやらないよ。
だから『 優しい 』って言ってんの」
テェリスォン
「それにしたって、こげな美女を連れて帰ったりしたら、マーフィさんが驚くんじゃないのか?」
コリリッテ
「言えてる。
此処(三区)から《 一区 》に戻ると、深夜を過ぎるだろ?
深夜、遅くにマオが長身の美女を連れて帰ったりしたら、マーフィさん、怒り狂いそうだよ」
テェリスォン
「ハハハ!
マオを可愛がってるもんな〜。
頭を掻き毟った後、発狂するかもよ。
それともショックで寝込んじゃうか?」
コリリッテ
「それか……泣き崩れて、朝まで やけ酒コースかもな〜」
マオ
「大丈夫だよ。
ちゃんと事情を話せば、マーフィだって理解してくれるさ。
それにセロは男だ」
テェリスォン
「ハァ〜……分かってないな~~マオは!
見た目だけじゃ男だなんて分かんないって」
コリリッテ
「そうそう。
小っこいマオに不釣り合いな長身の美女。
絶っ対にマーフィさんは勘違いするね。
間違いないよ」
テェリスォン
「大事なマオが美女にタブらかされて寝とられたーーーってな感じかな?
ハハハハハ!」
マオ
「『 小っこい 』って言うな!
それに、オレの帰りが夜遅いのは何時もの事だし、マーフィだって承知の上だ。
此処(守護衛所)に来る途中に《 一区 》の《 駐車所 》で、マーフィ宛に伝言を頼んどいたから大丈夫だ」
テェリスォン
「抜かりがないな。
……マーフィさんの雷が落ちない様に〈 大陸神エルゼシア様 〉に祈っといてやるよ」
コリリッテ
「おぃおぃ、彼女をアンアン言わせながら祈られても嬉しくないよなぁ?
そう思うだろ、マオ。
どうせ祈るんなら『 どうか今回も彼女に遊ばれません様に 』っだろ?
ハハハハハ!」
テェリスォン
「お・ま・え・を~~こォ〜ろォ〜すゥ〜!!
い〜まァ〜〜此処でェ〜〜〜!!」
コリリッテ
「はぁ?
おぃおぃ、冗談だって!
マジになるなよ。
彼女とパコり合うのは事実だろ?
マオの心配するよりも、自分の心配してろって、俺は言ってんのに!
彼女に捨てられない様に〈 大陸神エルゼシア様 〉に祈っとけって!」
マオ
「そんな不純極まりない祈りを〈 大陸神エルゼシア様 〉が聞き届ける訳ないだろ!
いい加減にしろよな。
──テェリスォン、こんな所(守護衛所)で剣を抜くなよ。
殺り合うつもりなら《 訓練場 》で殺り合えよな」
テェリスォンとコリリッテの互いの顔は笑っているが、目が笑っていない。
マオ
「──オレは用事を済ませたら、直ぐ帰るんだからな。
巻き込むなよ」
不穏な空気を漂わせている 二人を尻目に、マオは受付台へ歩いた。




