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33 魔王と不安と恐怖

テストが終わったので投稿開始です 

俺は体中を鎖でグルグル巻きにされて、魔王の城に連れて行かれることに。正直馬車に引きずられて、連れてかれることは無かったので安心した。隣でアークの顔が馬車に近づくに連れて血の気を失っていく。

「どうしましょう、本当に魔王様に呼び出されてしまったわ……私の首だけで済めばいいけど………ブツブツ」

そのままアークは俺の隣でブツブツと呪文のように悩みを唱えている。

(ゼノン、今ここで逃げ出した方が良いか?)

(いや、ここで逃げ出すのはあまり得策ではないだろう。何、あまり心配するな、我がついてる)

ゼノンが自信満々に言うと鼻を鳴らす。ゼノンは魔王にでも勝てる気で居るのだろう。正直魔王がどれくらいの強さがあるか分からないが、ゼノンなら勝てないことは無いだろうと思っている。俺はそのゼノンの言葉に安心して、そのまま馬車に乗り続けることにした。



馬車が止まると俺達は馬車から下ろされた。目の前には黒の色で統一された城がそびえ立っていた。その城はかなりの存在感を放っている。


「歩け」


兵士に背中をつつかれ、俺は足を城の中に進める。アークは俺の後から付いてくる。城の構造を見られないように目隠しぐらいされるかと思ったがされることはなかった。見る魔族全員が真っ黒い肌だ。普段は白い肌を出して生活している物と思っていたのだが……。


そして大きな扉の前に出る。やはり扉を開ける係り兼扉の門番がいた。門番がゆっくりと扉を開けると王座に座る魔王の姿。黒地の服に金色の線が走る服を着ている。やはり肌は黒い状態だ。見た目を見る限る年齢は30代くらいだろうか……。

「止まるな、歩け!」

兵士に後ろからつつかれる。俺は再び足を進めて魔王の前まで歩かされる。アークは魔王の前まで来ると膝を折り頭を下げる。

「貴様も頭を下げろ!魔王の御膳であるぞ!!」

そう言うと後ろでつついて歩かせていた魔族が、俺の頭を鈍器のようなもので殴られた。半ば無防備だったので、無様に地面に転がる。両腕も縛られていたので、こけないように腕を出すことも出来なかった。顔面から床にダイブする。鼻にツーンとですまない程度の痛みが走る。

