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58 護衛クエストと疲労と追跡者

お待たせしました ((。´・ω・)。´_ _))ペコリ

「まあ、装備も買ったことだし、雇い主の所に会いに行くか」


カンダーは店を出た所で改めて言う。全員の気分を変えるためにカンダーはそう言ったのだった。


「良かったじゃないか?」

「何が? 」

「いや、あの店主に気に入られて、あそこの武器はいい物だぞ」

「買う度に服にナイフ投げられたんじゃ、たまったもんじゃありませんよ! 」


一真の悲鳴にも似たよな叫びに、なだめるよな声でカンダーは言葉を続ける。


「まあ、そう言うな。あれはわいも驚いたが、しっかり重要な内蔵は避けて投げていたぞ」

「何の慰めにもなりませんからね、それ!」


一真今度こそ悲鳴の声を上げた時、カンダーの足が止まる。一真もそれに倣って足を止るのだった。


「どうしたんです?」

「ここで待ち合わせだ」


カンダーはそう言うと近くの切り株に腰を下ろす。一真があたりを見回すと近くに門が見えた。たぶん門が近いから、ここで待ち合わせすることになっているのだろう。あたりは街の中心部とは違って、自然が少し残っている場所だった。木材を切り出した場所のようで、所々木が生えていない場所もある。そして一真の耳に子供の騒いでいる声が聞こえてくる。この場所は子供の遊び場としてよく使われている場所なのだ。カンダーに続くようにエンダーたちも腰を下ろしたので、一真も腰を下ろした。

それからしばらくすると馬の足音と馬車の車輪が転がる音。それと人の声が近づいて来るのが分かる。


「来たな」


カンダーはそう言うと立ち上がる。それから馬の足音と馬車の音が止まる。それから誰かがこちらに近づいて来るのが、一真たちに足音で分かる。


「カンダーさんお待たせしました」


清潔な服に体を包んだ、ふくよかな体型を下おじさんが来る。その後ろには武装した人間が二人いる。二人も同じ藍色のお揃いの鎧を着込んでいる。


「大丈夫です、問題ないですよ、アルビーさん」

「それなら良かったです……これが私の護衛を勤めているリーダーのバーリーと副リーダースのミスです」


紹介されると、リーダーのバーリーと副リーダーのスミスは頭にかぶっていた兠を脱いで顔をしっかり見せる。今回の依頼主はアルビーと呼ばれる商人だ。


「リーダーのバーリーです。よろしくお願いします」


バーリーは人当たりの良い笑顔を浮かべながら、カンダーに握手を求める。カンダーは快くその手を握り返す。


「カンダーだ。このパーティーのリーダーをやっている」


カンダーは自分の紹介を簡潔に済ませる。それで一旦リーダー同士の挨拶を済ませると、一真たちは馬車のところまで連れてかれる。そこには行商人が雇っている護衛が数十人単位でいた。馬車の数も五車以上ある。


「それでは一旦パーティーメンバーの顔合わせを済ませたら出発します」


バーリーの発言で護衛メンバーの紹介がされていった。一真は名前を覚えるどころか顔さえ覚えられなさそうだったので、取り敢えず全員が同じように来ている藍色の鎧を来ている人間は味方だと覚えることにした。


一真は自分たちの自己紹介を軽く済ませる。正直名前だけ言って終わりだ。


「カンダーさんたちのお噂は色々聞いてます。そこにいるローブの子は誰なんです? カンダーさんたちのパーティーは三人と聞いていたんですが?」


護衛の一人が手を上げて聞いてくる。一真は一瞬口を開いたが、自分をどう紹介すればいいか迷っていたら、カンダーが先に説明してくれた。


「こいつは、まあ期待の新人冒険者みたいなものだ。わいが誘った」


カンダーの発言に周りが少し感嘆の声が漏れる。カンダーたちは優秀な冒険者として有名なのだ。何か特質した能力があるわけではないのだが、それでも冒険者として上位にランクしていると言うのは、それを補うだけの冒険者としての技術と経験があると言うことなのだ。そんな人間に期待の新人と言われると言うことは相当な素質を秘めていることになる。


「いや、別にそんな?!」


一真は突然のざわめきに手と首を振ってそれを否定した。正直こんな風になるのは慣れてないのだった。


「まあ、こんな謙遜しているが、戦力になると考えても大丈夫だ」

「分かりました、そちらの奴隷は戦力と考えて大丈夫ですか?」


一真の後ろに控えている奴隷を見ながらバーリーが聞いてくる。奴隷は突然自分が話題に出たので、びくりと体を震わせる。


「カズマ、その奴隷は戦闘出来るのか?」

「いや出来ない。出来るのは馬車の御者くらいだと思うけど……他に何か出来るのか?」

「……ナイフを使って戦闘が出来ます」


奴隷は静かに答える。一真は最初に会った時にナイフで襲いかかってきた事を思い出す。馬車を守るぐらいのことは出来るのかもしれない。正直今まで奴隷を戦闘に使ったことが無かったから、一真も分からないのだった。だがこのまま武器を


