──*──*──*── レドアンカの都
2名の門番の真横を通り過ぎる途中で、門番の1人が舌打ちをした。
門番の舌打ちしたが音がセロフィートの耳に迄届いたが、当のセロフィートは門番の舌打ちに対して、敢えて聞こえなかったフリをした。
これには舌打ちをしなかった門番が静かに安堵の息を吐いていた。
舌打をしなかった門番は、舌打ちをした門番の脇腹へ手加減無しの肘鉄を食らわせる。
脇腹に肘鉄を食らった門番は、肘鉄を繰り出した門番を睨むと、大人気無く文句を言い出し始めた。
セロフィートはそんな2名の門番のやり取りを可笑しく思ったものの、顔には一切出さずに心の中で細やかに笑うだけに留めた。
正門が完全に閉じる前に通過し、愈々≪ 都 ≫の中へ入ると、夕暮れ時にも関わらず、未だ多くの都民が横幅の広い路上を往来しており、昼間に負けじととても賑やかだ。
まるで「 本番は今からだぜ!! 」とでも言わんばかりの賑わいようである。
セロフィート
「 ──さて…。
今夜の宿となる宿屋を探さなければ……。
折角≪ 都 ≫へ入れたのです。
路上で野宿は嫌ですし…… 」
セロフィートは《 大広場一区 》の中にある《 噴水広場前:オマ(6) 》へ向かって歩き出した。
《 大広場一区 》には都民から「 聖女の噴水公園 」と呼ばれている《 噴水広場 》があり、子供から老人と世代を越えてとても親しまれている。
何故セロフィートが《 噴水広場前:オマ(6) 》へ向かうのかと言うと《 噴水広場前:オマ(6) 》には、都内の地図が描かれている大きな案内板が設置されているからだ。
何処の≪ 都 ≫も同じ造りである事をセロフィートは知っていた。