「っ!」

俺は短く言うと体を転がして、上を向く。

「いつまで寝ている体を起こせ!」

兵士が俺の体を床にぶつけてから俺の体を起こす。


この野郎……。


俺がゼノンの力を行使しようとした時。


「拷問がしたければ、俺の質問が終わった後に拷問室に連れて行け。俺は貴様の拷問ショーを見にこの男を呼んだわけじゃ無い」


魔王はそこで初めて声を出した。うまく説明が出来ないが、声だけで人の動きを止められそうなぐらい威厳がある声だった。


「はっ!」


兵士はそう言うと俺の体を起こして、後ろに下がった。


「俺の名前はダンタリオン・ムル・ジルスだ。聞きたいことがあって、貴様らを呼び出した。偽るようなら、命は無いと思え」

魔王はそう言うと足組みをして、聞いてくる。

「まず、俺が聞いた話ではマルバス・アーク・リーア貴様が、この者をこの国に引き入れたという事実は本当か?」

「それは……事実です」

「ほう、なら貴様がその勇者と通じてスパイ活動をしていたと言う話だが事実か?」

「事実ではありません。決して私はそのような恥ずるべき行為をしてー」

「俺が聞いた以上に答えるな。その口を閉じていろ」

魔王の言葉でアークの口が塞がる。

「おい、こいつがスパイをしていたと言う報告をしたやつを呼んで来い」

「かしこまりました」

そう言うと魔族の部屋を退出して出て行った。


それまでの長い沈黙が俺たちに重く伸し掛ってくる。


「呼んでまいりました」


ドアが開けられ幾人かの魔族が入ってくる。


「こいつらが?」

「はい、この者らが二人を拘束し、スパイとして捕まえた魔族です」

「たしかアーク家の私兵だったな」

魔王が確認するように聞く、

「その通りです」

「貴様らがこの二人を初めて見た様子を述べよ、嘘偽りなく」

「我らが見た時には二人は就寝を共にしている所でー」


俺の頬を何かが横切った。


「俺は言ったはずだ。嘘偽りなくと」


後ろを振り向くと先程まで話していた魔族の上半身が消し飛んでいた。


「その嘘つきの体を片付けておけ、目障りだ」


「はっ」


魔王がそう言うと使用人が残った下半身を持って消えた。

(お、おい、ゼノン今何がどうなったか分かったか?)

(……奴の腕から黒い塊が飛び出した所までは視認出来たが……後ろにで何があったかは分からない)

ゼノンはあの攻撃が見えていたようだ。正直ゼノンがいなければ戦うこともー

(指一本だ)

(は?)

(奴と戦ったら指一本だ)

(なんだ、なら余裕じゃないなか、指一本程度失うなら)

(違う、我らが命を捨てて戦ったとしても、やつは指一本だけで済むだろう)

(つまり……)

(我らが戦ったとしても勝つ可能性は皆無と言っても良いだろう)

俺はその言葉に衝撃を受けた。俺もゼノンの全ての力を知っている訳では無いが、ここまでの旅でゼノンの戦闘能力が高いことは知っている。そのゼノンが勝てないと言っているのだ。俺はどうすることも出来ないと言うことだ。

「もう一度聞いてやる。初めて見た二人の様子を話せ」

魔王が容赦なく殺したことで、すぐに魔族が話し始める。初めて二人の接触を見た時は戦闘していて、とてもじゃないが、スパイの仲間同士には見えなかった。と魔王に報告した。魔王はその発言に満足そうに頷くと部屋から出ていくことを許可した。

「マルバス・アーク・リーアのスパイと言う罪は拭えたな」

その言葉でアークからため息が出るのが聞こえた。まあ、これで家が撮り潰されることは無いだろう。

「でこの男の処遇だが……勇者とな」

魔王は俺を興味深そうに見つめている。

「貴様名前は?」

「高坂 一真……です」

俺は出来るだけ刺激しないように答える。この男はどうやら嘘を見ぬことが出来るのか、それともそれを看破するだけどの情報力などあるのだろう。

「貴様は俺を殺す気があるか?」

魔王の直球の質問で俺の心臓が跳ね上がる。嘘をつくとあの魔族のような結末になるのは確実だろう。

「俺は城であんたを殺せば、元の世界に帰れると聞かされた。俺はあんたを殺す気だった」

「過去形だな。今は殺す気はないのか?」

「正確には殺せないと言う事だ。今の俺じゃ殺すことは出来ない」

「正直だな」

魔王が感心したように呟く。

「正直に言わなかったら、あの魔族のようにしているだろう?」

俺が試しに聴いてみた。

「そんなことはしない……せいぜい地下の牢獄で拷問古メニューを受けてもらうだけだ」

その答えは殺すより酷いものだった。

「貴様の最終的目的は元の世界に変えるということで良いのか?」

「ああ、俺は元の世界に帰えれれば別に構わないからな」

俺がそう言うと魔王が嬉しそうに笑う。

「朗報だな、我を殺そうとする人間が一人減った」

魔王がそう言って膝を叩いて嬉しそうに言う。一頻り叩き終わると、真顔に戻る。

「さて、我に朗報を聞かせてくれた褒美だ。貴様にも朗報を聞かせてやろう。タカサカ カズマ」

魔王が指をパンチと鳴らすと、窓にカーテンが掛かる。さらにカーテンをかける必要の無いドア、壁まで全てにカーテンが掛かる。


「さて貴様の朗報とは、我を殺さないでも元に世界に帰れるぞ」




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