「ならこれ使え」


一真が出したのは、先ほど武器屋でもらったナイフを二本だった。絶対使わないとは誓ったが、それは自分が使わないのであって、奴隷が使っても誓を破ったことは無いだろうと。誰かに言い訳するように思う。


奴隷はそのナイフを受け取ると、自分の太ももに一本ずつ括りつける。


「それじゃ護衛をするに当たって、馬車の数は九台、一つの馬車に四人の護衛と御者が一人つく予定になっている。カンダーさんは馬車を一つ四人で護衛して下さい。御者は奴隷に任せても大丈夫ですか?」


バーリーの質問にカンダーは一真を見て、奴隷に業者をやらせても大丈夫なのかと視線で聞いてくる。一真は頷くとカンダーは問題ない旨を伝える。


「それじゃ出発するぞ」


バーリーの号令で、全員が自分の担当する馬車に移動する。一真たちが担当するのは最後尾の馬車だった。一真たち以外に最後尾と言うことで馬に乗った二人の護衛がいる。同じように藍色の鎧に身を包んだ二人だ。全員が護衛に着くとアルビーを先頭に順番に門から外に出ていく。一応門番が馬車の中を確認するが、おざなりだ。アルビーと門番が顔なじみで、そこまで厳しく見られないようだった。


それでも馬車が街を全部出るのには十五分ほど掛かったのだった。


「やっと街を出るのか」


待たせている時間が長かったので、一真は体を伸ばした。


「おい、カズマ何ぼーっとしてるんだ!」


カンダーは馬車に飛び乗りながら一真に叫んだ声だった。馬車の隅っこに足を引っ掛けている。一真も慌ててそれに倣って、馬車に飛びつく。すると馬車がスピード上げて、走り出す。


「歩いて護衛をするんじゃ無いんですか?」

「それじゃ時間が掛かりすぎるだろう、馬車にこうやって飛び乗って護衛をするんだ」


護衛の数だけ馬が用意出来ない時は、馬車のスピードを落とさないために、馬車の外側に飛び乗って護衛するのだ。これで馬車のスピードを落とさずに護衛することが出来るのだ。一真しっかりと馬車の屋根を掴んで、振り落とされないようにする。スピードが上がるにつれて、向かい風のせいで必死にしがみついていないと、振り落とされそうだった。


「カズマ、馬車に体を貼り付けるとある程度楽だぞ!」


車輪の音と馬の足音に負けないようにカンダーが大声で一真にアドバイスしてくれる。一真馬車に出来るだけ体をくっつけて、向かい風を浴びないようにした。ある程度楽にはなったが、一真はかなりの疲労を覚悟した。



馬車が足を止めたのは太陽が真上まで上がった時だった。お昼休憩と言うことで止まった。一真が馬車から降りるとヘロヘロと情けなく地面に座り込む。


「大丈夫か?」


一真のヘロヘロぶりにカンダーが心配そうに声を掛ける。一真は片手を上げて答えるが、足がフラフラして直ぐには立てなかった。一真の両足には自分の体重に加えて馬車の振動による衝撃もあったので、思った以上に足にきているのだった。


「おいおい、期待の新人大丈夫なのか?」


呆れ半分、心配半分で護衛の一人が聞いてきてくれる。


「ある程度休憩すれば大丈夫」


一真は水を飲みながらそう答えると深呼吸をして体を落ち着けた。体力が無くなった訳でも無い。単純に足が疲れただけなのだ。いつもは使わない筋肉を使ったことによる疲労だった。一真はガクガクする膝を押さえつけて立ち上がった。


「お、立ち上がれたな。それじゃ向こうで昼飯が用意されているから、食べてきてくれ」


一真が動けるようになったことを確認すると、カンダー達は護衛の一人に言われた通り、食事を貰いに行く。一真もカンダー達の後ろについて行く。


既に数人の護衛は食事を始めていた。殆どは並んでいる途中だったが、数人は見張りをしている。だがここは見晴らしの良い原っぱなのだ。敵が近づけばすぐに気がつくだろう。ついに一真が食事を受け取る番になっていた。一真は自分の分を受け取ってその場から離れようとした時ゼノンに話しかけられる。


(奴隷の分の食事はどうするのだ?)

(あっ!)

(忘れていたのか……)


ゼノンが呆れたように呟く。一真は急いで奴隷の分の食事も一緒に貰った。一真はそれを持って奴隷の所まで行った。奴隷は御者席で体育座りをして、待機していた。一真が近づくと、体育座りを解く。


「ほら、お前の食事だ!」


一真それと同時に貰ってきたお昼の奴隷に投げ渡した。奴隷はそれをキャッチしたのを確認すると、一真もお昼を食べ始める。奴隷は自分の事を覚えてくれたことが嬉しくて、心なしか顔に笑顔が浮かぶ。その笑顔を浮かべた時には一真は既に自分の食事に夢中になっていた。




手早く全員食事を澄ますと、また馬車を走らせる。一真は流石にこれ以上足が持たないと感じ、足にハイウルフマンの筋肉を混ぜ込んで筋力を強化した。さっきよりずっと足が楽になる。


(おい)

(何だ、ゼノン?)

(先程からつけられていないか?)


ゼノンの意識が馬車の後方に持っていく。一真は全くそんな感じはしないのだが、同じ舌で同じものを食べても、一真はまずいと感じてゼノンは美味しいと感じることがある。一真は視線を感じなくても、ゼノンが視線を感じることがあるのだ。一真はゼノンと代わって、ゼノンに体を渡すと、背後をじーっとゼノンは睨むように見る。一真の両目がドラゴンの両目と代わり、ゼノンが後ろの草を見つめている。双眼鏡のように、拡大される。


(透明な何かが近づいてきている)


ゼノンが俺に体を戻すと、一真にそう告げた。その時には一真はゼノンが何を見ていたか気づいた。草原の草、それが何もいないはずなのに、踏み潰されたように草が折れている。


(姿を消す魔法ってどれくらい難しいんだ?)


一真は相手のレベルを確認する為にゼノンに訪ねた。


(そこまで難しいものではない、人間でも一定の魔法使いには出来る。だが長時間と言うと話しが変わる。魔力の消費量が馬鹿にならない。かなりの魔力を持っているのであろう)

(そうか………攻撃を仕掛けてくるとしたら夜だろうな)

(何を目的として来ているのかは分からないが、夜は我が警戒しておく。いざとなったら体を借りるぞ)

(ああ、頼むよ)


一真は背後を探ろうとするのをやめて、馬車に乗ることに集中する。これ以上後ろを探っているとついてきている相手に気づかれると思ったからだ。



途中何度か魔物に襲われることがあったが、護衛の前方で対処して魔物を全て殺してくれた。魔物と戦うことになっても、後をつけている人間は一真達を襲うことは無かった。


(襲撃してくるのは夜かな?)

(おそらく)


一真とゼノンは夜になるのを待った。


――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――


馬車は日が落ちる直前に止まった。昼間より長い時間馬車に乗っていたが、足を変えたことによって、そこまで一真は疲れることはなかった。


「今日はここで野営をする」


その言葉を聞くと全員が馬車から飛び降りて、馬車の中に入っていたテントを引っ張り出して組み立て始める。一真もカンダー達と一緒にテントの組み立てを手伝ったのだが、何分初めてのことなので、大した手伝いは出来なかった。




「おい、カズマ薪を持ってきれくれ!」

「はい」

「カズマ、水を鍋に汲んでこい」

「わかりました」


一真は特に何も出来なかったので、他の事を手伝う事になった。料理を作る手伝いをしているのだが、使いっぱしりのような事をしているのだった。食事が出来ることには立派な雑用係りになっていた。


「まあ、しっかり自分の立ち位置を見つけたから良いんじゃないのか?」


カンダーは半笑いで言っているが、一真自身何もしないのは罪悪感があったので、別に問題は無かった。


(一真)

(どうした?)

(後をつけていた奴が離れていったぞ)

(どういう事だ、狙うのは諦めたのか?)

(いや、たぶん今日は移動しないと考えて、遠くから監視する事にしたのだろう。その方がバレない。透明になる魔法を解除していのかもしれない)


一真はあたりを伺うように見る。遠くと言ってもゼノンも場所が分からないぐらい遠い。一真の視界に入る範囲にいる訳がないので、一真は探すのをやめた。


「一真食事だぞ!」


いつまでたっても食事を一真が貰いに来ないので、エンダーが奴隷と一真の分の食事を持ってきてくれていた。


「ああ、すいません」


一真は二人分の食事をもらうと、お礼を言って食事を食べながら奴隷の分も渡しに行く。正直今一真の頭の中は夜襲撃してくる人間のことで頭が一杯だった。食事を手早く済ませると、一真は自分のテントに潜り込んだ。他の人間が起きている間は襲われることは無いだろう。襲われるとしたら見張りを立てて他の人間が寝た時だから、今のうちに少しでも寝ておこうと考えたのだ。




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